【TOPIC】人命救助のために用意された「ランドローバー ディスカバリー」とは?


災害時には「機動力のある神経中枢」として働く!

 

 

去る10月2日、人命救助を目的にした世界でただ1台のランドローバー ディスカバリーがオーストリア赤十字緊急対応フリートに投入され、実働を始めた。その名を「レッドクロス ディスカバリー エマージェンシー レスポンス ビークル」という。

 

このディスカバリーは、1年半に及ぶジャガーランドローバー(JLR)スペシャル オペレーションズとオーストリア赤十字との共同作業で完成した。最新のコミュケーション装備を完備するなかで、とりわけ8ローターのドローンを搭載することが注目である。ロングレンジの熱探知カメラを搭載し、地上にいるヒトの位置を440mの上空から突き止め、車輌ならほぼ1000m上空から識別できるという。ドローンの採用はあくまでも人道的な見地から決まったもので、これにより危険が差し迫った状況でも迅速かつ安全に救助策が講じられる。

 

 

車上のオペレーターはドローンを使って、地上の物体を追跡することもできる。操作はタッチスクリーン上に映る当該物体をタップするだけ、これで正確な位置情報が得られる。レスキュー部隊を向かわせるうえで極めて重要な情報だ。

 

災害時に「機動力のある神経中枢」として働くことになるディスカバリーは、ドローンに留まらず、独自の機能を備える。4台の無線アンテナや360度の照明機器に加えて、コマンドセンターと呼ばれる、ボディと一体のCFRP製カーゴスペースが特徴だ。災害現場に到着するやいなや、赤十字の人員が緊急の救助策をここから発令する。

 

 

3リッター、258psのTd6をベースにしたこのビスポーク ディスカバリー、持ち前の悪路踏破力を発揮して、あらゆる状況下でも迅速に災害現場に到達する。

 

JLRスペシャル オペレーションズのマネジングディレクター、マイケル・ファン・デル・サンデは次のように語る。

 

「私たちと赤十字との共同作業は、単に車両を提供することだけではないのです。1954年に協力関係を結んで以来、私たちは赤十字による災害救助の対応が向上するよう支援を続けており、人命救助にも一助を担ってきました」

 

 

ファン・デル・サンデは控え目にこう語るが、ランドローバーの貢献は通り一遍ではない。ドバイの砂漠で使う「走る診療所」として1台の車両を寄付した1954年に始まった同社と赤十字との関係は今に続き、実に120台以上を無償提供して、救援を求める人々の命を守る赤十字の活動をサポートしている。

 

ファン・デル・サンデは、今回のディスカバリーが完成するには、JLRスペシャル オペレーションズのエンジニアとオーストリア赤十字の緊急対応チームとのあいだで、1年半に及ぶ密接な共同作業があったと明かす。その過程ではランドローバー独自のテクノロジーと人材を駆使して、赤十字の要望に応えるソリューションを完成させたのだという。

 

 

IFRC(国際赤十字・赤新月社連盟)のパートナーシップ担当事務次官を務めるジャミラ・マムード博士は、ランドローバーへの感謝の意をこう述べる。

 

「過去60年にわたるランドローバーの寛大な支援に感謝しています。今回の『ディスカバリー エマージェンシー レスポンス ビークル』も、世界規模で展開する私たち両者の強いパートナーシップがもたらした結果です。赤十字とランドローバーの専門的ノウハウを結びつけて完成したのです」

 

マムード博士はこの1台によって、極めて過酷な状況下での救助活動が大きく変わるだろうと語る。

 

ランドローバーは1948年以来、オーセンティックな4 x 4車輌を製造し続けている。ゴージャスなSUVがスポットライトを浴びるなか、彼らはこうした地道な活動を通じて企業の社会的責任を果たしているのである。

 

 

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)