フェラーリSF90ストラダーレ発表! 3モーター仕様のハイブリッド スーパースポーツ誕生【動画】

Ferrari SF90 Stradale 

フェラーリ SF90 ストラダーレ

 

 

フェラーリ初の量産ハイブリッドスーパースポーツ!

 

「ハイブリッドを用いたほうがハイパフォーマンスなスポーツカーを造れると、開発の当初から信じていました。決してエミッションを改善するためのハイブリッドではありません」

 

プレゼンテーションが終わったあと、チーフ・テクニカル・オフィサーのミハエル・ライターは私に向かってそう説明した。

 

5月29日、フェラーリはフィオラノ・サーキットに設けた特設テントでニューモデル「SF90ストラダーレ」の発表会を行った。フェラーリのハイブリッドカーとしてはすでにラ フェラーリが存在したが、SF90ストラダーレはハイブリッド・パワートレーンを搭載するフェラーリ初の量産モデルとなる(外部充電機能も有するので、厳密にいえばプラグイン・ハイブリッド・モデル)。

 

 

フェラーリ史上最速と主張!

 

ただし、量産モデルだからといってSF90ストラダーレのパフォーマンスが、ラ フェラーリに劣っているわけではない。それどころか、すべての性能においてSF90ストラダーレは“フェラーリ史上最速”だと、マーケティングと営業のトップであるエンリコ・ガリエラは強調する。その証拠をいくつか挙げれば、0-100㎞/h加速は2.5秒で、フィオラノのテストコースではラ フェラーリを64m引き離してゴールするという。フィニッシュライン通過時の車速が200km/hと仮定すれば、これは1.15秒に相当するギャップだ。

 

SF90ストラダーレが、ここまで高いパフォーマンスを発揮できる理由はなにか?

 

パワートレインがもっとも大きな役割を果たしているのは間違いないところだ。その基本となるガソリン・ターボエンジンはV8のレイアウトで排気量は3990cc。最高出力は780ps/7500rpm、最大トルクは800Nm/6000rpmを発揮。これに組み合わされるハイブリッド・システムには3基の電気モーターが用いられ、合計で220psを生み出す。

 

 

フロント左右に1基ずつ、リヤ1基の3モーターハイブリッド式

 

モーターが3基と聞いて、勘のいい皆さんはピンときたことだろう。そう、SF90ストラダーレに採用されているハイブリッド・システムはホンダNSXとほぼ同じ考え方で、エンジンとギアボックスの間に1基(便宜的にリア・モーターと呼ぶ)、左右の前輪にそれぞれ1基ずつのモーター(便宜的にフロント・モーターと呼ぶ)を配置している。

 

基本的には、エンジンに直結したリア・モーターで発電し、この電力でフロント・モーターを駆動。左右のモーターで駆動力に差をつけることでヨーモーメントを生み出す。おそらくリア・モーターも状況によっては出力を生み出し、パフォーマンスに寄与するはずだ。

 

 

システム出力は1000ps!

 

なお、フロント・モーターの最高出力は115.6ps(85kw)、リア・モーターは204ps(150kw)で、これを合計すると前出した電気モーターの最高出力を上回る。さらに興味深いのが1000psとされるシステム出力だ。これはエンジンの780psとモーターの220psを単純に足したようにも思えるが、実際には実験で得た値で、現実に生み出すことのできる最高出力だという。

 

通常、最高出力を発揮する回転数はエンジンとモーターで異なるため、両者の単純な和とはならないが、デバイス・レベルでいえば、エンジンとモーターは合計1000psをはるかに上回る性能を持っていると考えられる。なお、前述の220psはバッテリーの出力によって決まっているほか、車速が200km/hを大きく越える領域ではモーターを保護するためにホイールからモーターを切り離すという。

 

8速DCTは従来型を30%上回る速さ!

 

ギアボックスも完全な新設計だ。基本は8速DCTだが、変速スピードは従来型を30%も上回るほど速い。また、このギアボックスはコンパクトなことも特徴で、エンジンからの入力軸の高さを低くしてエンジンの搭載位置を15mm下げることに成功した。これは主にクラッチの小型化によって達成したもので、従来のようにふたつのクラッチを同軸にレイアウトするのではなく、軸上にふたつの多板クラッチを並べて実現したとライタスは教えてくれた。

 

 

優れたハンドリングを得るために低重心化を実現

 

このギアボックスのおかげで、エンジンの搭載位置は驚くほど低く、ガラス製のエンジンカバーから内部を覗き込むと、エンジンカバーとエンジンの間に50cm近い空間があることに気づく。では、なぜここまで低重心化にこだわる必要があったのかといえば、「ハイブリッド化に伴い車重が増したため、優れたハンドリングを実現するためには低重心化が必要不可欠だったから」とライタスは説明する。

 

ちなみにハイブリッド・システムの搭載によって実際の車重よりも200kg軽い状態に匹敵する運動性能が得られるそうだ。

 

空力面ではリアウイングの一部が上下し、この部分が下がればハイダウンフォース、上がればハイダウンフォースに切り替わる。なお、250km/h時のダウンフォースは390kg(アセット・フィオラノ・スペシフィケーション装着の場合)に達する。

 

 

新たなインターフェイスにヘッドアップディスプレイの採用

 

マン・マシン・インターフェイスにも新しいテクノロジーが採用された。ステアリング上からはスイッチの数が大幅に削減されるいっぽう、タッチセンサーによる操作系が導入され、ステアリング上の操作だけで車両の機能の80%を調整・設定できるようになった。また、メーターパネルには16インチのフルデジタル・ディスプレイを採用。このディスプレイは湾曲しており、最高の視認性を実現するという。

 

さらにヘッドアップ・ディスプレイの機能を強化することで、前方の道路から視線を逸らすことなく必要な情報が得られる表示系を実現。これらにより「道路から目を離す必要がなくなり、ステアリングから手を離す必要がなくなった」ことを、フェラーリは「Eyes on the road, Hands at the steering wheel」と表現している。

 

 

フェラーリはメディア向け発表会に続いて顧客向けにも同様のイベントを実施。これには2日半で合計2000人が参加するが、その大半がすでにSF90ストラダーレを注文済みという。なお、車名のSF90はSFがスクデリア・フェラーリ、90がスクデリア・フェラーリ設立90周年を意味する。言い換えれば、F1から多くのテクノロジーを受け継いだことを示唆するネーミングといえる。

 

 

価格は数日以内に発表されるというが「ラ フェラーリより安く、812スーパーファストより高い」とガリエラは言明した。

 

 

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)

 

 

 

 

【SPECIFICATIONS】

フェラーリ SF90 ストラダーレ

ボディサイズ:全長4710 全幅1972 全高1186mm

ホイールベース:2650mm

トレッド:前1679 後1652mm

乾燥重量:1570kg

前後重量配分:45:55

 

エンジン:90度V型8気筒DOHCツインターボ(ドライサンプ)

総排気量:3990cc

圧縮比:9.5

最高出力:574kW(780ps)/7500rpm

最大トルク:800Nm/6000rpm

燃料タンク容量:68リットル

 

ハイブリッド システム

電気モーター:162kW(220ps)

バッテリー容量:7.9kWh

最大EV航続距離:25km

 

トランスミッション:8速DCT(F1マチック)

駆動方式:AWD(E4WD)

 

ブレーキローター径:前398×223×38 後360×233×32mm

タイヤサイズ(リム幅):前255/35ZR20(9.5J) 後315/30R20(11.5J)

 

最高速度:340km/h

0 – 100km/h加速:2.5秒

0 – 200km/h加速:6.7秒

100 – 0km/h:29.5m

フィオラノ ラップタイム:1分19秒