【検証】ホンダNSX 新旧比較! 2019年モデルの進化をサーキットで確かめる。

2018/12/31 17:51

HONDA NSX

ホンダNSX  2019 MODEL

 

 

改善を確かめるにはサーキットしかない。

 

2016年のデビュー以来、初のフェイスリフトを受けた2019年モデルの「ホンダNSX」については、まずプレス向け国内試乗会が開催された一般道のワインディングロードで、その走りの進化を確認した。ワインディング・ベストのSPORT+モードでは、一連の挙動の繋がりがより滑らかになり、自然なドライビングでその速さを引き出せるようにクルマに仕上がっていたのだ。

 

では、もてるパフォーマンスをフルに発揮できるサーキットでの走りはどうか。今回はそれを確認するべく、いよいよNSXを袖ヶ浦フォレストレースウェイに持ち込み、全開で走らせた。

 

 

いきなり寒波が襲った関東地方。この日の気温は摂氏3度ほどで、路面温度の面でもテストに適した状況ではなかったのは事実だ。しかしながらテストには2017年モデルも持ち込み、少しだけ走らせることができたから、2019年モデルの進化、あるいは違いを、それなりには掴めたと思っている。

 

 

路面に対する感度が増した2019年モデル。

 

走行は最初からTRACKモードで行なった。ここでまず感じたのは、2016年モデルに較べて路面のアンジュレーションに対する感度が高く、クルマが縦方向に揺すられる傾向にあることだ。アンチロールバーのレートは高められているがスプリングは変更されていないことを考えると、TRACKモードのダンパー減衰力、そして新採用のコンチネンタル スポーツコンタクト6の影響だろう。

 

 

それもあり、タイヤが暖まるまでの挙動は結構スリリング。しかしながら正直に言えば、ある程度グリップが出てきたと感じられた後も、特に最初の数周は、ちょっと走りづらいなと感じていた。動画は、まだだおっかなびっくり走らせている時点での走りで、正直なところまだ全体に攻めきれていない感じが残っていると、予め言い訳しておく。

 

基準としたのは95Rの第2コーナー。ここで自信をもってステアリングを切り込んで行けず、アクセルを長い時間戻さざるを得なかった。前述の変更などでロールが抑制されたせいだろうか? 2017年モデルの方がきっかけを掴みやすく思えた。

 

 

2019年 vs. 2017年モデル。舵角自体は大差ないが・・・。

 

他のコーナーを含めて舵角も大きく感じられた。しかしながら比較のため2017年モデルを再度試して車載映像を確認すると、実は舵角自体は大差なかった。但し、同じ舵角でもステアリングをなかなか戻せておらず、おかげで曲がらない印象となっている。8コーナーや最終コーナーなどはそれが顕著だ。

 

解決策は・・・2コーナーなどは、まずは思い切って行ってみる。向上したタイヤのグリップを信じてステアリングを切り込み、タイヤに荷重をかけていくと、新しいNSXは高い速度を保ったまま嬉々としてコーナーをクリアできるのだ。一方、ブレーキングの必要なコーナーでは、速めの速度でアプローチし、ブレーキを残し気味にして入っていくと、操舵感もターンインの素直さも増してくる。

 

 

2019年モデルを操るにはリアの安定感を活かすこと。

 

2017年モデルはSH-AWDによるフロントのLSD効果、要はノーズを引き込むモーメントが大きく、小さな舵角から車体がインを向き始めるのと、おそらくはリアのグリップがほんのわずかに低いのとが相まって、やや人工的ではあっても曲がるという確信のもとに切り込んで行ける。対する2019年モデルは、ここでは車体の跳ねも相まってステアリングインフォメーションが薄く、切り込んだ瞬間のゲインも抑えられ、しかもリアも安定しているため、曲がっていかないと感じる。そんな側面もありそうだ。逆に言えば、リアの安定感を活かして積極的に曲がる姿勢を作っていくのがコツと言えそうである。

 

 

ひと筆書きが可能になった、NSX 2019年モデル。

 

一方、進化を明らかに実感させたのがコーナーに入ってからの振る舞いだ。ワインディングロードで感じたのと変わらず、一連の挙動の繋がりがスムーズになり、どこかでギクシャクするようなことがほとんど無くなった。初期応答が穏やかになった分、オーバーシュート感が減っているのも事実で、切って、曲がりすぎと感じて少し戻して・・・という動作が不要になり「ひと筆書き」感が増している。

 

 

そして、旋回中にアクセルを開けていくと、フロントが引っ張るというよりは、フロントも引っ張りつつリアも旋回を助けるかのような絶妙なニュートラル感で曲がっていくことができる。より正確に言うならば、従来もスイートスポットにハマればそういうコーナリングは出来たのだが、新型はその平均台の幅が広くなったという雰囲気。素晴らしく速く、安定感たっぷりのコーナリングはこのクルマの真骨頂。あまりの自由自在感に、ホレる瞬間だ。

 

 

新型なら臆せず踏み込んで行ける!

 

パワートレインにも、やはり違いを感じた。スペックに変化は無いが、制御に手が入れられた恩恵だろう。アクセル操作に対するレスポンスがよりリニアになって、コーナーの立ち上がりで、意のままの加速を得られる。早開き感があるとどうしても踏み込みに躊躇が生まれたり、あるいは一旦踏んだアクセルを戻す動作が必要になるが、2019年モデルは臆せず踏み込んで行けるから、スピードの乗りも良いのだ。

 

 

確かにリニアリティは高くなったが・・・。

 

要するにコーナリングも加減速も、これまではやや強調され過ぎていた感のある電気モーターのレスポンスの良さ、あるいは制御のフレキシビリティを少し抑えめにすることで、リニアリティを高めたのが2019年モデルの走りと見ることができそうである。それだけに、やはり最初に記した操舵初期の応答性、インフォメーションの甘さが惜しい。ここでのリズムの作りにくさが、コーナリング全般に影響してしまう。

 

あるいは、このクルマは鈴鹿サーキットのように路面が平滑で、高い速度を保ったまま連続するコーナーを繋いでいくコースでこそ、旨味をより発揮しやすいのかもしれない。やはり一度、訪れる必要がありそうだ。但し、もう少し暖かい時期に・・・。

 

 

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)

PHOTO&MOVIE/宮門秀行(Hideyuki MIYAKADO)

 

 

【SPECIFICATIONS】
ホンダ NSX

ボディサイズ:全長4490 全幅1940 全高1215mm
ホイールベース:2630mm

トレッド:前1655 後1615mm
車両重量:1800kg

 

エンジン:V型6気筒DOHC24バルブ+3モーターハイブリッド
総排気量:3492cc

ボア×ストローク:91.0×89.5mm

圧縮比:10.0
最高出力:373kW(507ps)/6500 – 7500rpm
最大トルク:550Nm(56.1㎏m)/2000 – 6000rpm

 

モーター:交流同期電動機

最高出力:前27kW(37ps)/4000rpm  後35kW(48ps)/3000rpm

最大トルク:前73Nm(7.4kgm)/0 – 2000rpm 後148Nm(15.1kgm)/500 – 2000rpm

 

システム最高出力:427kW(581ps)

システム最大トルク:646Nm(65.9kgm)

バッテリー:リチウムイオン電池(72個)

 

トランスミッション:9速DCT
駆動方式:4WD
ステアリング形式:電動パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後ウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前245/35ZR19 後305/30ZR20

 

車両本体価格(税込):2370万円

 

 

【問い合わせ】
Honda お客様相談センター

TEL  0120-112010

https://www.honda.co.jp

 

おすすめニュース