【初試乗】「ランボルギーニ ウラカン GT3 EVO」とヴェレルガで対峙! 最新GT3マシン体験レポート。

2018/12/14 18:30

Lamborghini Huracan GT3 EVO

ランボルギーニ ウラカン GT3 エヴォ

 

 

GT3マシンをジャーナリストがテスト!

 

イタリアのヴァルンガ・サーキットで開催される、2018年ランボルギーニ・スーパートロフェオ・ワールドファイナルの取材スケジュールが決まると、すぐにランボルギーニのモータースポーツ広報担当者からメールが届いた。そこにはレーシングスーツやヘルメット等のサイズを返信するようにというコメントがあり、さらに取材当日のスケジュールが添えられていた。

 

ちなみに前年、つまり2017年にワールドファイナルの開催期間中に一部メディアに与えられたのは、2018年からスーパートロフェオで使用される予定のニューマシン、スーパートロフェオEVOの試乗だったが、今回そこに書かれていたのは、9月にニュルブルクリンクで発表されたばかりの「ウラカンGT3 EVO」のテストドライブ。テストドライブとはいえ、実際にはスクアドラ・コルセがオーガナイズするアカデミアのように数回のスティントが用意された、かなりハードなプログラムであることは、昨年のスーパートロフェオEVOですでに経験している。

 

 

指定されたヴァレルンガ・サーキットのピットに向かい、まずはそこに隣接されたトランスポーターでレーシングギア一式を身に着ける。これもまたスクアドラコルセが誇るホスピタリティのひとつで、カスタマーが望めば自分自身は何も用意することなく、フルサポートの体制でサーキット走行、あるいはレースを楽しむことも可能。そしてピットには、ウラカン・スーパートロフェオEVOとともに、ウラカンGT3 EVOがスタートの体制を整えていた。

 

 

ダラーラとの共同開発パートも。

 

まずは、GT3 EVOの概要を解説しておこう。GT3がロードモデルのウラカンと並行して開発が進められたこと。そしてそのプロセスにはダラーラとの共同開発のパートがあったことは、ウラカンというスーパースポーツの事情に詳しい人ならば記憶に新しいところだろう。スーパートロフェオがガヤルド時代の4WDから、ウラカンではRWDへと駆動方式を変更したのもGT3マシンにまで至る進化を考えてのことだったのだ。

 

 

GT3 EVOは、エクステリアのディテールでも容易に従来型と見分けることができる。フロントバンパーにはカナードが新たにフィットされ、スプリッターもさらに大型化された。ボンネットはグラスファイバー製からカーボン製に、リヤセクションでは、デュヒューザーやフィンなども新デザインとされている。ルーフ上にはこちらもGT3で装備が義務付けられた、緊急脱出用のハッチが設けられている。

 

 

フレキシビリティに富むV10エンジン。

 

ミッドに搭載されるエンジンは、5.2リッターのV型10気筒自然吸気とこれまでと変わらないが、新しいプロフィールのカムシャフトやチタン製のバルブを新採用したことで、よりフレキシビリティに富む特性を実現したという。さらに進化が著しいのはシャシーで、フロントサスペンションはアーム素材をスチールからアルミニウムに、リヤサスペンションもハブ、ベアリング、アクスルシャフト、そしてトリボードジョイントを新設計、新採用した。ダンパーはオーリンズ製の4ウェイ。ABS付きのブレーキはボッシュ製の最新世代、M5システムで、これはトラクションコントロールとともにステアリングホイール上のスイッチから各々6段階に設定を変更することが可能になっている。EHPS(エレクトリック・ハイドロリック・パワーステアリング)や新設計のロールケージの採用もGT3 EVOの大きな話題だろうか。

 

 

楽なクラッチ操作。

 

2019年1月に開催されるデイトナ24時間レースがデビュー戦となる、ウラカンGT3 EVOのステアリングを握るのは、やはり相当なプレッシャーだった。昨年ドライブしたスーパートロフェオEVOとまず異なるのはクラッチで、スーパートロフェオEVOにはクラッチペダルがあり、発進時にのみそれを使用する必要があったのだが、GT3 EVOはステアリング左側後方のシフトダウン・パドルがほぼ半分に分割されており、その下がクラッチ操作の電気的なスイッチとなっている。エンジンスタートの前にこれを引いておき、その後それをゆっくりと戻せば、あとはアクセルペダルを踏み込むだけで、GT3 EVOは簡単に加速を始めていくのだ。

 

 

フラットな姿勢を維持する「ウラカンGT3 EVO」。

 

ヴァレルンガ・サーキットをラップする中で、まず驚かされたのは前後のサスペンションが常に車体をフラットに保ち続けることだった。ヴァレルンガは最近、大規模な改修工事が行われたのか、コースも十分に整備されたようだが、それでも一部のコーナーでは、路面が荒れたままの区間も残っている。そのような路面でも、GT3 EVOのサスペンションは実にスムーズに、ショックを受け止め、何事もなかったかのように自然なコーナリングを演出してくれる。

 

 

エアロダイナミクスの効果を実感。

 

前方をスーパートロフェオEVOで走るスクアドラコルセのインストラクターがペースを上げると、今度はエアロダイナミクスの素晴らしさが走りの中に強く感じられるようになる。例のフラットな乗り心地は、おそらくは路面とアンダーフロアの間の距離を可能なかぎり変化させず、ボディ下面で得られるダウンフォース、すなわちグランドエフェクト効果を一定に保つ目的をも兼ねているのだろう、高速コーナーを驚くほどの安定感で駆け抜けることのできるGT3 EVOは、ランボルギーニの作であると同時に、あのダラーラの作でもあることを、ここで改めて思い知らされる。ハンドリングはもちろん軽快の一語に尽きる。最初は慣れないピレリ製スリックタイヤの性能をどこまで信じるべきなのかを迷っていたが、自分のレベルでは絶対的な安心感を抱いても、それは間違いではないことが確信できた。

 

 

来年、2019年のワールドファイナルは、スペインのヘレスがその会場。ここではSSUVのウルスを使用した新たなワンメークレースシリーズに関しての発表、そしてレース車両の発表も行われるという。早くもそのステアリングを握ることができる日が楽しみになってきた。

 

 

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)