ランボルギーニ アヴェンタドール SVJ ロードスター完全解説。


Lamborghini Aventador SVJ Roadster

ランボルギーニ アヴェンタドール SVJ ロードスター

 

 

800台限定のSVJロードスター

 

ジュネーブ・ショーでのランボルギーニからのトピックスは、2台のオープンモデル。ここでは800台の限定車として誕生した「アヴェンタドールSVJロードスター」を解説することにしよう。ちなみにクローズドボディのアヴェンタドールSVJは、昨年夏にカリフォルニアで開催されたイベント、モータースポーツ・ギャザリングでワールドプレミアしている。こちらはそれをベースとした63台の限定車(つまり限定車をベースとした限定車だ)を加えて、963台を生産する計画だった。ちなみに“63”とは、ランボルギーニの創立年である1963年を意味する。

 

 

SVJとは特別な称号

 

ランボルギーニのステファノ・ドメニカリCEOは、アヴェンタドールSVJを「ドライビングで感じるエキサイティングさはクーペと変わらないが、ロードスターにはオープンエアという特別な魅力がある」と語るが、実際にそのエンジニアリングやスペックを仔細に調べてみれば、その言葉に偽りはないことが容易に確信できる。ネーミングに掲げられる“SVJ”、正確には、SV+J(超高速+イオタ)の称号は、ランボルギーニのカスタマーやファンにとっては特別な中にも特別なもの。安易にそれを用いることは冒涜にさえ値するといってよい。

 

 

アクティブ・エアロダイナミクス・システムを搭載

 

アヴェンタドールSVJロードスターには、クーペに共通するさまざまなエンジニアリングが採用されているが、まずは325km/h以上の最高速度を可能とするばかりではなく、コーナリングにも大きな効果を生み出す、エアロダイナミクスに触れておこう。

 

SVJロードスターのエアロダイナミクスを最適化するのに大きな効果を生み出しているのは、ランボルギーニが特許を取得しているアクティブ・エアロダイナミクス・システムの「ALA(エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ)」。その最新バージョンとなる2.0が搭載されている。

 

 

ALAはフロントのスプリッターとリアウイングにマウントされるモーターを用いて空力的な負荷を変化させ、ダウンフォース量をリアルタイムで変化させるメカニズム。「LDVA2.0(ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・アッティーヴァ2.0)」によって改善された専用のアルゴリズムが車両の全電子制御システムを制御すると同時に、ALAのフラップも500ミリ秒以内に機動させて、あらゆるシチュエーションで最高の空力効果を得る仕組み。

 

例えば、高速コーナリングやフルブレーキング時には、ALAはアクティブフラップを閉じて最大のダウンフォースを生み出すように機能。もちろんコーナリング時には、その方向に応じてALAは左右でダウンフォース量を調整。それをランボルギーニはエアロベクタリングと称している。大型のサイドエアインテークとフロントサイドフィンは、エアフロー量を増やし、冷却効果を高めるほか、こちらもダウンフォースの向上に貢献。結果的にSVJロードスターは、スタンダードなロードスターに対して、ダウンフォースは40%も向上した。

 

 

自然吸気式V型12気筒エンジンは、770ps&720Nmを発揮

 

ミッドに搭載されるV型12気筒エンジンは、SVJ用に改良が施されたもので、これもクーペ版のSVJに等しい。改良ポイントはチタン製のインテークバルブやデザインが改められたインテークシリンダーヘッドダクトなど、大排気量の自然吸気エンジンは、見た目にも相当な迫力を持つのが常だが、このアヴェンタドールSVJロードスターもその例に漏れず、軽量カーボンファイバー製のリアエンジンボンネットを通して、外から実際にその存在を目で見ることができる。

 

ちなみにリアエンジンボンネットはクイックリリースクリップで簡単に取り外しが可能。エキゾーストシステムが奏でるサウンドもその迫力は素晴らしく、また官能的でさえある。95×76.4mmのボア×ストロークから6498ccの排気量を得た、V型12気筒エンジンが発揮する最高出力&最大トルクは770ps&720Nm。レブリミットは8700rpmだ。

 

 

4WD+4WS、そしてLDSによる高次元の旋回性

 

このエンジンに組み合わされるトランスミッションは、シングルクラッチ式の7速ISR(インディペンデント・シフティング・ロッド)。ここから出力されたトルクは電子制御される多板クラッチ式のセンターデフを介して、4輪すべてに伝達され、常に最適な前後駆動力配分での走行を実現する。ステアリングは、その正確さとナチュラルなフィーリングでは定評のあるランボルギーニ・ダイナミック・ステアリング(LDS)。リアホイールステアリングが装備されたことで、タイトなコーナリングや高速コーナリングでの安定感は大きく向上した。

 

 

アヴェンタドールの最終進化型となる可能性も

 

前後に装着されるホイールは、超軽量な「ニレオ」アルミニウム製。これに専用設計となる、ピレリ製Pゼロトロフェオタイヤを組み合わせる。サイズはフロントが255/30ZR20、リアが355/25ZR21という設定。その内側に見えるブレーキはカーボンセラミックディスクで、フロントは400mm径、リアは380mm径。キャリパーは各々6ピストン、4ピストンが採用されている。プッシュロットタイプのサスペンションはプッシュロッド式で、磁性流体式のダンパーを備える。ドライバーはコクピットのスイッチから「ストラーダ」、「スポーツ」、「コルサ」、そしてインディビジュアル・モードに相当する「エゴ」を選択することができ、コンディションに応じて、さまざまなキャラクターの走りを楽しむことが可能だ。

 

全世界で800台のみがデリバリーされる「アヴェンタドールSVJロードスター」。それはもしかすると、アヴェンタドールの最終進化型となる可能性も秘めている。はたしてその後継車は、これまでどおり自然吸気のV型12気筒エンジンを搭載するのだろうか。ここにこだわりをもつならば、800名のカスタマーリストに自らの名を連ねておくのも得策といえるのかもしれない。

 

 

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)