【特集 GT3】さらに磨き上げられた「ランボルギーニ ウラカン GT3 EVO」

2018/10/12 11:50

Lamborghini Huracán GT3 EVO

 

2018年9月15日、ニュルブルクリンクにてランボルギーニ・スクアドラ・コルセが「ウラカン GT3 EVO」を公開した。同車は、ロレックス・デイトナ24時間やセブリング12時間を始めとして12のレースで勝利を獲得したウラカンGT3の最新発展型だ。

 

ランボルギーニ・モータースポーツを率いるジョルジオ・サンナは、「ウラカンGT3 EVOは、世界各地のサーキットで3年間積み上げてきたレースの集大成です」と前置きして開発の主軸をこう挙げた。

 

1) ドライバビリティの向上

2) チームの管理コストの抑制

3) ドライバーにとって操縦しやすく挙動を予測しやすい特性

 

さらに、過去のGTレースにランボルギーニで参戦したチームには、今回発表のEVOのキットを使って現行のウラカンGT3をアップデートする便宜を図ること、従来通り、国内外のレースで技術的サポートとスペアパーツサービスを提供することも明らかにした。どちらもプライベートチームにとっては朗報だろう。

 

 

現代のレーシングカーを語るうえでエアロダイナミクスは最優先事項だ。ウラカンGT3 EVOの空力設計には1年以上の月日を重ね、モータースポーツで40年以上の経験を誇るスペシャリスト、ダラーラと共同で作業を進めた。ダウンフォースの大幅な増強はもちろんだが、「ピッチセンシティビティの低減」に言及しているのは注目だ。ランボルギーニは多くを語らないが、おそらく加減速によるノーズの上下動を極力抑え、アンダーボディを流れる気流の量を一定に保つことが目的だと思われる。

 

 

外観上は前方に大きく突き出たフロントのスプリッターが印象的。フードは従来のグラスファイバーからCFRP製に変更、中央のリブがラジエーターの冷却能力を促進する。フロントバンパーには高ダウンフォースを生む大型エアロフリック。リヤには大型のCFRP製ウィングが、リヤエンドにはディフューザーの働きを助けるフィンが備わる。

 

 

足まわりに目を向けると、フロントサスペンションを支えるアームの素材がスチールからアルミニウムに変わった。ランボルギーニによると、これでロール剛性と、前後アクスル間の連係が向上したという。リヤではハブ、ベアリング、アクスルシャフトを刷新、等速ジョイントに代わりトリポードジョイントを採用してパワーの伝達効率とメンテナンス性を向上させた。さらにオーリンズのダンパーも4ウェイに変更、高速コーナーで最適なロールコントロールを保証する。

 

 

電子系統では、ウラカン・スーパートロフェオEVOで実績のあるEHPS(電動油圧パワーステアリング)を導入したのがトピック。走行中でもアシスト量をスイッチで調整できるようになった。また、ブレーキ系統ではボッシュのABS M5を採用、これに伴ってABSも新しくなっている。

 

 

5.2リッター 自然吸気 V10エンジンは、新しいカムシャフトとチタンバルブを採用した以外に大きな変更はなく、ドライバビリティの最適化と耐久レースでの信頼性を高めている。

 

現代のレーシングカーでは安全性も重要なテーマで、ロールケージの設計をゼロから見直し、ルーフハッチを設けた。なお、ウラカンGT3 EVOの受注はすでにスタートしている。

 

 

レースへの参加をかたくなに拒否したフェルッチョも、スクアドラ・コルセの入念なプラニングと、ウラカンGT3 EVOの高いポテンシャルを天国から見て頷いていることだろう。今やスーパースポーツの世界では、レースでの実績がマーケティング面でもエンジニアリング面でも必須の条件。サーキットはブランドの生き残りを賭けた勝負の場でもある。ランボルギーニの負けられない戦いは、2019年1月のデイトナ24時間レースで幕を開ける。

 

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)