【国内テスト】「ランボルギーニ ウルス」に感じたスーパーSUVの真意。

2019/01/02 17:55

Lamborghini Urus

ランボルギーニ ウルス

 

 

今後を担う新クラス「SSUV」=ウルス。

 

まさに絶好調の極みをみせる昨今のランボルギーニ。ひと昔前とは違い、車両の完成度は飛躍的に向上、巧みな販売戦略とラインアップの拡大によって、7年連続して前年対比を上回り続けている。そして、その勢いを留まらせることのないように次なる策として用意されたのが、このSSUV=スーパー・スポーツ・ユーティリティー・ビークル「ウルス」である。

 

 

世のSUVブームをみての判断だと思うが、ランボルギーニもそれに乗っかったのか・・・などとデビュー当初は思っていたが、考えてみれば過去に12気筒を積んだLM002を造っていたのだから、ブランド的には不思議ではないだろう。とはいえ、乗っかったのも間違いない。事実、ベントレーのベンテイガを皮切りに、プレミアムブランドのビックサイズSUVブームが巻き起こっているのは確か。他にロールス・ロイス カリナンや、アストンマーティンはDBXをリリースする予定のほか、あのフェラーリですらSUVの計画が噂されているのだから、この市場はこれからさらに面白くなると思われる。

 

 

デカくても巨大な塊のようには感じない。

 

まず、ウルスを見て思うのは、そのサイズ感だ。やはりデカイ! ベンテイガのときにもそう思ったが、ウルスの車格は他のSUVとは違い、迫力がある。しかし、ランボルギーニの流儀に沿って全体的にシャープなデザインに仕上げられているせいか、巨大な塊のようには感じない。プロポーション全体からランボルギーニのDNAを散りばめていることもあって、SUVでありながらもランボルギーニと思えるのだから上手くまとまっていると思う。

 

 

ドライブモードは6種類。

 

コクピットに収まり、機能面も含めて確認すると、ドライブモード「Tamburo」の数に驚く(セレクターレバーには「ANIMA」と書かれているが)。アヴェンタドールやウラカンなどと違い、ウルスはSUVというだけに全6モード用意される。従来の「STRADA」や「SPORT」に加え、砂利道やオフロードに適した「TERRA」、砂丘や砂地用に「SABBIA」、雪上用に「NEVE」、そしてサーキット用の「CORSA」のほか、各モードを好みに応じて組み合わせることが出来る「EGO」まで備えている。ウルスを購入するカスタマーがこれを全部使いこなすとは想像しにくいが、今や中東でも大人気だから、グローバルにみれば必然なのだろう。というか、そこまでの走破性をもっていることは、はったりではない証しでもある。

 

 

クセのない素直なストラーダモード。

 

意外だったのは、走り出すと思いのほか、サイズ感を思わせないこと。確かにデカイのは否めないが、扱いにくいという印象はほとんどなかった。4輪の接地感も低速域でも良いし、ステアリングの舵角も街中で乗っていても適切で妙なクセもなく、非常に素直な印象を受ける。それにV8ツインターボもそう。特にランボルギーニに乗っているぞ!という荒々しさなど微塵もなく、むしろ従順すぎて、らしくないとすら思えてしまう。ランボルギーニの獰猛さを望む向きにとっては、ちょっとがっかりするかもしれないが、しかし、まぁ、お待ちなさい、という感じだ。つまり、これはストラーダモードで乗っているときの話である。

 

 

生真面目さが活きる650ps&850Nm!

 

そして、いつものワインディングに到着し、スポーツモードやコルサモードを選択。徐々に攻めてはじめると、ちゃんとランボルギーニが顔を出す。といっても、最近のランボルギーニの味だ。とにかく真面目! 生真面目! そう思わせるほど、その動きは秀逸だ。650ps&850Nmを誇る4リッターV8ツインターボエンジンは、さすがに公道では手にあまるほどだが、それをうまく調教するかの如く、シャシーのほうでカバーする。しかも従来のトルクコンバーター式の8速ATを組み合わせるにも関わらず、俊敏に反応するから尚さらだ。

 

 

際立つリヤステアの恩恵!

 

その肝となるのが、リヤホイールステアリング。アヴェンタドールSにも採用されているものの、こちらはSUVだから比べようもないが、その恩恵は確かだ。仕組み自体は、他車と同様に低速時では逆位相、高速時では同位相となり、最大+/-3.0度の動きを設定しているが、これが巨漢であるがゆえに、それ以上の効果を実感する。とにかく曲がる! そしてロール量が適切! というよりもロールの抑え方が上手い! 併せてトルクベクタリングの効果も発揮されるだけに、SUVとは思わせないほどのペースに持ち込ませてくれる。

 

 

リヤ重視のトルク配分!

 

しかも、エンジンサウンドも良好だ。特にコルサモードを選択し、存分に飛ばしてやると、野獣のような荒々しさとともに楽しませてくれる。それに加え、トルクとパワーの繋がりが良い! 高回転域のパワー感は、もはやSUVとは思えないほどで、さすがはコルサモードを備えているだけのことはある!と納得させられてしまった。これなら本気でサーキットもこなすだろう。前後トルク配分を基本40対60としながら、最大で70%フロントへ、その一方リヤ側には87%ほど伝達される可変型としているが、オンロードでは基本はリヤ重視となっているだけに、その走りはスポーツカーといって差し支えないほどだ。ちょっと背の高い、巨大なスーパースポーツに乗っているという印象である。

 

 

抑えが効かなくなるほどの完成度。

 

ここまで好印象だと、他のモードも試したくなるのは当然。今回は、オンロードのみと広報に釘をさされてしまったが、次回は是非ともオフロードやサーキットを試したいものだ。それほどオールステージ使えるSUVだと思う。おそらく、これならオーバーステア時の挙動やコントロールにも期待できそうだし、オフロードにおいても軽快に走破しそうな気がする。ましてや2トンを超える重さを感じないうえ、カーボンセミラックブレーキの効きが抜群なのも見事。空力にもこだわったというだけに、高速道などでも直進安定性が良いから飛ばすなというほうが無理な話で、スーパースポーツカーよりも目線が高いこともあって運転しやすいだけに、抑えが効かなくなりそうだったことも付け加えたい。

 

ランボルギーニは、このウルスにおいてSUV界をも制圧したいのだろう。そんな強い意志を感じてならない。とても販売数だけを狙ってラインアップに加えたとは思えないほどの本気度だ。しかも日常でも扱いやすいとなれば、ランボルギーニの知名度はこれからさらに上がっていくに違いない。恐るべき、フレキシブルな猛牛である。

 

 

REPORT/野口 優(Masaru NOGUCHI)

PHOTO & MOVIE/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

 

 

 

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