【初試乗】打倒ポルシェを狙う「マセラティ レヴァンテ トロフェオ & GTS」《動画レポート》

MASERATI Levante

TROFEO & GTS

マセラティ レヴァンテ トロフェオ & GTS

 

 

 

マセラティ史上最強のSUV。

 

マセラティ・レヴァンテのV8搭載モデルである「GTS」と「トロフェオ」の国際試乗会が開催された。我々日本人にとって国際試乗会といえばその場所は外国で、飛行機に乗って向かうことが当たり前となっている。ところがマセラティが試乗会の舞台として選んだのは我が国、ニッポン。国際試乗会なのに朝の通勤ラッシュにもまれながら山手線に乗って向かうという、いつものとはずいぶんと勝手の違うスタートとなった。

 

 

 

アジアパシフィック地域では日本がダントツ!

 

数多の国と地域の中からあえてニッポンを選んだのはちゃんと理由があって、アジアパシフィックにおけるマセラティの販売台数の屋台骨を担っているのがニッポンだからである。マセラティのスタッフにしてみれば、当然のことながらニッポンも外国なわけで、いつものスタッフや撮影チーム、チーフデザイナーやエンジニアなど総勢約30名がこの試乗会のために来日した。

 

 

SUVのハイパワー競争に応戦した「マセラティ」。

 

これまでV6搭載モデルしかなかったレヴァンテにV8を追加導入したマセラティの判断には、一種のパワー競争にも見える最近のプレミアムSUV市場の動向が背景にあると考えて間違いないだろう。500ps/500Nm以上が珍しくなくなり、それが果たして健全な競争なのかどうかはともかく、出力もトルクもどこまで上乗せできるのかが各メーカーの腕の見せ所のようになっている。レヴァンテは素のモデルでもすでに350ps/500Nmものパワースペックを有しているが、マセラティはV8ツインターボを持ち合わせているのだから、それを載せない理由はない。

 

 

マセラティのV8エンジンは「フェラーリ」製ではない?

 

マセラティのV8について「フェラーリのV8」とか「フェラーリ製」という表現を目にすることがあるけれど、厳密に言うとそれは正確ではない。マラネロにあるフェラーリのエンジン工場でフェラーリのV8と同じラインで生産されているし、ブロックなどの基本アーキテクチュアをフェラーリのF154型と共有しているのも事実である。しかし、ピストンやコンロッドなど一部のパーツはマセラティ専用に新たに開発されたもので、もちろん制御プログラムのソフトウエアもフェラーリとはまったくの別物。「フェラーリのエンジン工場で組み立てられるマセラティのV8エンジン」という言い方のほうが適切だろう。

 

 

590psのパワーに304km/hを誇る「トロフェオ」!

 

GTSとトロフェオのV8ツインターボは基本的にまったく同一のユニットである。異なる点は主にふたつ。ひとつ目は最高出力で、最大トルクの730Nm/2500-5000rpmは同値だが、最高出力はGTSの550psに対してトロフェオは590psに設定されている。この差はエンジンマネージメントプログラムの違いだけによるもの。ご存じのようにエンジン出力は最高速と関連があって、GTSの最高速は292km/h、トロフェオはなんと300km/h超えの304km/hと公表されている。

 

 

トロフェオのみ「コルサモード」が備わる。

 

そしてもうひとつはトロフェオのみ、ドライブモードに既存の「ノーマル」「I.C.E(いわゆるエコーモード)」「スポーツ」に加えて「コルサ」が備わる。これを選ぶとエアサス/エンジンレスポンス/シフトプログラム/4輪駆動システムなどが専用の協調制御セッティングとなり、「スポーツ」よりもさらにアグレッシブな走行が可能になるという。また、「コルサ」を選ぶとローンチコントロールも使用可能となる。

 

 

駆動配分は0:100から50:50まで「可変」。

 

トランスミッションと4輪駆動システムの種類や構造はこれまでのレヴァンテと共通である。トランスミッションはZF製のトルクコンバータ付き8速オートマチック、「Q4インテリジェントAWDシステム」はアルファ・ロメオのジュリアやステルヴィオと同型で、通常の前後駆動力配分は0:100のFR状態を保ち、状況に応じて最大50:50の範囲で連続的に可変するタイプで、リヤには後輪の左右駆動力を配分する機械式LSD(ロッキングファクターはアクセルオンで最大25%、アクセルオフで35%)が標準装備されている。

 

 

内装はGTSが「グランルッソ」、

トロフェオは「グランスポーツ」のよう。

 

GTSとトロフェオは、それぞれ専用のエクステリアとインテリアが用意されているので、V6搭載のレヴァンテのように「グランルッソ」と「グランスポーツ」は選べない。ただ、内外装の雰囲気はGTSが「グランルッソ」、トロフェオが「グランスポーツ」のようでもある。エクステリアの違いはフロントグリル内のルーバーの装飾や前後バンパー下部の意匠など、インテリアはそれぞれ専用のトリムやシートが与えられている。

 

 

賛否あった「シフトレバー」を刷新。

 

運転席に座って思わずほくそ笑んだのは、シフトレバーが刷新されていたから。これまでのマセラティのシフトレバー(グランツーリズモ/グランカブリオを除く)はクライスラー300からの流用で操作がしずらくミスシュートも多く格好もイマイチだった。新型はグリップ感がよくシフトストロークも短くなって思う通りのポジションにきちんとレバーを運べるようになっている。ATだしMT操作はパドルを使うから、シフトレバーに触る機会はドライブの最初と最後、リバースが必要な時だけなのだけれど、従来型のシフトレバーは操作する度に、それまでのリズムや雰囲気が乱されてしまっていたので、今回の改良は待ち望んでいた朗報だ。

 

 

油断できない加速力!

 

GTSもトロフェオも、V6搭載モデルとの動力性能の差は歴然である。スロットルペダルを踏み込んだ直後からのトルクの付きの良さと猛烈な加速感はV8ツインターボならではのもので、うっかりすると速度計の針がとんでもないところまで跳ね上がっていて驚いてしまう。ドライブモードがノーマルでもこんな具合だから、これをスポーツやコルサにすると本来ならさらにパワフルでアグレッシブな走りが期待できるはずなのに、日本の交通環境ではスロットルペダルを深く踏み込むことをむしろ躊躇してしまうほどである。

 

 

それぞれ異なる「V8ツインターボ」の味付け。

 

GTSとトロフェオで、果たして40psの出力差は感じられるのか。これが今回の試乗の目的のひとつでもあった。素直に言えば、そこには明らかな違いが存在したのだけれど、個体差の可能性も完全には払拭できない旨をあらかじめお断りしておきたい。

 

GTSはV6のような軽い吹け上がりとともに、出力やトルクの出方が紳士的な印象がある。いっぽうのトロフェオは、回転フィールにV8ならではの重厚感が漂う。ただこれが、本当にエンジン制御プログラムの違いだけで表現されているのかどうかは微妙だが、少なくともGTSとトロフェオという2タイプのキャラクターにふさわしいテイストになっていると感じた。

 

 

コルサモードでは車高が35mm低下するトロフェオ。

 

フロントがダブルウィッシュボーン、リヤがマルチリンクで、空気ばねと電子制御のスカイフック式ダンパーという足まわりのセットはV6のレヴァンテと共通だが、空気ばねのダンピングレートなど一部の制御マップがGTSとトロフェオ専用に書き換えられているという。特にトロフェオは、「コルサ」を選択すると全高が標準よりも35mm下がる設定になっている。そもそもレヴァンテは前後の重量配分がほぼ50:50で、サスペンションのセッティングや前後のトルク配分、LSDとブレーキを使ったトルクベクタリングの効かせ方などが絶妙で、3mを超えるホイールベースとは思えない回頭性を示すSUVである。

 

 

22インチでも乗り心地は「快適」。

 

GTSとトロフェオはその延長線上にあって、いずれもさらにスポーティな味付けになっている。具体的には、ステアリング操作に対する初期応答の立ち上がりが早く、ばね上の動きがより抑えられて、全般的に無駄な動きが減少した。何より驚いたのは、トロフェオの試乗車がオプションの22インチのタイヤ&ホイールを履いていたにもかかわらず(標準はGTSが20インチ、トロフェオが21インチ)、乗り心地がタウンスピードでもすこぶるよかったこと。ばね下の重さを感じる瞬間がたまにあるものの、それが乗り心地に大きく影響は及ぼしておらず、速度レンジに関係なくつねにキャビンの快適性は保たれていた。

 

 

「官能的サウンド」でポルシェに立ち向かう!

 

レヴァンテへ乗り換えるオーナーの下取り車で、断トツに多いのはポルシェ・カイエンだという。このことからも、レヴァンテはマーケットでスポーティSUVとしてのポジションを確固たるものとしたと言える。今回V8が追加導入されたことで、レヴァンテの商品力はさらに高まった。もちろん、マセラティの魅力の要の高らかに歌い上げる官能的エンジンサウンドはさらにそのハーモニーに磨きがかかっており、こればかりはさすがのカイエンでも手が届かないだろう。

 

 

REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro WATANABE)

 

 

 

【SPECIFICATIONS】

マセラティ レヴァンテ トロフェオ〈GTS〉

ボディサイズ:全長5020×全幅1981〈1968〉×全高1698mm

ホイールベース:3004mm

車両重量:2170kg

 

エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ

総排気量:3799cc

最高出力:441kW(590ps)/6250rpm〈405kW(550ps)/6250rpm〉

最大トルク:730Nm/2500 – 5000rpm〈 同値 〉

トランスミッション:8速AT

駆動方式:AWD

 

サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:前265/40R21 後295/35R21〈前265/40R20 後295/40R20〉

 

最高速度:304〈292〉km/h

0 – 100km/h加速:3.9〈4.2〉秒

 

車両本体価格(税込):1990〈1800〉万円

 

 

【問い合わせ】

マセラティ コールセンター

TEL  0120-965-120

https://www.maserati.com/maserati/jp/ja