【初試乗】最新技術が感性に響く「フェラーリ812スーパーファスト」

2018/09/29 22:26

Ferrari 812 Superfast

 

遂に800psにまで到達した、新たなフェラーリのフラッグシップ「812スーパーファスト」。ここでは、その最新技術がドライバーの感性にどう響くのかを検証したい。如何に優れたシャシー制御によって導かれているかがわかるはずだ。

 

REPORT/野口 優(Masaru Noguchi)
PHOTO/Ferrari S.p.A.

 

 

すべては800psを自在に操るためにある。

 

これまでフェラーリはニューモデルをリリースする度、驚異的なパフォーマンスを実現するために確実な進化を遂げてきた。特に2シーターのスーパースポーツに特化したモデルの場合、常に新システムを導入することによって多くの乗り手に多大な満足感を与えてきたのは間違いない。しかもその進化は著しい。中でも最新作となる「812スーパーファスト」は、800ps&718Nmという膨大なパワー&トルクを実現しながらも実に巧みに制御し、そして扱いやすく仕上げている。この数値を見れば明らかなように本来なら暴れ馬と表してもおかしくはないパフォーマンスを、あらゆるオーナーを想定してすぐに手懐けられるよう調教しているのは見事というほかない。

 

こう書いてしまうと昨今の様々なスーパースポーツカーに当てはまってしまうのだが、フェラーリが上手いのは、そこにエンターテイメント性を必ず併せ持たせていることだろう。例え、この812スーパーファストのような12気筒&リヤドライブの車両であっても完全なる制御の元にスリルを体験させるよう、ギリギリのところで楽しませてくれる。では、何がその要因なのか? それをここでは試乗を通じて検証してみたい。

 

 

まず、812スーパーファストで注目しなければならないのは、シャシー制御にほかならない。基本的には前作となるF12ベルリネッタのビックマイナーチェンジ版となるものの、812スーパーファストにはフェラーリとしては初となる電動パワーステアリングに、バーチャルショートホイールベースのPCV(イタリア語の略でフェラーリは名付けている)=リヤステア、そして電子制御デファレンシャルのEデフも含めて、すべてSSC(サイド・スリップ・コントロール)によって統合制御しているのが最大の武器。

 

このSSCは458スペチアーレから採用され、今回で実質5世代目となるが(2世代目=488シリーズ、3世代目=F12tdf、4世代目=GTC4ルッソ)、実のところニューモデル毎にその内訳が増えているだけに、蓄積されたデータをもとに開発するとはいえ、新しいシステムの搭載が増えれば自ずと条件が増すことから、ほぼ刷新と思っていいだろう。ましてやこれに加えてエンジンの出力値向上やトランスミッションのギア比なども絡んでくるため、ひと口に進化とは呼べないレベルにまで達しているのが実情だ。

 

 

特に812スーパーファストの場合、リヤステアが肝となるだけに開発は相当難しかったはず。というのも私の印象ではF12tdfは未体験ながらも、少なくともGTC4ルッソに関してはリヤステアの動きに違和感を覚えたのは事実。一部のフェラリスタたちからも同様の印象を聞いたことがあるから、ほぼ間違いないと思うが、812スーパーファストに限っては一切ネガティブな印象はなかった。

 

むしろ後輪が操舵することを強く意識して走行しなければ、その機能に気づかないほど自然に仕上がっている。システム自体はポルシェやランボルギーニと同様、ZF製が採用されているのだが、決定的に違うのは、その制御データをフェラーリ自社で行なっていること。つまり本来ならこのリヤステアに関してはZFに開発を委ねるのが本筋なところを、あえて自社で行なったことにより、良くも悪くも意見が別れてしまったのが理由だ。