【体験レポート】「新型メガーヌ R.S.ドライビングアカデミー」で上達を目指す!

新型「メガーヌ R.S.」オーナー限定とはいえ参加費は無料!

 

2018年、日本導入がスタートした「ルノー・メガーヌ R.S.」。低く構えたグラマラスなフォルムに、ルノー・スポールがモータースポーツ活動で培った技術を惜しげもなく投入した、欧州屈指のスポーツハッチだ。そんなメガーヌ R.S.の性能を最大限に引き出すためのドライビングを学べる機会として「新型メガーヌ R.S.ドライビングアカデミー」が初めて開催されることになった。場所は「富士スピードウェイ P2駐車場内特設コース」、対象は「新型メガーヌ R.S.オーナー」。そして、参加費はなんと無料である。

 

 

ここでドライビングアカデミーの主役たる「メガーヌ R.S.」を少し復習しておこう。第4世代のメガーヌ5ドアをベースにルノー・スポール カーズとルノー・スポール レーシングが共同開発した1.8リッター直4直噴ターボエンジンを搭載する。電子制御6速AT(6ECD)が組み合わせられ、最高出力は279ps、最大トルクは390Nm(39.8kgm)を発揮。前後輪すべてを操舵させる「4コントロール」や、ラリー参戦により培われたというダンパー内部にセカンダリーダンパーを組み込んだ「4HCC(4輪ハイドリックコンプエッションコントロール)」の採用など、技術的トピックも豊富な1台だ。

 

 

開発にはF1のルノー・スポールに所属するニコ・ヒュルケンベルグも参加していたそうで、「様々なサーキットでメガーヌ R.S.をドライブする機会があったが、特に4コントロールには驚かされた。これだけ素晴らしいコーナーリング性能を実現しているなんて、ドライバーには夢のようなクルマだよ」と、手放しで絶賛している。

 

ちなみに筆者は、今年の1月に開催されたラリーモンテカルロでメガーヌ R.Sの走りを目の当たりにしている。ルノー使いのジャン・ラニョッティや、ルノーからF1に参戦するカルロス・サインツJr.のドライブで、0カー(セーフティチェックカー)として、フレンチアルプスのターマックステージを疾走していた。鮮やかなオランジュトニックMのボディカラーもあいまって「これはエラく、カッコいいクルマだなぁ・・・」と、強い印象を受けた次第である。

 

 

講師はジム・ラッセル・レーシング・スクールでインストラクターを努めたトム吉田氏。

 

そんな美しく速い「メガーヌ R.S.」を思う存分ドライブできるうえに、ドライビングのレクチャーまで受けられるのだ。編集部からのオファーにふたつ返事で答えたのも当然だろう。朝8時に富士スピードウェイの駐車場内に設置された特設コースへと向かう。解散時間はなんと16時30分。途中1時間ほどのランチ休憩を挟むが、約7時間もみっちりとドライビングに向き合うという。

 

今回、講師を務めるのは、アメリカで様々なレースに参戦し、ジム・ラッセル・レーシングスクールでインストラクターを務め、1999年から日本で「ゆいレーシングスクール」を立ち上げたトム吉田氏。用意されたメニューはビークルダイナミクスを学ぶ座学、そしてオーバルコースを舞台とした実技となる。

 

 

強調される「イーブン・スロットル」と「イーブン・ブレーキ」

 

プログラムの最初に行われた座学では、まずルノー・ジャポンの担当者からメガーヌ R.Sの技術的トピックが説明され、続いてトム吉田氏による今日のメニュー説明が行われた。ここで、強調されたのが「イーブン・スロットル」と「イーブン・ブレーキ」。走行中、前提としてタイヤのグリップは常に変化しており、4輪のタイヤに掛かる荷重が一定であれば、クルマの挙動は安定する。走行中、アクセル操作によって前後に掛かる荷重を50:50にするのが、イーブン・スロットル。ブレーキを掛けた後、踏力を抜いてフロントを持ち上げることっで、前後の荷重を50:50とするのがイーブン・ブレーキという訳だ。

 

 

ラジオから届くアドバイスに従う。

 

ひと通りのレクチャーを受けたあと、早速コースへと移動する。用意されたのは小さいオーバルと大きなオーバル。まずは小さいオーバルでトム吉田氏によるデモランに続き、早速メガーヌ R.S.でコースへと入った。座学で叩き込まれた「イーブン・スロットル」を意識して、走行を繰り返す。45km/h、50km/h、55km/hと速度を上げながらスロットル操作のみでオーバルを周回。ラジオから届く講師陣のアドバイスを聞きつつ、3分ほど周回を繰り返し、2〜3周のクールダウン。これを4班に分かれてひたすら繰り返す。

 

 

ブレーキを引きずる「トレイル・ブレーキング」。

 

続いて、イーブン・ブレーキの状態でコーナーリングを行う「トレイル・ブレーキング(ひきずりブレーキング)走行」へ。これはブレーキング区間の終盤に、フロントにかかった荷重を抜かないほどの踏力まで制動力を軽減。見かけ上、イーブン・スロットルと同じような状況でターンインすることで、より高い速度でのコーナリングを実現するテクニックだ。オーバル上に設置されたブレーキングポイントを示すコーンで強くブレーキを踏み込み、踏力を戻してブレーキを引きずった状態でコーナーに入るが、これがなかなか上手くいかない。

 

助手席からアドバイスも。

 

昼食を挟み、改めてドライビングポジションのレクチャーを受けた後は、大きなオーバルへ移動。より速度域を上げて走行を繰り返す。1組4台がコースインし、基本はイン・アンド・アウトでトレイル・ブレーキングの練習。自信のないドライバー(=自分)は、インベタでひたすら周回する。さらにトム吉田氏がステアリングを握り、助手席からアドバイスも頂いた。ここで強調されたのは、「トランジッション(つなぎ)」の重要性だ。

 

 

ながら運転はNG!

 

「運転中は、とにかくやるべき事がたくさんあります。アクセル操作とブレーキング操作が重ならないように、そしてしっかりとメリハリをつける。イーブン=フラットな状態を作って、前後のグリップを一緒にして次の操作に向かう。操作と操作の間にある、トランジッションが重要です。ながらブレーキングや、加速しながらステアリングを切るなどがなくなるだけで、ミスが減ります。あとはもう少し元気よく走りましょう(笑)」

 

操作が重ならないこと!

 

なるほど、走行中は「次にこれをやらねば!」と焦るあまり、トランジッションを意識することができていなかった。当然、操作が重なれば、それぞれがお座なりになり、ミスも起こしがちになるから容易に危険な状況を生んでしまう。トム吉田氏のドライビングはそれぞれの操作にメリハリがあり、しっかりとトランジッションが取られていた。クルマの速度域ははるかに高いのに、操作に焦りは一切ない。当然、先を読めることにもなるので余裕も生まれる。

 

 

疲れるのは「無理」があるから。

 

オーバルでの反復練習の合間には、ドライビングポジションのレクチャー。メガーヌ R.S.の「4コントロール」をより意識すべく、スラローム走行なども行われた。あとは、ひたすら走行、走行、走行。やはり、練習を繰り返し、頭ではなく、身体に叩き込むしかないのだろう。午後は3分間ずつ4班に別れて3時間たっぷり走行を繰り返したことで、ようやくイーブン状態を意識せず、走行できるようになった(気がする)。そして、しっかり四十路の体力も削られた。トム吉田氏によると「疲れてしまうのは、無理なドライビングをしているから」とのこと。ちなみに翌日、左腕に筋肉痛が発生した。

 

 

ひたすら練習することで意識は変わる。

 

果たして、この短い時間(朝の段階では長いと思っていたのだが)で自分のドライビングスキルが向上したのかは分からない。しかし、オーバルコースで「イーブン・スロットル」と「トレイル・ブレーキング」をひたすら反復練習したことで意識が変わったことは確か。トム吉田氏が繰り返し言っていた「トランジッション=つなぎ」の重要性が改めて理解できた。

 

運転中はふたつの動作を重ねないこと。ながら行為は時に重大な事故を引き起こす可能性がある。例えば、高速道路における雨天での車線変更。車線変更前にしっかりと加速し、アクセルを緩めてから車線を変える。そして、再び加速。しっかりとトランジッションを置くことで、安全にクルマをドライブし、かつ運転も楽しくなる。その先に、クルマのポテンシャルを最大限に活かすべく、サーキットへと向かうこともあるかもしれない。

 

 

 

「メガーヌ R.S.」のポテンシャルも確認できるイベント。

 

あらためて、メガーヌ R.S.の懐の深さも実感できた。オーバルでの練習走行では、かなり無理な姿勢でのコーナーリングもあったのだが、不安に感じる瞬間はほぼなかった。1.8リッターターボユニットのレスポンスも軽快で、6ECDのパドルによるシフトチェンジも小気味いい。そして、今回から5ドア化されたことで、実用性も備えていることも大きい。家族持ちにとって、何かを犠牲にせず選べるハイパフォーマンスモデルの存在は貴重だ。

 

ルノーは欧州において「ルノー・スポール・デイ」のようなサーキットイベントを行なっているが、今回のイベントはルノー・ジャポン独自のプログラムだという。メガーヌ R.S.のように、ルノー・スポールが手がけるハイパフォーマンスモデルのポテンシャルを最大限に活かす場を日本でも設けたいと実施に至ったという。

 

 

期待したい次回の開催。

 

今回は、あくまでもトライアル的な位置付けとなっており、次回の開催は未定となっている。

 

「例えば、R.S.モデルをご購入頂いたお客様には、こういったドライビングアカデミーを付帯することも考えています。思いっきりドライブしたいというお客様に、学べる場や走れる環境を提供していきたい」と、担当者は語る。

 

これまで「カングージャンボリー」など、日本独自のイベントを盛り上げてきたルノー・ジャポン。それだけに、さらにスペシャルな内容を加えたドライビングイベントが開催される日も、そう遠くなさそうだ。

 

 

REPORT/入江大輔(Daisuke IRIE)

PHOTO/西尾拓登(Takuto NISHIO)

 

 

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