新型ストラトス 誕生物語 Vol.04「筆者の印象と期待」(最終話)

New STRATOS

ニューストラトス

 

 

熱意の結晶「ニューストラトス」

 

ニューストラトスの開発プロジェクトがピニンファリーナに持ち込まれたのが2008年。そもそものプロジェクトの原点ともいえる、クリス・ラバレック氏によるフェノメノン・ストラトスの発表から数えるならば、さらに5年という年月を加えなければならない、ニューストラトス誕生への道。メディア用にプロジェクトの完結と、その完成車の姿が披露されたプレゼンテーションが開催されたのは2010年の11月末だったから現代にランチア・ストラトスを復活させるというクリスのプロジェクトに対してのミハエル・シュトシェック氏、そしてパオロ・ガレッラ氏を中心とするピニンファリーナ、さらにはそれに関連する多くのサプライヤーのすべてが常に新しいクルマを生み出すための熱意を失わなかったことは、まず驚きに値することだろう。

 

 

意外にも快適なキャビン

 

残念ながらこのニューストラトスの走りがどのようなテイストなのかを味わったことはまだないが、さまざまなイベントでニューヨーク在住のジム・グリッケンハウス氏のコレクションに触れたときに、いつもパオロにはお世話になる関係で(昨年はペブルビーチでピニンファリーナ・モデューロのコクピットに我が身を委ねるという幸運を授かった)、いくつかのモーターショーでニューストラトスのシートに座った程度の経験しか持ち合わせていない。

 

 

その時、印象的だったのは、キャビンが意外に快適な空間だったことだ。レーシングタイプのバケットシートは座り心地も良く、じっくりとキャビンを見れば、そもそものストラトスが備えていた、ドア内側のヘルメットケースも用意されていることに気づく。今ではその中に収めるヘルメットもカーボン製だ。センターコンソールやステアリングスイッチなどは、430スクーデリアのそれをそのまま流用したものだから逆に安心感が生まれる。

 

 

エンジンはモーターショーの会場では、残念ながらスタートすることができなかったが、その長いエグゾーストシステムは、きっと素晴らしく官能的な響きのサウンドをキャビンへと響かせてくれるのだろう。

 

 

違和感のないエクステリアデザイン

 

エクステリアデザインで、このニューストラトスは大きな違和感を抱かせないのも特徴だ。オリジナルのストラトスがあまりにも個性的なスタイルであるがために、それを復刻しようとすると、どうしてもそのイメージから抜け出すことができなくなってしまうのが常だが、リトラクタブルヘッドランプや、フロントのスリットをあっさりと捨ててしまったことで、新しさとともにストラトスの正常進化版といったイメージが生まれた。もちろんエアロダイナミクスにおいても、ニューストラトスは大きなアドバンテージを持っているのは当然だ。参考までに、ニューストラトスで実現されたCd値は0.357。さすがはピニンファリーナの仕事である。

 

 

ニューストラトスを見て想うこと・・・

 

どこかのミリオネアに、同じようにモダナイズされた名車を造ってもらうとするのならば、次はどのモデルがいいだろうか。ランボルギーニのミウラは、やはり永遠の夢として封印しておいて、カウンタックあたりがいいのではないかな・・・などと、まったく現実にはあり得ない妄想で、ここ数日を楽しんでいる自分がいる。(終)

 

 

文/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

 

 

【SPECIFICATIONS】

ニューストラトス

ボディサイズ:全長4181×全幅1971×全高1240mm

ホイールベース:2400mm

トレッド:前1668 後1701mm

乾燥重量:1247kg

前後重量比:44:56

エンジン:V型8気筒DOHC

総排気量:4308cc

最高出力:397kW(540ps)/8200rpm

最大トルク:519Nm/3750rpm

トランスミッション:6速SCT

駆動方式:RWD

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)

ディスク径:前398×36 後350×34mm

キャリパー:前6 後4ピストン

タイヤサイズ(リム幅):前265/30/19 後305/30/19