【初試乗】新型「BMW 3シリーズ」は期待通りのスポーツセダンへと回帰していた!

2018/12/21 17:55

BMW 330i M Sport & 320d Sport line

 

 

随分とまた、立派になったものである。

 

第七世代(G20型)へと進化した新型3シリーズは、ホイールベースを41mmも延伸した結果、全長はついに4.7mを超えてきた(4709mm)。全幅もワイドトラック化(前+43mm、後+21mm)の影響で1827mmにも達している。全高こそ旧型とほとんど変わらない(+1mm)とはいうものの、それでも1422mm。感覚的には90年代後半の5シリーズ(E39)と同じ大きさだ。

 

車幅に関していえば、同じクラスのFRサルーンでスポーツ性をことさら重視する新興勢力(ジャガーXEやアルファロメオ ジュリア)が、ワイドトラックのパフォーマンスを売り物にしているし、全長でいうとアウディA4はすでにこれを上回っていた。

 

 

そもそも世界的にみると、人類のサイズが上に伸びたのみならず、横にも広がっているのだという。なるほど広がっている実感こそ個人的にはあるものの(=メタボ)、実際に日本人の平均身長はここ20年間でさほど伸びてはいないはず。むやみはサイズアップは一般的には迷惑な話で、購入を断念するユーザーも出てくるかもしれない。

 

もっとも、近い将来にもうひと回り小さな4ドアモデル(2シリーズ グランクーペか?)がデビューすることを見越してのサイズアップかもしれないが・・・。

 

 

デリバリーは2019年春を予定。

 

ポルトガルはアルガルヴェ地方で開催された国際試乗会。一般道でのテストに供されたのは、日本市場へ最初にやってくる「330i Mスポーツ」と遅れて導入予定の「320d スポーツライン」だった。

 

ちなみに、日本での正式発表は2019年1月末の予定だが、デリバリーは2019年春に世界一斉で予定されている。その際には330iMスポーツのほかに、同じ2リッター直4ターボながらパワースペックの低いエンジンを積む「320i(Mスポーツとノーマルグレード)」の2グレードが来日する予定で、その後、年央にはディーゼルの「320d」とPHEV(プラグインハイブリッド)の「330e」、秋以降にはハイパワー仕様の「M340i」やツーリングボディが追加されるらしい。

 

 

10mmローダウン化される「330i Mスポーツ」

 

まずは改良型直4ガソリンターボ(190kW&400Nm)を積んだ330i Mスポーツに乗り込む。19インチのアロイホイールにミシュランパイロットスポーツ4S、MスポーツブレーキやMスポーツディファレンシャルなど、走りへのこだわりが随所にちりばめられたフルオプション車両だ。車高もノーマルに比べて10mm下がっている。

 

 

スポーツシートに収まってハンドルを握りしめた。太い。極太だ。ボクは指のちょっと短いので、しっくりとこない。女性にはきっとつらいはず。

 

ダッシュボードまわりは随分と豪華で見映えがいい。パッと見た雰囲気では、5シリーズを超えて豪華。特に大きなモニターとそこからセンターコンソールに至るまでは、8シリーズ以降の最新世代に共通のデザインだ。見映え重視でちょっと使いづらいボタンなどもあったけれど、それはそれ、慣れの問題ということだろう。

 

 

走り出してまずは「硬い!」と思った。

 

スーパーカーまでが当たりの柔らかな乗り心地になっている昨今、はっきりと硬いと思うことなど近年稀な話。それこそMのコンペティションやクラブスポーツといったスパルタン仕様でもない限り、BMW車でも硬いと思うことなど最近なかった。

 

とにかく、50km/hあたりまではゴツゴツと硬い。柔な世の中のクルマに硬い一撃でもくらわせたいのかと思ったほど。これには賛否両論が出るだろう。もっとも、Mスポーツサスペンションだから硬いだけかもしれない。このあたりは17インチあたりのタイヤを履いたノーマルアシのグレードに乗ってみなければ分からない。

 

 

70km/hを超えれば歓声をあげたくなるほど。

 

70km/hを超えてくると、俄然、歓声をあげたくなるほどアシの動きが素晴らしくなった。硬いボディや軽いアシ回りもさることながら、初採用された新型ダンパーによるところが大きい。

 

フロントでは伸び側を、リアでは縮み側の減衰を、それぞれ長めの追加スリーブで二重構造とした油圧ダンピングシステムによって制御するというもので、ノーマルグレードやMスポーツの全てに採用されている(Mスポーツの減衰力はノーマル比で20%増し)。

 

 

4気筒とは思えない。

 

アルガルヴェのワインディングロードは荒れた舗装が多く、カントもけっこうあって、一筋縄ではいかない路面環境にあったが、大きな入力はもちろんのこと、細やかなバンプでもきっちりとダンパーがリフトしてフラットライドをキープするから安心して踏み込んでいける。そのうえ、ステアリング操作によって前輪を思い通りの位置にもっていける感覚が常にあるから、運転しやすいことこの上ない。なるほど、3シリーズのスポーツセダンへの回帰はこの、思い通りの操縦感覚にあった。

 

なにより感動したのはエンジンフィールで、もはや4気筒のそれとは思えない。これならストレート6信仰を捨ててもいいと思ったほど、胸をすく加速フィールをみせてくれた。

 

 

回転フィールが素晴らしい「320d」

 

320dにもMスポーツサスペンションが奢られていたが、こちらは18インチのミシュランパイロットスポーツ4だった。それゆえだろうか、はっきりとした硬さこそ残るものの、まだしも穏やかな乗り心地をみせる。それでも、好きなところへ前輪をもっていける感覚は健在で、より低い場所を選んでフラットに駆けぬけていくというライドフィールをキープしていた。おそらく、これがG20用Mスポーツサスペンションの乗り味というわけだろう。

 

 

シーケンシャルツインターボとなった新開発のFR用ディーゼルエンジンで、ディーゼルであることを感じさせないクリアな回転フィールが特に素晴らしい。それでいて、わずか1750rpmから330iと同じ400Nmものトルクを発揮するから、ワインディングロードレベルではもうこれで十二分というパフォーマンスをみせる。ストレート6に負けない伸びやかな回転フィールの330iも捨て難いが、普段使いには320dを勧めたい。

 

 

4WDであることを忘れさせる「M340i xドライブ」

 

もう1台、LAショーでデビューする直前だったMパフォーマンスモデル「M340i xドライブ」にも、カモフラージュの覆面プロトタイプであったが、アップダウンも豊かな楽しいアルガルヴェ・サーキットで試すことができた。

 

こちらは最早、Mモデル要らずといえるほどのハンドリングマシンで、スポーツ+でDSCをトラクションモードにセットすれば、4WDセダンであることも忘れさせてくれるほど楽しいFR風のスポーツカーになった。スーパーカーで試すことの多いこのサーキットでも、存分に楽しむことができたあたり、ほどよいハイパワー&トルク(275kW&500Nm)をもつ、絶品のスポーツセダンと言っていい。

 

 

おそらく、次期型M3は完全にスーパーカーイーターとなるだろうから、気持ちよく安全に速さとスポーツドライビングを楽しめるグレードは、このMパフォーマンスモデルということになるだろう。

 

 

REPORT/西川 淳(Jun NISHIKAWA)