【TOPIC】「クラシック・メルセデス」オーナーに朗報。入手困難だったパーツの一部が復活!

2018/12/02 11:55

3Dプリンターによって復元!

 

今後、少し旧いメルセデス・ベンツ用の純正交換パーツの品目が増えてく模様だ。カギを握るのは3Dプリンター技術。

 

メルセデスは旧い商用車モデルの交換パーツを2016年から提供しているが、今回乗用車のセミクラシックモデル用パーツが一部市販の運びとなった。

 

市販される純正交換パーツは、300SLクーペ(W198)用室内ミラーベースと同クーペ用ツールキットの一部を構成するスパークプラグホルダー、さらにW110、W111、W112 、W123用スライディング ルーフ ローラーの3点だ。

 

3Dプリンター技術を使った製法は一般的にアディティブ・マニュファクチャリング(additive manufacturing、積層造形)と呼ばれる。加工方法にはスプレー式とベッド式の2タイプがあり、メルセデスでは精度に優れる「パウダーベッド式」を採用する。金属やプラスチックなどの素材にレーザーを照射して、焼結ないしは溶融させて求める形状に成形する方法だ。

 

パーツによっては改善も。

 

メルセデスによると少し以前のモデルでは紙の設計図、つまり2次元の情報しかないので、まずは3次元のデータベースを作ることから始めるという。ひとたび3次元のデータベースが出来上がれば、それが3Dプリンターを直にコントロールする。

 

300SLクーペ(W198)用室内ミラーベース(パーツナンバーA40 198 811 00 25)はオリジナル同様、素材にアルミを使い、高品質なクロームメッキを施される。今回再販するにあたり、オリジナルより支持部を42.5mm延長して全高を107.5 mmへ高め、良好な後方視界を確保できるようにした。

 

 

スパークプラグホルダー(パーツナンバーA198 580 00 65)は、300SLクーペとロードスターに備わるツールキットの一部だが、スパナスパン21mmのスパークプラグならどれにも使用できる。エンジンが熱い状態でプラグを装着したいとき、楽に位置決めができるツールだ。ここにもアディティブ・マニュファクチャリング独自のメリットが活きており、位置決めには雌コネクターの代わりに磁石を使う。これによりSAE規格サーマルナットの有無にかかわらず、プラグの位置決めができるようになった。素材はプラスチックの一種、ポリアミド12だ。

 

 

ディーラーを通じて入手可能。

 

W110、W111、W112 、W123用スライディング ルーフ ローラー(パーツナンバーA110 782 00 30)は、左右の金属レールに沿ってサンルーフを開閉させる。3Dプリンターならではの精密な採寸により、新品とまったく同じスムーズな作動が可能になった。素材はやはりポリアミド12。

 

ここに挙げた3点はメルセデスの純正交換パーツとして、ディーラーを通して同社クラシックセンターから入手できる。

 

複雑な形状のパーツも復元可能。

 

今回、セミクラシックモデル用交換パーツが市販の運びになった裏には、メルセデス・ベンツ クラシックセンターと、同社グループリサーチとの密接な協力があった。アディティブ・マニュファクチャリングは特殊な形状のパーツを少量生産するのに好適で、絶版となって久しい旧型モデル用交換パーツの欠落を徐々に埋めるのに威力を発揮するだろう。

 

技術的には、エンジンコンポーネントからプラスチックシール、さらにはラバーパーツまで、応用範囲は多岐にわたるという。メルセデス自身、メータークラスターのハウジングなど複雑な形状のパーツも再現できるようになったと製品ラインナップの拡大に意欲を示す。

 

アディティブ・マニュファクチャリングにより、従来、技術面とコスト面で再販が難しかったセミクラシックモデルの純正交換パーツ供給に活路が拓けた。もちろん純正品だけにクオリティはメルセデスのお墨付き、少し旧いメルセデスをこれから長きにわたって愛用したいオーナーには朗報だろう。

 

 

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)