【TOPIC】ヒストリックラリー「ツール・ド・コルス」を覗いてみる。

公開日 : 2018/10/20 18:30 最終更新日 : 2018/10/20 21:17

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TOUR DE CORSE HiSTORiQUE

ツール・ド・コルス  ヒストリック

 

 

往年のラリーファンなら知らない者はいない、フランスのコルシカ島で開催されている「ツール・ド・コルス」。モンテカルロやアクロポリス・ラリーと並ぶクラシックイベントだ。最近、日本でも各地でクラシックカーイベントが話題となっている今、こうした海外のイベントもたまには覗いてみては如何だろうか。

 

※写真と本文は直接リンクしておりません。予めご了承ください。

 

 

切り立った山々。その山腹を縫うように走るターマック。狭い道幅。荒れた路面。一歩間違えば深い谷底に突き落とされるリスクがつきまとう、ドライバーの腕と度胸が試されるラリー。第18回「ツールドコルス・イストーリク」が10月8日〜13日にかけて開催された。

 

1956〜66年に製作されたラリーマシンを中心に、区間タイムで競うヒストリックラリー。今回はとりわけドライバーの対応力が勝負の行方を左右するテクニカルなルート設定で、最後の瞬間まで首位が入れ替わる緊迫したせめぎ合いが続いた。

 

 

ドライビングクルーは過酷な天候に直面し、いつトラップに引っかかってもおかしくないコースコンディションに苦しんだ。これまで設定のなかったSS(スペシャルステージ)では、だれも経験がないために順位が頻繁に入れ替わる。一方、ノートルダム・ド・ラ・セラ礼拝堂の前を通過するルートが復活した。例年より長い44.3kmのルートが、ドライバーとマシンの両方を疲弊させる。まさに公道を走る長距離レース、50年代のツールドコルスの復活だった。

 

 

今年はディディエ・オリオールがコルシカで最後に勝利してからちょうど30年の節目の年に当たる。1994年のWRCワールドチャンピオン、ツールドコルスで6回という最多勝利数を収めたレコードホルダーが戻ってきた。駆るのはフォードシエラ コスワース。

 

オリオールは参加したドライバーの面々に過去のラリーの経験を語った。とりわけノートルダム・ド・ラ・セラ礼拝堂を通過するSSはフィジカル面が過酷で、このステージ最後の8kmはいつも完全に疲労困憊、コ・ドライバーがペースノートを読み上げる声すら聞こえないものだったと明かした。

 

 

オリオールのように明言こそしなかったが、参加者全員が同じ思いだった。油断のならないコンディション、体力を奪うルート、狭くてツイスティなターマック。ドライビングクルーは5日にわたりこのすべてに直面した。

 

こうした悪条件に加えて、厳しい天候がラリーを一層過酷にする。結果として、軽量でアジリティに富んだマシンが有利にラリーを運んだ。特にコルシカ出身のドライバーには地の利が大きく、状況に応じたドライビングスタイルを採って、大半のステージでポディウムに立ってみせた。

 

 

VHC(Vehicule Historiques de Competition)カテゴリーでは、ポルシェとフォード勢が圧倒的な強さを見せて、フォード エスコートRS Mk2を駆るジュノー/ミロザ・ヴィリエヴィッチ組がポディウムの中央に立った。これは最後まで勝負の行方がわからないせめぎ合いの結果であり、地元出身のヴィラ/サヴィニョーニ組とマルケッティ/ブレジ組(ともにフォード エスコート)の幾度とない急襲に苦しめられたすえの辛勝だった。

 

 

J2カテゴリーで争うカゾー/ヴィルモー組と、オリオール/ジローデ組の2台のフォードシエラ コスワースの間で繰り広げられた一騎打ちも見物だった。かつて世界を制したオリオールは、持てる才能のすべてを駆使してカゾーと競うのだが、カゾーのシエラは4WD、一方、オリオールのマシンはRWDだった。最終的にはこれがカゾー/ヴィルモー組の勝因となり決着が着いたが、決してオリオール/ジローデ組が屈服したわけではなかった。

 

 

VHRS (Vehicule Historiques de Regularite Sportive)カテゴリーの首位争いも最後まで行方がわからなかった。最初の2日間で、4組の異なるクルーがラリーをリードするという激しいせめぎ合いが展開し、最終日の5日目、ポルシェ 911 カレラRSを駆るベレー組がついに状況に合ったペースを見出して、際どい差でリードを奪った。2位のシェーン/ジャマリーノ組のポルシェ911との差はわずか7ポイント。やはりポルシェ 911に乗るユヴラール/パキエ組がポディウムの3番目に立った。

 

かくして第18回ツールドコルス・イストーリクは幕を閉じた。人とマシンが極限状態に追い込まれた希に見る年だった。フィニッシュラインを超えたエントラント一同は、オーディエンスから喝采を浴び、安堵の笑顔を浮かべたのだった。

 

 

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)

 

 

【総合順位】
1. カゾー/ヴィルモー フォードシエラ コスワース
2. オリオール/ジローデ  フォードシエラ コスワース
3. ジュノー/ミロザ・ヴィリエヴィッチ フォード エスコートRS Mk2

 

【各ピリオドのウイナー】
ジェネラン VHC: ジュノー/ミロザ・ヴィリエヴィッチ フォード エスコートRS Mk2
ピリオド F: ジュテニー/マーチェ アルファロメオ ジュリアスプリト GTA
ピリオド G1: バッレ/デュパール BMW 2002
ピリオド G2: コゾリーノ/ルジェ ポルシェ 914/6
ピリオド H1: マルケッティ/ブレジ フォード エスコート Mk1
ピリオド H2: ルロワ-フローリオ/オディベール ポルシェ 911 カレラRSR
ピリオド I: ジュノー/ミロザ・ヴィリエヴィッチ フォード エスコートRS Mk2
ピリオド J1: ラミッチ組 オペルマンタ 400
ピリオド J2: カゾー/ヴィルモー フォードシエラ コスワース
クラシック: ガルシア/ボニフェ BMW E21

 

【VHRS 順位】
1. ベレー組 ポルシェ 911 カレラ RS
2. シェーン/ジャマリーノ ポルシェ 911 SC
3. ユヴラール/パキエ ポルシェ 911

 

【VHRS ウイナーのアベレージスピード】
ハイアベレージ: カウフマン/ピレ ポルシェ 911
中間アベレージ: ベレー組 ポルシェ 911 カレラ RS
ローアベレージ:ロッシ/ペルリーノ ランチア フラヴィアクーペ 1800