【動画】ニュル最速を実現した「ランボルギーニ アヴェンタドール SVJ」の全記録。
公開日 : 2018/10/18 18:38 最終更新日 : 2018/10/18 18:41
Lamborghini
Aventador SVJ Coupe
ランボルギーニ アヴェンタドール SVJ クーペ
2018年夏、7月26日。ランボルギーニは正式デビューを前に「アヴェンタドールSVJ」をニュルブルクリンク ノルトシュライフェに持ち込んだ。もちろん狙いはタイムアタック。その時の最速ラップタイムは見事、6分44秒97を記録した。
このとき、正式発表前ゆえカモフラージュされたままのアヴェンタドールSVJは、ランボルギーニのテストドライバー、マルコ・マペッリがステアリングを握り、1周20.6kmのコースに挑んだ。この日のチャレンジには同社のR&Dチームが進行を管理し、ピレリの技術者とドライバーが大々的にサポートした。フルテレメトリーシステムと、車両の内外にカメラを装着し、公式な第三者機関の監視のもと「VBOXレースロジック」機器を用いて、コース上の車輌位置をGPSで認証しながらタイム計測を行った。
アウトモビリ・ランボルギーニの会長兼CEOのステファノ・ドメニカリは次のように語る。
「SVJの『J』はイオタの頭文字。サーキットにフォーカスしたモデルに与えられるランボルギーニの伝統に従って名づけました。アヴェンタドールSVJは、私たちのスーパースポーツ造りのテクノロジーの粋を凝らし、これまでのパフォーマンスの基準を超越した1台なのです」
そして、ドメニカリはこのようにアヴェンタドールSVJを位置づけたあと、こう続ける。
「8月にカリフォルニアで行われるモントレー・カーウィークに先立って、アヴェンタドールSVJはニュルブルクリンクのラップタイムレコードホルダーになりました。このことはランボルギーニが最高のエンジニアリングと、最先端テクノロジーの持ち主であることを立証しています」
同社チーフテクニカルオフィサーのマウリツィオ・レッジャーニはこう語る。
「(今回の記録樹立は)私たちランボルギーニのR&Dチームとテストドライバー、そしてパートナーのピレリとの素晴らしいチームワークの賜です」
アヴェンタドールSVJの特徴はハイパワーと軽量素材の採用により、1.98 kg/psというパワーウェイトレシオを達成した。また、ランボルギーニが特許を持つALA 2.0 アクティブ・エアロベクタリングデバイスが最良のハンドリングとダウンフォースをもたらし、これに加えてSVJには空力面で独自の工夫が凝らされている。
SVJの開発に際してはCFD(数値流体力学)を大幅に取り入れてALAのパフォーマンスを最適化した。一方、無類の強大なダウンフォースを得るために、アヴェンタドールのアクティブおよびパッシブ空力システムを完全に再設計して、物理の限界領域に踏み込んでいる。開発中は静的・動的バーチャルシミュレーションを行いALAの作動ストラテジーを決めた。ノルトシュライフェの走行パターンを再現したコンピュータ上のシミュレーションの時点で、すでにウラカン・ペルフォルマンテを上回るタイムを得たという。
同様に4WD、後輪操舵、ESCも全面的に再設計した。足まわりはアヴェンタドールLP750-4 SVより大幅に強化し、ステアリング系もSVJ専用にチューンしている。タイヤもSVJ専用にピレリが設計したPゼロ。なお、ラップタイム時は、ピレリPゼロ トロフェオRを装着している。
アヴェンタドールLP750-4 SVが7分を切るラップタイムを記録したのが2015年のことだった。翌2016年にはウラカン・ペルフォルマンテが6分52秒01を出して当時の市販車によるニュルブルクリンク ノルトシュライフェの最速ラップタイムを更新した。同タイムは2017年9月まで破られることなく、今回ランボルギーニはアヴェンタドールSVJをもって再びタイトルホルダーに輝いたことになる。
TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)