新型「ポルシェ911(992)カレラS & 4S」初試乗! 大谷達也の印象とは。

2019/02/18 17:55

Porsche 911 Carrera S & 4S

ポルシェ 911 カレラ S & 4S

 

 

タイプ992で目指したものとは?

 

「タイプ992の開発に先立ち、ピークパフォーマンスはタイプ991のレベルで十分に高いと判断しました。そこでタイプ992ではもう少し違った性能を伸ばすことにしたのです」

 

スペイン・ヴァレンシアで開かれたポルシェ911国際試乗会が間もなく終わろうとしているころ、シャシー担当エンジニアが打ち明けてくれたこの言葉でポルシェがなにを目指してタイプ992を開発したのか理解できたような気がした。

 

 

注目すべきは拡大されたトレッド。

 

GENROQ Webでも既報のとおり、タイプ992はトレッドが拡大(カレラSは前後、カレラ4Sはフロントのみ)され、リアタイヤは従来の20インチから21インチへとひとまわり大きくなった。結果として、タイプ992は前後のタイヤ・グリップがいちだんと向上したはずだが、では、このグリップの向上分をポルシェはなにに利用したのか? 私が新型911の試乗会に際してもっとも注目していたのが、この点だった。

 

今回の試乗会は911カレラSとカレラ4Sが対象。ただし、カレラ4Sは台数が限られていたため、主にカレラSに試乗し、カレラ4SはカレラSとの違いを確認する程度の短時間のテストドライブとなったことをあらかじめお断りしておく。

 

 

快適性は、上質なスポーツセダン並み。

 

ヴァレンシアの一般道をカレラSで走り初めてまず感じたのは乗り心地が洗練されたこと。個人的には、現行型のタイプ991後期型で911(特にカレラ/カレラ4とカレラS/カレラ4S)の乗り心地はガラリと変わったと感じていたが、大まかな傾向でいえばタイプ992の乗り心地はタイプ991後期型とよく似ており、決して長くはないサスペンションストロークのなかに手触りの柔らかさとぎゅっと引き締まった強靱さを兼ね備えていて、最新スポーツカーのひとつの到達点というべき快適性を実現している。

 

さらに991後期型との比較でいえば、タイヤから伝わる微振動がさらにそぎ落とされてスムーズになったうえ、うねった路面を通過する際のフラット感が一層高まった。この快適性はもはやスポーツカーのレベルではなく、上質なスポーツセダン並みといって間違いない。

 

 

敢えて「カレラ4S」を選ぶ理由はなくなった。

 

こうした印象から想像できるとおり、992のロードホールディング性は驚くほど良好で、このため荒れた路面を通過しても瞬間的にグリップが低下する現象がほぼ消え去った。後輪駆動でハードコーナリング中にリアタイヤのいずれかのグリップが低下するとハンドリング特性にも見逃せない影響を与える。私が四輪駆動を、つまりカレラSよりもカレラ4Sを好む最大の理由がここにあった。

 

しかし、カレラSのロードホールディング性が向上して一般道のコーナリング中に断続的なグリップ低下が認められなくなったいま、ウェットやスノーなどの滑りやすい路面を走るとき、もしくはサーキット走行でトラクション性能を重視したい場合を除けば、敢えてカレラ4Sを選ぶ理由はなくなったといっていい。この点は、この日の遅くにカレラ4Sに試乗して、よりはっきりと確認することができた。

 

 

コントロールしやすいテールスライド。

 

極限的なハンドリングはどうだったのか? ロードホールディング性が向上したこともあって一般道では限界的なコーナリングを試せなかったが、カレラSで臨んだサーキット走行では何度かテールスライドを味わうことができた。そのときの印象を記せば、まず、リアタイヤの滑り出す明確な予兆に続いてテールが流れ始めるのだが、スライドするスピードがよくコントロールされていて唐突なところが一切ない。このためカウンターステアをあてるのは容易。しかも、リアタイヤが流れ始めてから収束するまでの動きがとてもスムーズで、まるで鮮やかな一筆書きのように滑らかな挙動を示してくれるのだ。

 

くわえて、テールスライド中に起きるトラクションの低下が最小限に留められており、オーバーステアの状態でも確実にクルマが前に進んでいくことには驚かされた。このとき、ドライビングモードはスポーツ・プラス、スタビリティ・コントロールはオンのままとしたが、エンジンパワーが急激に絞られたり、オーバーステアを打ち消すための“一輪ブレーキ制御”がわざとらしく介入することもなく、ドライバーは自分が主体的にクルマをコントロールしている実感を味わえる。

 

 

エンジン回転数に伴いリニアにパワーが立ち上がる。

 

ところで、私はタイプ992のワークショップに関するリポートで「ボトムエンドのトルクが細ったことでドライバビリティが低下したのではないか」との懸念を提示した。実際のところ、991後期型に比べると、たしかに1000rpm台のトルクは細くなっている。ただし、それはドライバビリティを損なうほどのものではなく、むしろエンジン回転数の上昇に伴ってリニアにパワーが立ち上がる特性に仕上げられていて、スポーツカーとしてはこのほうが好ましいと思わせるものだった。これに比べると、991後期型のドライバビリティは確かに素晴らしかったが、フラットトルクな印象が強すぎてやや官能性に欠けていたといえないこともない。

 

ただし、2000rpmを越えてからのパワーは力強く、回転フィールも滑らか。いっぽう、トップエンドでは最後の1000rpmでトルクが徐々に下降していく。レヴリミットまでズバッと回転を上げて急激にリミッターが作動するよりも、レヴリミットに近づいたことを直観的に伝える992の特性のほうが、とりわけサーキット走行では効率的な走りができるように思われた。しかも992は8速PDKを得て2〜5速がよりクロスしたレシオになったので、シフトアップしてからも途切れることなく加速していく印象が強い。ボトムエンドのトルク特性を含め、私には991後期型よりも992のパワートレインのほうが魅力的に感じられた。

 

 

着座位置はヒップポイントが微妙に下がったが、ドライバーズシートからの見晴らしは紛うことなきポルシェ911。垂直に近い角度で切り立ったウィンドウ類は良好な視界をもたらし、手を伸ばせば助手席側のドアにもギリギリで指先が届きそうに思えるサイズ感も好ましい。それでいてサーキットで連続周回をこなしてもへこたれない。こんなスポーツカーは世界中探してもほかにはないだろう。8代目になってもポルシェ911の本質的な価値はまったく変わっていないと断言できる。

 

 

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)

 

 

【SPECIFICATION】

ポルシェ911カレラS

ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1300mm
ホイールベース:2450mm

トレッド:前1589 後1557mm
車両重量:1515kg

 

エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc

ボア×ストローク:91.0×76.4mm

圧縮比:10.2
最高出力:331kW(450ps)/6500rpm
最大トルク:530Nm/2300 – 5000rpm
トランスミッション:8速DCT(PDK)
駆動方式:RWD

 

ステアリング形式:電動パワーアシスト

(オプション:リアアクスルステアリング)
サスペンション形式:前マクファーレンストラット 後マルチリンク
ブレーキシステム:前6ピストン 後4ピストン(アルミモノブロック)

ディスク径:前350×34 後350×28mm

タイヤサイズ(リム幅):前245/35ZR20(8.5J)後305/30ZR21(11.5J)

 

最高速度:308km/h

0 – 100km/h加速:3.7(3.5)秒

0 – 160km/h加速:8.1(7.8)秒

0 – 200km/h加速:12.4(12.1)秒

※( )内はスポーツプラスモード時

 

CO2排出量(EU):205g/km

燃料消費率(EU複合):8.9L/100km

 

 

ポルシェ911カレラ4S

ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1300mm
ホイールベース:2450mm

トレッド:前1589 後1557mm
車両重量:1565kg

 

エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc

ボア×ストローク:91.0×76.4mm

圧縮比:10.2
最高出力:331kW(450ps)/6500rpm
最大トルク:530Nm/2300 – 5000rpm
トランスミッション:8速DCT(PDK)
駆動方式:AWD

 

ステアリング形式:電動パワーアシスト

(オプション:リアアクスルステアリング)
サスペンション形式:前マクファーレンストラット 後マルチリンク
ブレーキシステム:前6ピストン 後4ピストン(アルミモノブロック)

ディスク径:前350×34 後350×28mm

タイヤサイズ(リム幅):前245/35ZR20(8.5J)後305/30ZR21(11.5J)

 

最高速度:306km/h

0 – 100km/h加速:3.6(3.4)秒

0 – 160km/h加速:8.3(8.0)秒

0 – 200km/h加速:12.7(12.4)秒

※( )内はスポーツプラスモード時

 

CO2排出量(EU):206g/km

燃料消費率(EU複合):9.0L/100km

 

 

【問い合わせ】

ポルシェ カスタマーケアセンター

TEL  0120-846-911

http://www.porsche.com/japan/