【NEWS】見事タイム更新!「ポルシェ911GT2 RS MR」新記録を達成。

ポルシェとマンタイによる共作。

専用セットアップにより6分40秒3をマーク!

 

ポルシェはまたもやニュルブルクリンク・ノルトシュライフェの周回記録タイムを更新した。今度はマンタイレーシングとの共同作業による快挙だ。

 

10月25日、700hpを誇る「ポルシェ911GT2 RS MR」は、1周20.6kmのコースを6分40秒3で周回、ロードリーガルな車両による周回記録を塗り替えた。

 

ポルシェのテストドライバー、ラース・カーンがステアリングを握ったこの911GT2 RS MRは、ポルシェのエンジニアとマンタイレーシングのエキスパートがノルトシュライフェ専用にセットアップした1台。カーンは昨年の9月にも生産モデルのGT2 RSでラップレコードを記録している。

 

10月25日を振り返って、モータースポーツ& GTカー部門のヘッド、フランク-シュテファン・ヴァリザー博士は次のように語る。

 

「あの日は周回記録タイムを狙って走るには天候が厳しいと思いつつ、ずっと空模様を眺めていました。雨が降ればもちろん、コース路面が少しでもウェットなら、いかなるリスクを負うつもりはなかったのです」

 

 

この911GT2 RS MRには、マンタイレーシングが供給した新しい性能向上キットが組み込まれているうえ、ノルトシュライフェの特性に合わせて全体のセットアップを見直している。

 

「この日はテスト走行と割り切り、マシンのポテンシャルを査定できれば充分だと思っていました。それだけに、あれほど素晴らしいタイムが出たのには驚きました。GT2 RSの可能性が鮮明に表れたタイムアタックでした」とヴァリザー博士は本音を明かす。

 

911GT2 RS は「史上最速、最強の911」との触れ込みで2017年に市販された。これをベースに911GT2 RS MRを製作するに当たり、ポルシェのエンジニアは911 RSRと911GT3 Rの開発で得たノウハウに加えて、ニュルブルクリンクで数多くの勝利を重ねているマンタイレーシングの経験も採り入れた。

 

シャシーと空力を中心にモディファイする一方で、両陣営のエンジニアはロードゴーイングスポーツカーとしての資質をきっちりキープすることを念頭に置いたという。

 

「このタイムアタックを最高に楽しみました」とラース・カーンは言う。31歳の彼はテスト走行だけでなく、VLNレースにも数多く参戦して「リンク」を知り抜いている。

 

「新しいパッケージのこのマシンはバランスがとてもいい。速く走るのに大きなリスクをかけることは一度もありませんでした。ただこの日、チャンスは2度ないという気持ちで臨みました。暗くなりかけていたのでね。思った通り、一発で決まりました」

 

 

マンタイレーシングCEOのニコラス・ラエダーがこう言葉を繋ぐ。

 

「非常に誇らしい気持ちです。素晴らしいチャレンジ。すでに途方もなく速い911GT2 RSをさらに上回ることができました」

 

今回の記録樹立には、ハードウェアとしてのポルシェ911GT2 RS MRの秀逸な成り立ちがあって可能になったわけだが、それに加えて、計測を担当する第三者機関が見守るなか、秋のアイフェル山脈にしては奇跡的にドライ路面に恵まれた幸運を利して、マシンのポテンシャルを極限まで引き出したラース・カーンの手腕も賞賛に値する。

 

また、普段スポットライトを浴びないが、燃料を供給したポルシェのモータースポーツのブランドパートナー、エッソの貢献も見逃せない。

 

なお、今回のタイムアタックに使った1台と、ストックの911GT2 RS MRとの違いはシートのみ。タイムアタック仕様車は純レース用バケットシートを搭載したが、これによるウェイトアドバンテージはないという。

 

最後にマンタイレーシングの近況もお伝えしておこう。ニコラスとマルティン・ラエダー兄弟が采配を振るうマンタイレーシングは、ニュルブルクリンクからクルマで5分ほどのモイシュパトという町に本拠を置く。ちなみにポルシェAGが51%の株式を握る。

 

車両メンテナンスとパーツキットを供給するほか、カスタマー向けのレースイベントを開催。ニュルブルクリンク24時間レースに6回優勝というアイフェル地域のレコードホルダーでもある。ここがエントラントとなって、今季のWECに2台の911 RSRを出走させているのはマンタイレーシングの実力の証明であり、事実、ル・マンではクラス優勝を果たした。

 

 

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)