【DEBUT】コーナリング性能を追求した「ブガッティ ディーヴォ」の真相。

公開日 : 2018/10/03 19:00 最終更新日 : 2018/10/03 19:00

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BUGATTI  Divo

 

アウディ・スポーツ社CEOの職をわずか22ヵ月で離れ、新たにブガッティのCEOに就任したステファン・ヴィンケルマン。かつてあのランボルギーニに、大きな加速度を伴う歴史的な成長をもたらしたヴィンケルマンは、VW&アウディ・グループの頂点にあるスポーツ&ラグジュアリーブランドのブガッティを、これからどのような姿へと変化させていくのか。ブガッティに移籍した後に、氏へのインタビューが初めてかなったのは、今年のジュネーブ・ショーでのことだった。

 

 

2018年ジュネーブ・ショーでのブガッティ・ブースでの主役は、現在ブガッティが生産する唯一のモデルであるシロンをさらに軽量化し、サスペンションの強化などを行ったシロン・スポーツだった。当然ながら興味はこのシロンが前作のヴェイロンと同様にこれ以降もさらなる進化を続けるのかどうかにあったのだが、ヴィンケルマンCEOは、まずシロンにはヴェイロンで後に追加されたオープン仕様のグランスポーツを設定することを否定、その一方でブガッティのスポーツカーには、最高速に代わる新たな価値が将来的には必要になることを強調した。シロン・スーパースポーツは、もちろんそのための第一歩であり、新たな価値とはハンドリングの面白さであると話の中では解釈できた。

 

 

だがこの時すでに、ヴィンケルマンCEOの胸中には、新たなプランが描かれていた。それはVWグループで復活を果たしたブガッティが、これまでカスタマーへ届けてきたヴェイロン、そしてシロンの両モデルをはるかに超越する究極のスーパースポーツ。ただし、シロンを超える最高速は現実的ではないし、ほとんどのカスタマーはそれを実際に体験しようとは思わないだろう。ならばコンセプトとするのはシロンよりも、そしてシロン・スポーツよりもさらにコーナリング・マシンとしてのキャラクターを強めたモデルとした。

 

 

それはもちろん限定車。ネーミングにはピエール・ヴェロン、ルイ・シロンと同様、かつてレースでブガッティに数々の栄光をもたらしたレーシング・ドライバーの名を掲げる。選ばれたのは、1950年代半ばにタルガ・フローリオをブガッティで2度制覇した、アルベール・ディーヴォに由来する「ディーヴォ」だ。

 

 

その基本的なシルエットからは、わずかにシロンとの関連性を感じさせるディーヴォのエクステリアデザインだが、そのディテールはエアロダイナミクスの最適化を目的に、より戦闘的で過激なスタイルへと変化を遂げている。とりわけフロントマスクや、さらにワイド化された可変リヤウイングが特徴的なリアビューは印象的で、ここからはディーヴォがハイ・ダウンフォースを強く意識したモデルであることを感じさせられる。

 

 

ディーヴォが発生するダウンフォースは、ブガッティによればシロンとの比較で90kg増。さらにコーナリング時の最大横方向加速度は1.6Gを達成しているというから、ワインディングロードはもちろんのこと、このディーヴォをそのままサーキットに持ち込んでも、コーナリング性能に大いに満足できるはずだ。ブガッティはすでに、南イタリアのナルド・テクニカルセンター(現在はポルシェによって所有されている)

のハンドリングコースで、シロンのラップタイムを一気に8秒短縮するタイムを記録したとされるが、これはブガッティ自身も十分に納得できる結果だったに違いない。

 

 

ディーヴォのミッドに搭載されるエンジンは、シロンと同様に1500psの最高出力を発揮する、8リッターのW型16気筒クワッドターボ(4ターボ)。スペックではシロンからの変化はないが、こちらもハンドリングマシンとしてのキャラクターを意識して、レスポンス性などを見直すための改良が行われたという。ブガッティでは今後、40台のディーヴォが生産され、それらは500万ユーロのプライスで販売されるが、そのすべてはすでに売却済み。この日本にも2台が上陸を果たす予定だという。

 

 

TEXT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)