【動画】実は生真面目な完成度が魅力!「ランボルギーニ ウラカン」再考。

Lamborghini Huracan Spyder

ランボルギーニ ウラカン スパイダー

 

 

レースカーと同時開発だから出来が良い。

 

ランボルギーニの主力モデルといえば、ミッドにV10ユニットを積む「ウラカン」だ。特に最近は、フェラーリはもちろん、マクラーレンまでこのクラスをもつだけに、真剣に購入を考えている人にとっては悩ましい時代を迎えたのかもしれない。なぜならこのクラスは、単に新しいから良いとか、このブランドだから信頼できるなど、そんな理由で選ぶと後悔する可能性すらある。

 

そう思い知らされたのは、このウラカンをはじめて乗った時。前作のガヤルドのデビュー時も感心したものだが、ウラカンはそれをはるかに超える完成度をみせただけに、それ以降、ランボルギーニに対する見方が180度かわったのは事実。何しろウラカンは、開発スタート時からレース車両のGT3やワンメイクマシンを意識し、事実上、兄弟車のアウディR8シリーズとともに真剣に造り上げたとあって、生真面目さすら感じられる。

 

 

今回、久々にウラカンのステアリングを握った。しかもオープンモデルのスパイダーである。雑誌のGENROQを担当していた際、海外のサーキットで存分に試乗したのを今でも鮮明に覚えているが、こうして久しぶりに日本のワインディングなどで試すと色々と気づく点があるから面白い。特に冒頭でも触れたように、ライバルにも狙われている存在ゆえ、それを意識して試乗を開始した。

 

 

まず、最初に気づいたのは、着座位置。例えばフェラーリ488やマクラーレン570Sなどと意識の中で比較すると、その着座位置はだいぶ高く感じる。かといって不自由に感じることもないのだが、意外なタイト感だ。もっともこれがスパイダーということも理由のひとつ。ルーフの収納スペースが室内まで影響しているのは仕方がないが、もう少し後方にシートをずらしたいと思ったのは事実である。

 

 

そしてエンジンスタート。ミッドマウントされたV10エンジンは、激しいサウンドで演出され、自然吸気ならではのスムーズなフィールでレブカウンターを上昇していく。しかも7速DCTの走り出しはマナーがよく、滑らかに走り出した。最近のスーパースポーツモデルは、本当に誰でも扱えるようになったと思い知らされるが、この後は違う。速度を上げてウラカンの真髄を引き出そうと、走行モードのアニマを操作し、ストラーダ(ノーマル)からスポーツへと移行。目の前のコーナーをクリアしていく度に、やはり本物だと痛感した。

 

 

やはりアルミニウムとカーボンを組み合わせたこのハイブリッドシャシーは素晴らしい。さすがはレース車両と同時開発しただけのことはある。たとえスパイダーでも剛性不足を感じさせないどころか、強固さを実感させるほどだ。実に頼もしい。それでいてサスペンションはしっかりした仕事をこなし、マグネティックライドによる応答性は的確で狙ったラインを描きやすいうえ、乗り心地もやや硬さこそ伴うものの、不快感のない見事な仕上がりを見せる。

 

 

そして、何よりも特筆すべきは、このウラカンから電動式にあらためられた可変ステアリングの効果である。ノーマル、スポーツ、コルサと3モードそれぞれ的確に舵角の設定が変わり、ノーマルモードでは、ハンドリングだけでもドライビングの楽しみを味わえるほど。以前、サーキットでテストした際、すべてのモードを試してみたが、スポーツモードでは、オーバーステアをも可能とするダイナミックな演出がなされる一方、コルサモードでは、完全にアタック体制に入るセッティングに切り替わるとあって、ウラカンは完全にステージによってその性格を変える。

 

 

だから、こうしたワインディングで楽しむ場合は、スポーツで十分。かえってノーマルやコルサは必要なく、このほうが走行そのもののリアリティとコントロール性が楽しめてリズミカルに走ることが可能。欲のあるユーザーならコルサで!などと思うだろうが、峠道程度では逆に役不足だと思う。ほぼ楽しめないだろう。しかし、本当に腕のある人ならば、その期待に応えてくれるかもしれないが、高いスピードレンジを求められるため、心しないと痛い目にあうのは確実。専有するヒルクライムならいいだろうが・・・。

 

 

それにしてもこのV10エンジンをランボルギーニはよくぞここまで育て上げたと今回あらためて思った。ガヤルド時代よりも遥かにパンチ力に優れ、トルクフィールも格段に向上しているから街乗りも十分にこなしてしまう。7速DCTもスポーツやコルサでは俊敏に反応するものの、ノーマル時は、持ち前の牙を隠しているようで大人しさすら感じることがあるくらいだ。しかし、ステージとモードを変えれば、凶変することは間違いないが、暴れん坊的な抑えの効かなさなどないから今のランボルギーニは昔とは違う。言い方は乱暴だが、昔はハッタリだった街の不良が、アスリートになったようだ。

 

 

このスパイダーのソフトトップの出来も良い。開閉に要する時間は17秒、軽量仕立てでありながらも丈夫、クローズド時でも遮音性が高いから、サーキット走行をしないのであれば、なにもクーペを選ぶ必要がないとさえ思えてしまう。それに、何よりもメタルトップよりも断然、お洒落。カラーも選べるからオーナーのセンスも見せやすい。コクピットのレイアウトやデザインも個性的かつ挑戦的だ。この戦闘機のような雰囲気だけでも惹かれる人もいるはずだ。

 

 

ちなみに、今回試乗したこのウラカン・スパイダーは、オプションのエアロキット装着車。ペルフォルマンテにも似たそのアピアランスが魅力だが、かなり低いから、これを装着した場合は気をつけて走行することをお勧めする。何しろペースを上げてコーナリングした場合や、路面のアンジュレーションがきついところでは走行中でも擦ってしまう。見た目は派手で空力効果も得られそうだが、実用面も含めて考えれば、ちょっと微妙だろう。

 

 

REPORT/野口 優(Masaru NOGUCHI)

PHOTO & MOVIE/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)