【動画】知られざる「キャデラック Vシリーズ」の破壊力

CADILLAC CTS-V & ATS-V

 

知る人ぞ知る存在。それはキャデラックが誇る「Vシリーズ」にほかならない。北米ワールドチャンピオンシリーズに参戦するキャデラック レーシングの血を引く、紛れもない本物中のホンモノと呼ぶに相応しいスーパースポーツセダンだ。ドイツ勢の勢いが増している今、意外な存在として注目されるVの真実をレポートする。また、動画では、清水和夫も加わり、富士スピードウェイにて検証。その魅力を引き出している。

 

REPORT/佐藤久実(Kumi Sato)

《動画:清水和夫&佐藤久実》

MOVIE&PHOTO/小林邦寿(Kunihisa Kobayashi)

 

 

ワイルドながらも意外に従順なCTS-V

 

 

イカつい顔をして私の前に現れたスーパースポーツセダン「キャデラックCTS」。どれほどアクの強いジャジャ馬なんだろうと覚悟を決めて乗り込んだ。しかし、タイヤが転がりだした瞬間、見事に肩透かしを食らった感じだった。極めて乗り心地の良い、快適なセダンだ。それも「スポーツセダンの割りには」というエクスキューズなしに。予想外にしなやかな足さばきを見せる。

 

ステアリングやペダル、パドルなど操作系の重さもちょうど良く、扱いやすい。そこそこ大きなボディでも見切りは良く、ステアリングを切るとスッとスマートに曲がり、アクセルペダルをジワッと踏むと豊かなトルクを感じさせながらも穏やかに加速していく。秘めたるパワーを窺い知る余地もないほどジェントルで、街中を走らせる限り、キャデラックCTS-Vは、ワイルドな猛獣と思いきや、飼いならされたペットのように従順だ。

 

しばしのドライブを楽しんだ後、クルマを停めて改めて対面してみると、ツンと尖がったフロントノーズに象徴されるようにエッジの効いたデザインが特徴的だ。個性的であり、一目で他ブランドと見紛うことなくキャデラックとわかる。でも、よく見ると面構成は比較的フラットでシンプル。これらのエッジやカーブは空力性能を計算し尽くした結果だ。

 

ヘッドライトの目尻を強調したアイラインがそのまま垂直方向につながる縦長のLED。フロントグリルを縁取るクローム。精悍なマスクに“光モノ”を取り入れることで、存在感がより際立つ。

 

 

さらに、ハイパフォーマンスモデルである「Vシリーズ」をアピールしているのが、カーボン製のフロント&リヤスポイラー。もちろん、これも軽量化や空力といった機能最優先ではあるが、ちょうど良い存在感だ。つまり、スタンダードモデルと差別化を図りながらもトゥマッチじゃないデザイン。セダンゆえ実用性は高いが、男性諸氏においてスポーツモデルの購入にあたって最初の、かつ最大の難関はお財布を握る奥様の理解を得ることではないだろうか。

 

ともすれば、サンデードライバーの旦那さんよりウィークディの日常シーンでハンドルを握る奥さんの方がクルマと接する時間は長いかもしれない。「セダンだから実用的だし」と説得したところで、たとえば「こんな大きな羽の付いたクルマ、恥ずかしくて買い物に乗っていけないでしょ」と一蹴されたらアウトである。だからこそ知る人ぞ知る、見る人が見たらわかるCTS-Vのスポーツ度は絶妙なのだ。

 

続いてインテリアに目を向けてみる。エクステリア同様、エッジが際立ち、クロームがアクセントとなっている。ブラック基調の落ち着いた雰囲気はセダンらしいが、レザーとカーボンのあしらい方がスポーツとラグジュアリーを上手く融合させている。中でもレカロ製のシートは乗降性にも優れ、スポーツカーのようなタイト感はないのに、フィット感があって好ましい。そしてスウェードのステアリングが手にしっくり馴染み、ドライブ中は掌を介して良質な質感を味あわせてくれる。

 

 

さて、さらなる魅力を探るべく、再び走行開始。高速道路に入り、速度を高めていくと、岩のごとく“ドシッ”とした安定感に驚かされた。ジワジワ踏めば穏やかに、多めにアクセルペダルを踏み込めば怒涛の加速を見せるという、まさにドライバーの意図どおりの反応が気持ち良い。そして、高速道路においてもサスペションのしなやかさが覆ることはなく、かつフラット感も保たれている。

次にドライブモードを変えて走ってみる。まずは通常のツーリングモードからスポーツモードへ。確かに足元がちょっと締まった印象で変化は感じる。だが、依然と快適性は損なわれない。このモードでずっと走っても不満はない。試しに、レーストラックモードにしてみると、まずステアリングがズシッと重くなった。そして、より一層ソリッド感が増したものの、継ぎ目を乗り越えてもスマートで、不快な突き上げなどは皆無。正直、サプライズの連続なのだ。