【COLUMN】間もなく始まる「ハイパーカー」の世界、その条件とは?

公開日 : 2018/10/23 07:55 最終更新日 : 2018/10/26 02:11

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いつの時代でも何かとブームは訪れる。一般的に届きやすい価格帯ならまだしも、近年は世界的に増え続けている富裕層に向けたプレミアムモデルが少なくない。最近でいえば、スーパーSUVクラスがまさにそれ。ベントレーのベンテイガを皮切りに、ランボルギーニ・ウルス、ロールスロイス・カリナンといった、いわば日常使いが出来るハイエンドモデルが出揃っている。ちょっと昔であれば、メルセデスのSクラスやBMW 7シリーズなどサルーン系がそうした役割を担っていたが、世界のセレブリティたちは目も肥えているだけに買い替えや買い足しが激しいうえ、飽きやすい傾向も見え隠れするから、新しいカテゴリーが生まれてくるのだろう。

 

しかし、ここから先は、こうした流行りとはやや違うクラスが誕生する。いわゆる「ハイパーカー」と呼ばれるスーパースポーツカーのさらに上をゆくロードカーの市場だ。価格帯は、約2〜3億円。パワーは1000ps以上。生産数は大雑把だが100〜500台。そして重要なのは、サーキット生まれ、もしくはレース活動で培った最新テクノロジーを用いていること。つまり、レーシングマシンのロードヴァージョンといえるのがハイパーカーの特徴であり、条件となる。

 

GR SUPER SPORTS CONCEPT

 

もちろん、これらはすでに一部発表済みだ。近くは10月26日に「マクラーレン・スピードテール」が公開されるし、今年のはじめには、東京オートサロンでトヨタ自動車のGRレーシングから「GRスーパースポーツ コンセプト」も発表されている。このGRスーパースポーツは、今年のル・マンで見事1-2フィニッシュを飾ったことでも話題になったTS050 HYBRIDのほぼ公道仕様。実際デビューする際、どのような仕様やデザインになっているかは不明だが、少なくともイメージはそれに近いと思われる。

 

ASTON MARTIN PROJECT 003

 

しかし、驚くのはアストンマーティンである。すでに発表済みのハイパーカー「ヴァルキリー(プロジェクト001)」とそのサーキット専用車となる「ヴァルキリーAMR Pro(プロジェクト002)」に続く「プロジェクト003」と呼ばれるさらに次のハイパーカーを開発中で、イメージスケッチ1枚と簡単なリリースのみでその存在を明らかにしている。

 

この一連のモデルは、アストンマーティンとレッドブル・アドバンスド・テクノロジー社との共同開発車両でF1マシンと同一とまでいかずとも、レーシングテクノロジーをもってして完成する究極モデル。超軽量ボディに、強靭なシャシーをもつうえ、革新的かつ驚異的なダウンフォースを生成する新たなエアロダイナミクス・システムに、最新鋭のアクティブ・サスペンションを備えるというが、驚くのはパワートレイン。ヴァルキリーがV12エンジンをミッドに搭載することに対して、この003は、エンジンタイプこそ公表していないものの、ターボチャージャー付きのガソリンエンジンに電気を組み合わせたハイブリッド式を採用すると公にしている。

 

市場に投入されるのは、2021年後半。しかも生産台数は限定とはいえ、500台と多い(ハンドル位置は左右の選択が可能というのも特徴だ)。ヴァルキリーが2020年というから立て続けにハイパーカーを市場に投入してくるこの姿勢は、その生産数も含めて、もはや驚異的だ。もしかしたらレーシングマシンを同時に開発している可能性も考えられるが、いまのところは分からない。

 

ASTON MARTIN Valkyrie

 

こうして、2020年を軸にはじまるハイパーカー市場。なんとも贅沢なブームになりそうだが、他にも価格帯的には、ブガッティを筆頭にパガーニやケーニグゼグなど少量生産ブランドを含めればある程度の数が存在するとはいえ、いずれもこれまで紹介したモデルとは出が違い、あくまでも公道用に過ぎない。これからデビューする真のハイパーカーは、前途したようにサーキットから派生したロードカーという裏付けがあってこそ意味があると言えそうだ。

 

しかし、それにしても気になるのは、フェラーリとポルシェの動向。いずれもレーシングマシンを手がけるブランドではあるものの、今のところ噂が出てこない。なにか企んでいるとは思うのだが・・・。後出しで強烈な策を投じてくるような気がしてならない。