「マセラティ レヴァンテ」雪上テスト! 伊達ではない走破性を実感。

Maserati Japan Snow Experience 2019

マセラティ ジャパン スノーエクスペリエンス 2019

 

 

ラグジュアリーSUV「レヴァンテ」の実力とは。

 

「センターコンソールのシフトレバーの後方辺りに、ボウリングのボールが置いてあると思ってください。運転しているときに、このボールがどう動くのか、それをイメージしながらやってみましょう」

 

試乗前にレクチャーをしてくれたのは、“マスター・マセラティ ヘッドコーチ兼インストラクターのアレックス・ブルスケッタ氏だった。マセラティは本国でドライビング・アカデミーを開催していて、彼はそのトップを務めるオフィシャル・インストラクターである。WRCやヨーロピアンラリー・チャンピオンシップ参戦、イタリアン三菱ラリートロフィ優勝、イタリアンスバルトロフィ優勝など輝かしい戦績と経験を持ち、プライベートでは11台(!)ものクルマを所有し、スキーのインストラクターの資格も持っているという。そんな頼もしいインストラクターが“マセラティ・ジャパン・スノー・エクスペリエンス2019”のために来日してくれた。

 

 

いわゆる“雪上試乗会”に用意されたのは「レヴァンテ」。日本では3リッターのV6ツインターボが2種類(350ps/500Nmと430ps/580Nm)、V8ツインターボが2種類(550ps/733Nmと590ps/734Nm)、そしてV6ディーゼルターボ(275ps/600Nm)の計5タイプからエンジンを選べるが、そのすべてが会場に用意されていた。どこもかしこもSUVのラインナップ拡充に躍起になっている中で、単一車種でディーゼルから590psのV8ツインターボまでを揃えるモデルは稀少である。このレヴァンテを使って、インストラクターの指導のもと、スノードライブが堪能できるという贅沢なイベントである。

 

レヴァンテは全車が4WDの駆動レイアウトを持ち、空気ばねと電子制御式可変ダンパーを組み合わせたエアサスペンションを標準装備している。4輪駆動システムは“Q4”と呼ばれるオンデマンド式で、通常は前後トルク配分を0:100として後輪駆動の走りが楽しめるとともに、状況に応じて多板クラッチの圧着率を変えて最大で50:50まで可変する。アルファ・ロメオ・ステルヴィオも基本的には同じシステムを共有するが、ステルヴィオはエアサスの用意がないので車高調整ができない。レヴァンテは6段階の最低地上高からドライバーが任意で選択できるし、ドライブモードや速度によって車高の自動調整を行なう。機械式LSDとブレーキを使ったトルクベクタリング機構を標準で備えている点もレヴァンテの特徴のひとつである。

 

 

正確なロードインフォメーションの効果。

 

ボウリングのボールの話をしてくれたアレックスはさらにこう続けた。

 

「加速をするとボールは後ろに、減速をするとボールは前に、ステアリングを右に切ればボールは左に、左に切ればボールは右に動きます。こうしたボールの動きはクルマの荷重移動、あるいはピッチングやロールといった挙動を表していて、特に滑りやすい路面では、できるだけボールの動きが少なくスムーズになるような運転を心掛けてください」

 

雪道では“急”がつく運転操作をしないようになんてよく言われているけれど、アレックスの説明はそれと同じ内容を、クルマの物理的運動に置き換えて具体的に分かりやすく教えてくれるものだった。そうはいってもドライバーの入力に対してクルマがきちんと動いてくれないと、理想のドライビングは難しい。

 

 

レヴァンテの操縦性は、豊富なロードインフォメーションとコントロール性の高さによって成立している。ところどころがアイスバーンになっていて、路面のミューが刻々と変化する状況でもロードインフォメーションが正確に伝わってくるので、いまクルマが置かれている状態を掴みやすい。例えばタイヤがグリップを失うような場面でも、それ以前の段階で兆候を捉えられるからドライバーは来たるべき状況にあらかじめ備え、遅れることなく対処することができる。

 

全長は5m、ホイールベースは3mをそれぞれ超え、車重も2トン以上という堂々たるレヴァンテのスペックは、レスポンスの悪さや緩慢な動きを想起させるものの、実際にはボディの大きさや重さをほとんど意識させない。ドライバーによるステアリンとペダルの操作に対するクルマ側の反応が素早く、そして期待通りなのである。ドライの路面でもレヴァンテのコントロール性の高さは実感できるが、スノードライブでは4輪駆動システムや機械式LSDなどによる前後左右のトルク制御が積極的に働いて、より顕著に感じられる。

 

 

エンジンパワーが上がるほどコントロールしやすい。

 

メーターパネル内のモニターには、4輪駆動の前後トルク配分の模様がリアルタイムで映し出される。これを見ていると、1秒以下の単位で細かく制御していることが分かるものの、ドライバーにはそれがほとんど伝わってこない。クルマの状態や路面コンディションに最適な前後トラクションを提供してくれているから、“制御されている”感じが希薄なのだろう。

 

また、意図的にオーバーステアを誘発するような場面では、アンダーステアの段階からその様子が的確に認識できるし、そこからオーバーステアに転じる過渡領域での挙動も決して唐突ではなく、クルマの動きに合わせてカウンターステアを当てながらボディを進行方向へ向けられる。この一連の運転操作とクルマの反応は、実際にはまるでスローモーションのように穏やかので慌てることなく、むしろドライビングを楽しむ余裕すら享受できるのである。

 

 

レヴァンテにはこれまでに何度も試乗しているけれど、今回は再発見があった。それは、エンジンパワーが上がっていくほどにコントロールしやすくなっていくという点。ディーゼルよりもV6、V6よりもV8のほうが扱いやすかったのだ。通常ならターンインからクリッピングポイントまではスロットルペダルを踏み込むのをしばし我慢するが、雪上のような滑りやすい路面では、この我慢の最中に挙動が変化することがある。この時、スロットルペダルを踏んでタイヤにトラクションをかけてやったほうが姿勢が安定する場合もある。

 

ディーゼルだと、右足を動かしてから実際にタイヤにトラクションがかかるまでにちょっとしたタイムラグが発生するが、ガソリンのV6ツインターボだとドライバーの入力とクルマの反応がほぼリニアなので、クルマの挙動をスロットルペダルでもコントロールできる。V8ツインターボになるとさらにレスポンスがよくなって、ボディを横に向けるのもたやすい。ハイパワーのエンジンは時に過剰なトラクションを与えかねず、雪道では慎重なスロットルペダル操作が求められる。この点でも、レヴァンテのコントロール性の高さは実証された。

 

 

高いシャシー性能によりオフロード性能も文句なし。

 

FCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)グループはイタリアのバロッコに広大なテストコースを有しており、その中には本格的なオフロードコースも用意されている。FCAグループにはジープも含まれているので、そのテストをするためなのだけれど、以前レヴァンテでこのオフロードコースを走ったが、まったく問題なく走破して驚かされた経験がある。巷にはなまくらなSUVが数多く蔓延っていて、マセラティのバッジを付けたレヴァンテもまた、見た目や雰囲気重視のモデルだと勘違いされているようだが、決してそんなことはない。シャシーのポテンシャルが高く、電子デバイスや各機構の制御が適正で、きちんとしたオフロードの走破性も兼ね備えたSUVなのである。

 

最後にアレックスが“ホットラップ”と称してコースを全開走行してくれた。参加者ひとりずつ、順番に同乗走行が体験できて、自分の番は終盤だった。レヴァンテに乗り込みドアを閉めるか閉めないかのうちに、彼はスロットルを床まで踏み込んで雪をまき散らしながらコースイン。華麗なるドライビングテクニックにしばし見とれながらも、「疲れてない?」と聞いてみると「全然! オフィシャル・インストラクターだから言う訳じゃなくて、レヴァンテは本当にコントロールしやすいんだ。このクルマじゃなかったら、ホットラップなんてやりやくないね(笑)」と笑った。

 

 

REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro WATANABE)

 

 

 

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