黎明期を経て次なる快進撃へ(1948-1951)【フェラーリ名鑑】

2019/04/30 07:55

ミッレミリア制覇により166MMを販売

 

1948年のミッレミリアをクレメンテ・ビオンデッティとジュゼッペ・ナボーネで、同年のタルガ・フローリオをイゴール・トルベツコイとクレメンテ・ビオンデッティで、さらに翌1949年のタルガ・フローリオもクレメンテ・ビオンデッティとアルド・ベネデッティによって、いずれも総合優勝を果たすなど、デビュー以来多くのレースで166Sによる華々しい活躍を見せたフェラーリ。そのニューフェイスの名前は、瞬く間にイタリアからヨーロッパ、そして世界へと伝わっていった。

 

Ferrari 166 MM

 

そしてフェラーリは、1948年のミッレミリアを制覇したことを転機に、同年末から34台の「166MM」を販売。それはやはりボディのデザインと製作をカロッツェリアに委託したものだったが、その中でも人気が高く、20台以上が製作されたのが軽量なスーパーレッジェーラ構造をもつ、カロッツェリア・ツーリングのバルケッタだった(ツーリングではスパイダーの名でプロジェクトが進められたが)。166MMのカスタマーの中には、実際にレースに使用した例も多く、搭載エンジンはアウレリオ・ランプレディの設計による1995cc V型12気筒を搭載し、最高出力は140psを誇る。これに5速MTを組み合わせ、同様にランプレディの手によるフレームがその基本骨格とされていたのだから、いかにプライベーターとはいえ、その戦闘力はフェラーリのワークスチームと変わることはなかった。

 

 

それが事実として実証されたのが1949年のル・マン24時間レースだ。このレースでルイジ・キネッティとピーター・ミッチェル・トムソンがワークスチームやライバルを抑えて見事に総合優勝を果たしてみせた。ちなみに166MMは、フェラーリがその歴史の中で、初めてカスタマーに販売したモデル。166では他に、グランツーリスモの性格が強いインテルが発売されたことも前項で触れたとおりである。ヴィニャーレによる美しいクーペ等々、166は黎明期のフェラーリを支えた大切なプロダクトだったのだ。その生産は1953年まで続くが、この年製作されたモデルはシリーズⅡとも呼ばれることも多い。

 

Ferrari 195S

 

 

進化を重ねて「195」から「212」へ

 

一方スポーツカーレースでは、166からのさらなる進化が話題となっていた。1950年にはそれまでの166のシャシーを使用し、V型12気筒エンジンを2341ccに拡大。8.5の圧縮比から170psの最高出力を得た「195S」が登場する。

 

Ferrari 195 Inter

 

そして、それに呼応するかのようにロードカーの「195インテル」がフェラーリから発売され、こちらもヴィニャーレやギア、そしてツーリング、モットなどのボディを組み合わせ、1950年から1951年にかけてトータルで27台を販売している。その内訳は、ヴィニャーレが12台、ギアが11台、ツーリングが3台、モットが1台と記録されている。

 

Ferrari 212 Inter

 

1951年には「212エクスポルト」と「212インテル」の両モデルもデビューしている。エクスポルトはコンペティションモデル、インテルはロードモデルというのがフェラーリの考えた両車のキャラクターで、エンジンはいずれも2562ccのV型12気筒だが、圧縮比とキャブレターの違いから、エクスポルトは165ps、インテルは150psと最高出力には若干の差がある。ちなみにボディは、エクスポルトではヴィニャーレが多数を占めているが、その中には1950年に166MMから212エクスポルトの仕様に改良され、加えてトゥーリング製のバルケッタから、個性的な、そして大胆な曲線デザインを特徴とするカロッツェリア・フォンターナによるデザインへとボディを改めたクーペも存在する。

 

Ferrari 212 Export

 

フェラーリがその速さを誇り、そしてさまざまなカロッツェリアがボディの美しさと機能性を誇ったこの時代を、自動車メーカーとしての黎明期としたフェラーリ。それはエンツォ・フェラーリが胸に秘めていた野心を広く知らしめるには最高の時代であったともいえる。そして、レースの世界におけるフェラーリは、ここからさらに快進撃を続けていく。

 

 

【SPECIFICATION】

フェラーリ 166 MM

年式:1948年
エンジン:60度V型12気筒SOHC

排気量:1995cc
最高出力:103kW(140hp)/6600rpm

乾燥重量:650kg
最高速度:220km/h

 

フェラーリ 195S

年式:1950年
エンジン:60度V型12気筒SOHC
排気量:2341cc
最高出力:125kW(170hp)/7000rpm

乾燥重量:720kg

 

フェラーリ 195 インテル

年式:1950年
エンジン:60度V型12気筒SOHC
排気量:2341cc
最高出力:96kW(130hp)/6000rpm

乾燥重量:950kg
最高速度:180km/h

 

フェラーリ 212 インテル

年式:1951年
エンジン:60度V型12気筒SOHC
排気量:2562cc
最高出力:110kW(150hp)/6500rpm

乾燥重量:1000kg
最高速度:200km/h

 

フェラーリ 212 エクスポルト

年式:1951年
エンジン:60度V型12気筒SOHC
排気量:2562cc
最高出力:121kW(165hp)/7000rpm

乾燥重量:850kg
最高速度:220km/h

 

 

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)