「ポルシェ911カレラS & 4S」初試乗! 992型の実情を島下泰久氏がレポートする。

2019/02/05 17:55

Porsche 911 Carrera S & 4S

ポルシェ 911 カレラ S & 4S(Type 992)

 

 

これまでの常識を塗り替えられたような気持ち。

 

昨年11月にLAで発表され、そして12月にはホッケンハイムにてテクニカル・ワークショップが実施された新型「ポルシェ911カレラS/カレラ4S(タイプ992)」を、やっとドライバーズシートで試す日がやってきた。新型のコンセプト、メカニズムの詳細についてはGENROQ Webで詳細に採り上げてきたから、必要ならばそちらを参照してほしい(関連リンク参照)。ここではヴァレンシアで行なわれたプレス向け国際試乗会でのファーストインプレッションをお伝えする。

 

舞台となったヴァレンシアのリカルド・トロモ・サーキットに用意されていたのは、すでに発表されている911カレラS/カレラ4Sの、いずれも8速PDK仕様だった。まずここを起点とする一般道の試乗に駆り出したのは、カレラ4S。リアアクスルステアリング、PDCCなどを装着した、ほぼフルオプションの車両だ。

 

 

最初に感じたのは、なんとも不思議なフィーリングであった。前後左右への姿勢変化がきわめて小さく、その点ではクルマがどっしり大きくなったようなのに、動きは明らかに軽やか。しかも乗り心地も上々なのだ。

 

実際、ホイールベースは従来から変わっていないが、前後トレッドは拡大されているし、サスペンションもスプリングレートが大幅に引き上げられているから、姿勢がフラットに保たれるのも、操舵に対して機敏に反応するのも解る。試乗車に装着されていたリアアクスルステアリング、PDCCも、それを後押ししているのは間違いない。その上、新しいダンパーのしなやかな動きが快適性向上に大きな役割を果たしているのも想像はできるのだが、実際にこれだけのレベルで、背反するはずの要素が両立しているのを体感すると、狐につままれたような気持ちにさせられるというか、これまでの常識が塗り替えられるような感じにさせられてしまう。

 

 

リアステアは先代比で6%クイックに。

 

軽やかにレスポンスし、全域にみっちりとトルクが詰まった水平対向3.0リッターツインターボエンジンも、そんな印象を強調している。機を見るに敏な8速PDKとの連携プレイで、いつでもアクセル操作に対して即応して欲しいだけの力をもたらしてくれるから、これまたクルマが軽快に感じられる。実はトルクカーブを見ると先代よりもアイドリング付近が痩せていて心配していたのだが、まったくの杞憂だった。変速自体も非常にスムーズで、不満の出る余地は皆無と言っていい。

 

唯一、引っかかったのがサウンドである。ベーベーと低音が強調され、抜けも良くない排気音の元凶は、ヨーロッパ仕様に備わるGPF(ガソリン微粒子フィルター)だろうか。日本仕様がもう少し良い音であることを願うばかりだ。

 

 

ワインディングロードでは、やや鼻先が重たげではありつつもトラクションは強力で、タイトコーナー立ち上がりで敢えてドンッとアクセルを踏み込んでも、スキッドする気配すら見せない。一瞬のうちに前輪にトルクが移り、リアがグリップを回復してしまうからで、安心感は非常に高い。但し、こうした場面でステアリングフィールが微妙に変化するのは気になるところではあった。

 

 

続いてカレラSに乗り換えると、まるで服を1枚脱ぎ捨てたかのように軽快な走りを堪能することができた。カレラ4Sと較べるとやはり車体が軽いのは明らかで、右に左に思い通り向きが変わる。ステアリングフィールも上々。切り込んでいくとほとんどロールを感じさせることなく旋回していく。先代に較べて、リアアクスルステアリング装着車では6%ステアリングがクイックになっているはずだが、それについてはさほど大きな差は無いように思えた。

 

 

操舵に対して忠実に制御するウェットモード。

 

そして、散水車で水をまいたカートコースで新採用のポルシェ・ウェットモードを体験。PSMでオーバーステアを防ぐだけでなく、ダウンフォースを増やし、スロットルを絞り、必要ならばブレーキをかけることでアンダーステアも抑え、また操舵に対してできるだけ忠実にクルマを曲げてやろうという制御は、確かにこうした路面では有用と実感した。とりわけ、ゲリラ豪雨にも見舞われる日本では、ギミックなどと馬鹿にしないほうが良さそうだ。