【NEWS】「フォーミュラE」、ルノーに代わってニッサンが参戦!?

2018/12/04 17:55

パートナーは最強と言われる「e.dams」

 

日産が国内自動車メーカーの先陣を切って「フォーミュラE」に参戦する。しかも、タッグを組むチームはフォーミュラE最強との呼び声も高い「e.dams」。彼らがシリーズに一大旋風を巻き起こすのは間違いないだろう。

 

 

e.damsは昨シーズンまでルノーのパートナーとしてフォーミュラEに参戦。これまでに開催された4シーズン中3シーズンでタイトルを獲得する活躍を示した。しかも、ドライバーはe.damsとともに過去4シーズンに挑戦し、タイトルを獲得したこともあるセバスチャン・ブエミ(写真・右)。元F1ドライバーのブエミは、過去に2度シリーズ2位となったこともあり、フォーミュラEでもっとも多くの成功を収めたドライバーとされる。

 

 

なお、フォーミュラEのシーズンは毎年末に始まり、翌年の夏に閉幕する。つまり、フォーミュラEの初年度は2014年から2015年まで、シーズン2は2015年から2016年まで・・・といった具合に開催され、シーズン5と呼ばれる来季は2018年12月にサウジアラビアのリヤドで始まって2019年7月のニューヨークで幕を閉じる。

 

カルロス・ゴーン元会長の事件の中で・・・。

 

それにしても気になるのが、撤退するルノーを引き継ぐ形で日産がフォーミュラEへの参戦を開始する点にある。カルロス・ゴーン元会長の事件でも注目を集めているように、日産のフォーミュラE参戦はルノーから半ば強制される形で始まったのではないのか?

 

「それは違います」

 

そう即答したのは、日産のグローバルなレース活動を統括するルー・ドゥ・ブリース常務執行役員である。

 

 

「フォーミュラEへの参戦については、まず日産のエグゼクティブ・コミッティー(経営委員会)で議論され、承認されました。これはルノーとは関係のない、日産独自の決定です。EVは私たち日産自動車の強みです。したがってフォーミュラEに参戦するのは私たちにとって自然な流れといえるでしょう。この決定に続いて、私たちはどのような形で参戦するのが望ましいかを検討しました。なぜなら、協力してマシン開発などを進められるパートナーが私たちには必要だったからです。このとき、私たちはルノー・レーシングと相談しました。彼らは私たちのアライアンス・パートナーなので、これは当然のことです。彼らの経験を活用しないのは間違った考え方というべきでしょう」

 

 

ドゥ・ブリース役員によれば、ルノーとの議論は極めてオープンなものだったという。

「ルノーがフォーミュラEからの撤退を決めたのは、私たちとの議論を開始した後のことです。もしも彼らが撤退しなかったら、ニッサン・レーシングとルノー・レーシングがともに参戦していたことでしょう。そうだったとしても問題はありません。いずれにしても、ルノーは撤退を決めました。私たちが参戦を決意したのは、ルノーが撤退を決めるよりもだいぶ前のことでした」

 

ルノーの協力を継続して受けていく。

 

結果的に日産はルノーのパートナーチームだったe.damsやドライバーのブエミといった優秀な人材と組織を確保したばかりか、今後も日産はルノーの協力を継続して受けることになるという。日産グローバル・モータースポーツ・ディレクターのマイケル・カルカモが語る。

 

 

「ニスモ、e.dams、そしてルノーが協力して日産自動車をサポートします。おそらく、プロダクション・エンジニアリングは日産、設計作業はルノー、サーキットでの活動はe.damsが主導することになるでしょうが、私たちはひとつのチームとなって、常に最適のソリューションを見つけ出していくことになります」

 

こうしたなかで、たとえば主要コンポーネントのひとつであるモーターは日産が開発を主導し、専門のサプライヤーにその生産を委託する形をとるという。カルカモが説明する。「レース用モーターで必要となる生産量は、ロードカーに比べればごくわずかで、日産の施設を用いるとむしろ効率が低下します。そこで専門のサプライヤーに協力してもらうことになりました」

 

 

われわれの目にはやや唐突にも見える日産のフォーミュラE参戦。しかし、その準備は時間をかけ、周到に進められていたという。

 

「日産がフォーミュラE参戦の準備を始めたのは1年半前のことです」とカルカモ。「つまりシーズン3中から私たちは準備に取りかかったのです。ちなみに、私はシーズン4の全戦に足を運び、自分たちに必要なモノを見極めていきました」

 

すでにマシンは完成、ブエミの試走も行われた。

 

実は、新生「日産e.damsチーム」が走らせるニューマシンはすでに完成しており、10月に行なわれた公式テストではブエミがステアリングを握って試走が行なわれた。

 

 

「ニューマシンの感触は上々でした」とブエミ。「新しいレーシングカーではよくあるように、走り始めた当初は細かなトラブルもありましたが、それらはすべて開幕戦までに解決されるでしょう」

 

シーズン5のフォーミュラEではマシンが一新され、これまで同シリーズのトレードマークとされてきたレース中のマシン乗り換えが不要になり、1台のマシンでスタートからフィニッシュまで走りきれるようになる。その影響をブエミに訊いた。

 

「車重は880kgから900kgへと少し重くなりましたが、エアロダイナミクスの効率が改良された結果、ラップタイムは従来より2〜3秒速くなると見込まれています。これまであったリアウィングを取り外し、マシンのフロア下でダウンフォースを生み出すなどして空力的な効率を高めました。ダウンフォースはいくぶん減少していますが、これに伴って空気抵抗が減少し、コーナーからの立ち上がりやストレーススピードの伸びは大きく改善されました。ただし、コーナでの感触はあまり変わりません。きっと、エキサイティングなレースになると思います」

 

 

最後に、日本でフォーミュラEが開催される可能性についてカルカモに訊ねた。

 

「あなたの質問が『日産は日本でフォーミュラEを開催したいと望んでいるか?』であれば、その答えはもちろんイエスです。フォーミュラEにとってもEVにとっても日本は重要なマーケットです。なぜなら、日本は世界規模の技術革新を生み出す中心地だからです。もちろん、都市に関する日本の規則は厳しく、公道でレーシングカーを走らせるには様々なハードルが存在します。ですから、決して簡単なことではありませんが、日本開催に向けた現実的な筋道が見つかることを強く祈念しています」

 

 

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)