「ポルシェ911カレラS & 4S」初試乗! 992型の実情を島下泰久氏がレポートする。

2019/02/05 17:55

 

 

リラックスして攻め続けられる「992」!

 

そうして、いよいよサーキット走行の順番が巡ってきた。インストラクターを2台の参加車両が追従する走行で、先導するのは昨年のバンコク – シンガポール2000kmツアーをともにしたAdmi。気心知れているせいか、最初から思い切り行ってくれた。

 

ここでまず唸らされたのは、その乗りやすさである。グリップは縦方向にも横方向にも予想するより更に先まであるという印象だし、しかもそれを超える際にもピーキーさは皆無。フロントもリアもタイヤの状態が生々しく伝わってくるから、スキール音が鳴る領域でも、あるいは更にその先のスライドしはじめる所でも、至極リラックスして攻め続けられるのだ。

 

 

リカルド・トロモは全体に、クリッピングを奥に取って車体を真っ直ぐにしてからアクセルオンというガマンのコーナーが多い。事前に車載ビデオを観たマーク・ウェバーはトレールブレーキングを多用していたから、筆者もそれを真似てブレーキングを奥まで堪えて一気に減速しながら舵を入れていくと、ちょうどニュートラルステアに近い感覚で曲がっていくことができた。

 

PSMの制御の巧みさも感心させられたところで、攻め過ぎると確かに介入するのは解るのだが失速感は無く、リズムが崩されることがない。PSMオンのままでも、相当なところまで安心してスポーツドライビングを楽しめるのは嬉しい。

 

 

進化の大きさは想像を超えるレベル!

 

エンジンの印象は一般道でのそれと同じで、とにかく全域で扱いやすく、そして速い。7500rpmまできっちり使い切れるだけでなく高回転域に近づくほど切れ味を増してくるから、ついつい右足に力が入る。一方、新素材ブレーキペダルを使い、ストロークを短縮したブレーキは基本的にはカチッとした小気味いいタッチなのだが、時に足裏へのフィードバックに揺らぎがあるのが引っかかった。制動力については、これはもう申し分無いものだったのは間違いない。

 

 

タイプ997からタイプ991への移行では、特にその走りの面で、911がスーパースポーツというカテゴリーへと仲間入りするような大きな飛躍を感じた。それに較べるとタイプ992は、タイプ991からの変化という点では驚きは少ないが、しかし進化の大きさは想像を超えるレベルにあった。タイプ991が繊細な印象に思えてくるというか、タイプ992は明らかに軽快で、ソリッドで、パワフル。全方位への飛躍的な進化の代償で味わいとしてはややドライな印象も無くはないが、それでもこのパフォーマンスの前ではひれ伏すしか無い。

 

 

「ポルシェの流儀」は992でも貫かれている。

 

普段遣いがまったく苦にならない911らしさも、変わらず継承されている。いや、むしろ実用車としてもその走りの上質さ、扱いやすさはきわめて高いレベルにある。凡百のセダンでは足元にも及ばないくらいに。誤解を恐れず言えば、特にPDK仕様だと普段乗りは”いい車過ぎて”退屈に感じるかもしれないとすら思ったほどだが、それはこの余裕を刺激的な走りの方に寄せたGT3などのモデルを、一層楽しみなものにする要素であることも、また事実である。

 

 

贅沢過ぎる不満も記したが、個人的にはこのタイプ992、マッシヴで未来的な部分もあるスタイリングや先進のインターフェイスを備えつつも伝統の匂いを意識させるインテリアも含めて、凄まじく気に入っている。まだ先になりそうな気配だが、カレラの左ハンドルのMTが導入されるならば、その時には・・・と目論んでいるのだが、但し、価格は気がかりだ。既に発表済みの911カレラS PDK仕様の価格は1666万円、カレラ4Sでは1772万円と、前者がざっと80万円、後者も60万円ほど値上がりしているから、筆者の望む、おそらく911ではもっと廉価な仕様でも1300万円台には入ってきそう。しかも左ハンドルやMTが、導入されるかどうかは定かではないのだ。

 

話が逸れたが、とにかく言えるのは新型911が筆者をソノ気にさせる仕上がりだったということである。期待通り、その完成度は想像のもう一歩、いや二歩は先を行っていた。いつものポルシェの流儀は、ここでもしっかり貫かれたのである。

 

 

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)

 

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