【初試乗】名車をEV化「ジャガー Eタイプ ゼロ」の新感覚。

2018/10/24 18:00

JAGUAR E-TYPE ZERO

 

ジャガー・ランドローバー・クラシックが「E-タイプ」をレストアして電動パワートレインを搭載した「E-タイプ ゼロ」を発表した。その知らせを聞いて「えっ!?」とわが耳を疑った方もいることだろう。ジャガーが往年の名車E-タイプをEVにコンバートした真意はどこにあるのだろう。英国人モータージャーナリスト、アントニー・イングラムが、ジャガーの公式資料だけではわからないインサイドストーリーと、ロードインプレションでその謎の解明に迫る。

 

REPORT/Antony Ingram

TRANSLATION/相原俊樹(Toshiki AIHARA)

 

 

一部の愛好家は、E-タイプゼロを「行き過ぎ」だと受け取るに違いない。事実、ジャガー・ランドローバー・クラシック(以降、JLR クラシック)のディレクター、ティム・ハニングは私にこう明かす。

 

「社内のなかにも往年の名作E-タイプをEVにコンバートすることに強い懸念を表明する声が上がりました」

 

それも無理はない。なにしろ直列6気筒のXKエンジンは1949〜92年まで製造されて、ジャガーの一時代を築いた傑作エンジン、それをあっさり捨ててモーターに換装してしまったのだから。

 

 

確かに動力性能は目覚ましい。出力220kWのモーターはE-タイプゼロを静止状態から5.5秒で100km/hまで加速させる。今は1台しかないプロトタイプは160km/hに抑えられるが、生産型では最高速240km/hに到達するという。容量40kWhのリチウムイオン・バッテリーによる航続距離は約270km。

 

プロトタイプのE-タイプゼロは、1台の1968年製「シリーズ1.5 ロードスター」をレストアして生まれた。驚くべきは、バッテリーパックがXKエンジンと同じ寸法で、かつ重量もほぼ同じに仕上がったこと。つまりXKエンジンとまったく同じ位置に配置されるわけだ。さらにモーターと減速ギヤからなる電動パワートレインはバッテリーパックの真後ろに置かれるため、E-タイプのギヤボックスと同じ位置にある。プロペラシャフトはE-タイプゼロ専用だが、デフとファイナル・ドライブはオリジナルを使う。パワートレインの総重量は実に46kgも軽く、車両重量もほぼ同じだという。

 

 

動力源の重量と寸法、および搭載位置が変わらないため、フレームにもボディワークにもEV化に伴う改造は一切ない。従って、サスペンションやブレーキもオリジナルのままだ。E-タイプゼロは可能な限り母体であるオリジナルEタイプを活かしたEVということになる。