【INTERVIEW】レッドブル・レーシングから見たアストンマーティンとは?

2018/10/15 18:00

両社のタッグにより完成するのが「ヴァルキリー」

 

世界21ヵ国を転戦するモータースポーツの最高峰、F1グランプリ。ここでメルセデスやフェラーリとチャンピオン争いを繰り広げているのがレッドブル・レーシング(RBR)だ。ちなみにチームの正式名称はアストンマーティン・レッドブル・レーシングという。一般的にいって、チーム名のいちばん最初についているブランドはスポンサーであることが多い。しかし、アストンマーティンとRBRの関係は単なるスポンサーとチームの関係に留まらない。

 

たとえば「アストンマーティン・ヴァルキリー」。2020年にデリバリーが開始されるこのハイパーカーは1100psを越えるパワーを発揮し、レーシングカーと見紛うばかりのボディは1000kgを越すダウンフォースを生み出すが、アストンマーティンとともにこのマシンの開発に携わっているのがRBRのチーフテクニカルオフィサーであるエイドリアン・ニューウィーなのだ。つまり、アストンマーティンとRBRはテクニカルパートナーでもあるといえるだろう。

 

 

RBRのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーに両者の関係について訊ねた。

 

「アストンマーティンは私たちにとって素晴らしいパートナーで、両者の相性は申し分ありません。ご存じのとおりアストンマーティンはアイコニックなブランドですが、私たちにとっては単なるスポンサーではなく、技術的な交流も行なっています。エイドリアン・ニューウィーが率いるRBRのデザインチームとレッドブル・アドバンスド・テクノロジーがヴァルキリーの開発に関わっていることは広く知られているとおりです。アストンマーティンの美しさとレッドブルのテクノロジーが融合し、製品として世に送り出されるのです。ヴァルキリーが各地のサーキットを走り始めたら、本当に驚くべきことが起きると思いますよ」

 

 

ところで、レッドブルとアストンマーティンのパートナーシップはヴァルキリーだけで終わってしまうのだろうか?

 

「ヴァルキリーのコードネームは001で、私たちが手がける最初の製品に過ぎません。すでにアストンマーティンとは002や、それ以外のクルマに関しても議論しています」

 

つまり、両者の関係は深まりつつあるということか?

 

「まさにそのとおりです。技術開発に関していえば、私たちはいつも新しい可能性に関して話し合っています。もしかしたら、そこから生み出されるクルマが将来的にル・マンを戦うことがあるかもしれません。もちろん、それはル・マンのレギュレーションがどのように変化するかにも関わることですが、実現できれば素晴らしいと思います」

 

 

「やっぱり、アストンはサウンドだね。あとはジェイムズ・ボンド(笑)」ダニエル・リカルド

 

 

このRBRでF1グランプリを戦うドライバーのひとりがダニエル・リカルドである。現在、29歳のリカルドがRBRに加入したのは2014年のことだが、来季は別のチームに移籍することが決まっている。通算5シーズンをともに過ごしたRBRを離れることについて、リカルドは次のように語った。

 

「自分にとってはとても難しい決断だった。レッドブル・ジュニアチームに加入したのが2008年だから、レッドブルの支援を受けるようになってもう10年が過ぎたことになるけれど、とても楽しかったし、いい経験もたくさんさせてもらった。だからこそ、そろそろ何かを変えなければいけないと思ったんだ。自分の人生でなにか別のチャレンジをしたい。それがチームを離れる最大の理由なんだ」

 

そんなリカルドに、アストンマーティンの魅力を語ってもらった。

 

「今週の木曜日にDBS スーパーレッジェーラをドライブしたよ。エンジンを始動しただけで『あ、アストンだ!』とわかった。やっぱり、アストンはサウンドだね。あとはジェイムズ・ボンド(笑)。僕にとっては、このふたつがアストンなんだ」

 

 

今シーズン、RBRは中国、モナコ、オーストリアの3レースで優勝しているが、このうち中国とモナコで栄冠を勝ち取ったのがリカルドだった。

 

「モナコは大好きなんだ」とリカルド。

 

「市街地コースのモナコではミスを犯しやすい。この鈴鹿サーキットと同じでコーナーが連続するから集中力を保ち続けなければいけないんだ。反対に、もしも長いストレートがあるコースだと、そこを走っている間に悪いことを想像してしまったりする。それよりもコーナー、コーナー、コーナーでずっと頭を働かせ続けなければいけないモナコや鈴鹿のほうが好きなんだ」

 

 

「今後を語る」クリスチャン・ホーナー

 

 

来年はチームを離脱するリカルドに代わっては兄弟チームのトロロッソからピエール・ガスリーが移籍してくる。来季に向けた期待をホーナーに語ってもらった。

 

「リカルドがチームを離れるのは寂しいですね。でも、ガスリーのポテンシャルについては本当に驚いています。まだF1にデビューしたばかりの若いドライバーなのに、とても力強く、そしてコンペティティブです。そしてチームに残留するマックス・フェルスタッペンはF1界でもっとも実力のあるドライバーのひとり。しかも、いまが伸び盛りです。つまり、来季は若くてエキサイティングなドライバーがふたり揃うので、このラインナップに関してはとても満足しています」

 

これに加えて2019年からRBRはホンダのパワーユニットを使うことが決まっている。新たなコラボレーションがRBRにどんな結果をもたらすのか? アストンマーティン・レッドブル・レーシングの今後に注目したい。

 

 

TEXT/大谷達也(Tatsuya OTANI)

Special Thanks アストンマーティン・ジャパン