【電気自動車】「ポルシェ」、MAN社製EVトラックを導入。運送業務のゼロエミッション化へ。

2018/12/24 11:55

フルEVトラック導入で進む、ゼロエミッション

 

ポルシェはドイツのシュトゥットガルトおよびツッフェンハウゼンを起点にする輸送用トラックとして、MAN社製EVトラック「eTGM」を1台発注した。eTGMはドイツで初めて生産に移る予定のeトラック。このゼロエミッションかつ、事実上無音の32トントラックの導入によって、ポルシェがシュトゥットガルトとツッフェンハウゼンを起点にする、運送業務に使う車両のゼロエミッション化を一歩進めることになる。

 

ポルシェ本社では現在、同社初の純EVモデル「タイカン」の生産準備が進む。そのポルシェが使うeトラックを製造することは、MANにとっても自ら敷いたeモビリティロードマップ上に、ひとつの重要なマイルストーンを刻むことになる。これを弾みにして同社は2019年前半を目処に「MAN eTGM」のシリーズを小規模ながら生産する予定だ。

 

「eトラックを生産ロジスティックスと一体化すれば、ポルシェは『ゼロインパクトファクトリー』への道をまた一歩進むことになります」と、語るのは、ポルシェAG取締役会メンバーのひとりで、生産・ロジスティックスを担当するアルブレヒト・ライモルト。

 

ポルシェには「汚れた靴で足跡を残さない」という環境意識に基づく戦略があり、ライモルトの発言の根拠もここにある。さらに「完璧なバリューチェーン」を実現するという意図も込められている。バリューチェーン(=価値の連鎖)とは、原材料を調達して製品を製造し、それを顧客に販売するまでの一連の行為のなかで、どの部分でどのような価値が生まれるかを分析し、その価値を最大化することを目的にした考え方を言う。

 

ポルシェが辿るゼロインパクトファクトリーの道程には多くの段階があり、その実現には様々な手段を要する。2年前からすべての生産拠点において、再生可能資源だけで得たエネルギーを使っているのはその一例。さらに生産拠点からの輸送にグリーンエネルギーで動く鉄道を使い、トランスポーター、トラック、フォークリフトを電動に切り替えている。

 

 

航続距離130km、3万kgのCO2削減が可能に

 

今回ポルシェが採用したのeトラックは、「MAN eTGM 18.360 4×2 LL」。型式名からセミトレーラートラクターであり、18トンの重量クラスに属することがわかる。セミトレーラーを牽引した場合の積載重量を含めた設計総重量は32トン。360はパワーをhp表示したときの数字、kW表示では265になる。4×2は2軸6輪、フロントアクスルが操舵し、後ろ1軸が駆動輪となる。リチウムバッテリーの容量は149kWhで、航続距離は130kmだ。

 

MAN社の取締役会メンバーのひとりで、研究開発を担当するDr.フレデリック・ツェームは、次のように語る。

 

「MAN eTGMによって、電動商用車のシリーズ生産に向け大きな一歩を踏み出しました。今では自信をもって、電動商用車は日々の業務に耐え得ると言えます。ポルシェの協力のもと、定期的なファクトリー間の輸送で得た実践的な知識を活かし、早ければ2019年にeTGMのシリーズを小規模ながら生産化したいと考えています」

 

低騒音、低エミッション、CO2ニュートラルというだけでなく、EVではパーツの摩耗が少ないのが強みとなる。エネルギーの再生が制動効果を生むので、車両の減速に役立つのはその一例。従って、アクセラレータオフ時の減速では、メカニカルブレーキはまったく摩耗しない。メンテナンス費用の削減は間接的にゼロインパクトファクトリーの実現に貢献するというわけだ。

 

今回導入するMAN eTGMは、ツッフェンハウゼン・ファクトリーから約19km離れた、同社のロジスティックスパートナーであるLGIが運営する「フライベルク・アム・ネッカー・ファクトリー」への輸送に使われる。これにより年間3万kgのCO2削減が可能になるという。

 

Eトラックを運用する以上、充電ステーションは必須。フライベルクに設置された充電ステーションはポルシェ・エンジニアリングが新たに開発したハイパワー充電インフラストラクチャーを構成する最初の施設である。運送業務に使用する場合の最大充電能力は150kWで、45分充電すると航続距離は100km伸びる。なお、ポルシェの充電ステーションはすべて再生可能資源で得たエネルギーを使っている。

 

ポルシェのエココンシャスな取り組みは、華やかなEVスポーツカー「タイカン」だけではない。輸送業務=ロジスティックスといったスポットライトを浴びる機会の少ない舞台でも、彼らのゼロエミッション化は着々と進んでいる。

 

 

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)