【TOPIC】ロータス黄金期を支えた発明家の100点を超える記録を寄付。

なかにはケータハム セブンの新案も!

 

ロータスの設計家にして、発明家であるロン・ヒックマンの重要なパーソナルコレクションが英国ハンプシャー州ビューリのナショナル モーター ミュージアム トラストに寄贈された。

 

2011年、78歳で夫がこの世を去ったのを受けて、妻ヘレン・ヒックマンが100点を超えるスケッチとコンセプトドローイング、多数の写真と書類を同トラストに寄付したのである。

 

 

ロン・ヒックマンは多作な設計家で、エラン、ヨーロッパ、エリートなどロータスの名作を手掛けたほか、革命的と呼ぶに相応しい、ブラック&デッカー社の折りたたみ式作業ベンチ「ワークメート」を発明した。

 

コレクションは、車両設計に携わった本人のキャリア全般にわたっており、とりわけロータスの重役に就いて以降の品目が充実している。図面の大半はオリジナルで、これにデザインスケッチのコピーが加わる。

 

 

なかにはケータハム セブンの再設計を提案したプロジェクト全般を示す書類もある。

実に60個に及ぶボックスファイルに収納された書簡は、これを読めばヒックマンの自伝になるといった内容だ。

 

ナショナル モーター ミュージアム トラストのコレクション担当ディレクター、アンドレア・ビショップは「今回、重要な寄贈をされた、寛容なるヒックマン夫人に心から感謝申し上げます」と前置きして次のように語る。

 

「ロン・ヒックマンは自動車設計で重要な貢献をなした人物。そのコレクションを私たちのアーカイブに加えることができました。ロータス カーズの発展を深く洞察できる魅力的な資料。この膨大なコレクションを精査し、コンテンツの一部を私たちのウエブサイドに来年、掲載するのが楽しみです」

 

 

1932年、南アフリカに生まれたヒックマンは法律を学んだのち、1954年に渡英、フォードのダゲナム デザインスタジオにて設計のポストに就く。1950年代中盤、コーリン・チャプマンと出会った彼はロータスに移籍、以降デザインチームにとって欠かせない重鎮となる。

 

 

ヒックマンは1957年のロータス エリート設計に深く関与し、62年のエラン設計ではチャプマンとともに主導的な役割を果たした。その後もヨーロッパとエラン2+2を手掛けている。1967年にロータスを辞した彼は、自身にとってもっとも商業的に成功した作品「ワークメート」に注力する。ワークメートは全世界で何百万台も売れ、今もなお生産が続いている。

 

ここでナショナル モーター ミュージアム トラストにも触れておこう。250台を超えるコレクションは世界的に知られており、広範囲に渡る自動車関連アイテム、写真、画像、フィルム、ビデオのコレクションと、専門家が参考にする蔵書を誇る。

 

英国のモータリングヒストリーの保存に特化した同トラストは慈善団体であり、多彩なコレクションを通して人々を惹きつけ、鼓舞する使命を帯びている。コレクションを所蔵するのはビューリの「コレクションズ センター」である。

 

国内、国外を問わず極めて重要なコレクションゆえ、「アート カウンシル イングランド」が監修する。また、国の正式認可を受けた博物館なので、国が定めた基準に従って展示・管理する。コレクションとサービスの詳細については下記にアクセスされたい。

 

【リンク】

https://nationalmotormuseum.org.uk

 

 

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)

 

 

 

ロン・ヒックマンが手がけた「フォード・カメレオン」