【TOPIC】ペーター・リンドバーグがナローと近未来のポルシェを撮影。

2018/12/09 17:55

ヴォーグなどファッション誌で活躍。

 

創業70周年を迎えた今年、ポルシェはさまざまなイベントを開催している。ここではそうしたイベントの一環として、写真芸術を通して若手の育成を促そうとする同社の社会貢献プロジェクトを紹介しよう。

 

ペーター・リンドバーグは『ヴォーグ』などファッション雑誌を中心に活躍するドイツ生まれのフォトグラファー。そのリンドバーグが「タイカン」や「911」を主題にしたフォトの連作を制作した。

 

 

ポルシェ記念の年を飾る連作に、リンドバーグが選んだロケーションは北フランス・オー(Ault)の砂浜だった。

 

「私にとって、ポルシェは常になにかユニークなもの、なにかパーソナルなものを表現しています。完璧を表現するのにここが足りないと思わせることがない。ポルシェは類を見ない、ある種のポエムなのです」とリンドバーグは語る。

 

「ポルシェ タレントプロジェクト」の一環として実現したフォト連作

 

ポルシェにとってもリンドバーグにとっても、このフォト連作は、撮影の対象物とは別に、特別な意味がある。実はポルシェは昨年「ポルシェ タレントプロジェクト」と銘打ったプロジェクトをスタートさせている。若いアーティストに、各分野の巨匠と共同制作するチャンスを提供することを目的にしたプロジェクトで、今回のフォト連作もその一環として実現した。

 

 

ミュンヘン出身の若手フォトグラファー、シュカンダー・キーリフが、撮影時にリンドバーグの「シャドー」を担当する栄誉に浴した。リンドバーグのフォトはコントラストの強いモノクロで、とりわけ「シャドー」が特徴だ。リンドバーグの助言のもと、キーリフ自身がスターのフォト撮影をするチャンスにも恵まれた。当のリンドバーグは、メンター役は楽しいが、なかなかチャンスがなかったと語る。

 

「ペーター・リンドバーグをポルシェ タレントプロジェクトに迎えられたことを嬉しく思います」

 

こう語るのはバスティアン・シュラム、ポルシェ・ドイチェラントのマーケティング担当ディレクターだ。

 

「彼の画像は、彼独特のストーリーの解釈から生まれます。そのメソッドにはインスピレーションが漲っています。彼が若手フォトグラファーと一緒に働く姿を見て、このプロジェクトを決めてよかったと胸をなで下ろしました。向上心に溢れるアーティストに、類を見ない体験をしてもらうことができました。ここで経験したことで、キャリアを一歩進めるでしょう」

 

 

ロケーションは北フランス・オーの砂浜

 

リンドバーグに先行して、ポルシェ タレントプロジェクトには1つ成功例がある。2017年も終わりに近いころ、才能ある若者たちが、ベルリンをベースにするデザイナー ファッションレーベル<ララ・ベルリン>と共同作業するチャンスを得た。彼らに与えられたテーマは、同社の有名な「トライアングルスカーフ」をベースに自分流の作品を作ること。ここではポルシェに力を貸したネットワークサイト<タレントハウス>が5万人ものアーティストから6名のファイナリストを選択したのだった。

 

タイカンや911を主題にしたフォト連作を制作

 

ポルシェは伝統的にカルチャーとアートに深く関与してきたメーカーで、今回のポルシェ タレントプロジェクトはその最新版となる。ライプツィヒ歌劇場やルートヴィッヒスブルク音楽祭もポルシェが支援している。ポルシェはまた、国際的に著名なライプツィヒ ゲヴァントハウス管弦楽団やシュトゥットガルトバレエ団と長らく協力関係にある。

 

 

 

ペーター・リンドバーグへのインタビュー

 

あなたは自分の知識や能力を分け与え、メンターの役割を果たすのにとても熱心です。ポルシェ タレントプロジェクトでも才能ある若者をサポートしました。その情熱の源はどこにあるのでしょう? 向上心に溢れるフォトグラファーに向けたアドバイスもください。

 

ペーター・リンドバーグ(以下PL):実を言うと、こういう情熱を抱くようになったのは最近のことなのです。以前は、この種のプロジェクトはだいたいお断りしていました。ひたすら時間がなかったからです。2017年2月、初めて「イエス」とお返事しました。

 

 

こうしたプロジェクトから私自身も非常にたくさんのことを学べる、これは驚きの発見でした。今では興味をもって受け止めています。この種のプロジェクトに参加することで、教える相手だけでなく、自分自身のモチベーションについても深く考える絶好の機会になりますから。

 

大きな希望を抱く若手フォトグラファーにはこう申し上げたい。白い紙を前に置いて座り、来週なにをしたいか考えなさい。そうしてぜひともそれを実行しなさい、と。

 

 

ポルシェプロジェクトで撮影したいと思った動機は? どのような発見がありましたか?

 

PL:様々なレベルで興味深いプロジェクトでした。ひとつには、クラシック911と最初の純EVを一緒に撮影できると考えただけでとても魅力的です。そのシーンにごく自然なかたちで人を調和させる、このアイデアにもワクワクしました。ここでは写真の対象物である人とクルマは互いに依存していません。この2人のモデルは、フォトグラファーがクルマの前でポーズを取らせたように見せない術を正確に理解していました。

 

撮影のプロセスを客観的な目で観察するのも、非常に興味深いことでした。類を見ないある種のポエムができあがりました。悪天候に見舞われたのも、今回ばかりは幸運でした。青空の下では、この印象的なエフェクトを持った画像は決してできなかったでしょう。

 

 

ポルシェは長い伝統の持ち主で、生ける伝説です。この主題をフォトグラフィックに解釈するうえで、あなたにも歴史的な背景があったのでしょうか?

 

PL:子供のころ、ポルシェエンジンのサウンドが聞こえると膝ががくがくしたものです。そういう瞬間が記憶に残り、発想の源になる、これは素晴らしいことです。私にとってポルシェレジェンドとは非常に特別なものでした。このブランドは連綿として、ユニークかつパーソナルな方法で自身を表現しています。実に立派だと思います。

 

 

ポルシェに限らずクルマを撮影するとき、人との結びつきも感じますか?

 

PL:イエス。ただひとつ条件があります。オーセンティックな写真を撮るための、完全な自由が必要です。この写真がいい例です。ポルシェは私に完全な自由を与えてくれました。素晴らしいだけでなく、教えられることの多い体験でした。

 

 

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)

 

 

 

【ペーター・リンドバーグ撮影作品】

 

【撮影 舞台裏】