別格の存在感を放つキャデラック エスカレード! 漆黒のスポーツエディションを街中で試す

キャデラック エスカレード スポーツエディションの右前走り

CADDILAC ESCALADE SPORT EDITION

キャデラック エスカレード スポーツ エディション

 

 

ニッチこそ正義、アメリカ車の今

 

今から3年ほど前のフォードの日本市場撤退を例に挙げるまでもなく、アメリカ車の販売は長らく決して好調とは言えない。ボディの大きさ、燃費、品質等々、日本車やヨーロッパ社と比べるとベクトルの違う部分が色々とあって、大勢の日本人に受け入れられる存在とはなりにくいからである。

 

その一方で、アメリカ車のインポーターは「じゃあ、どんなモデルなら売れるのか?」をずっと真剣に考え続けてきている。キャデラックの最大、そして最強のSUVであるエスカレードにもその答えを見つけることができる。それはニッチな需要にグイグイと食い込んでいけるような、並外れた個性だ。

 

 

日本でアメリカ車を指名買いするようないわゆるアメ車好きの人は、ありふれた凡百のモデルを望んでいない。以前からアメ車の並行輸入が盛んな理由は、正規インポーターの値付けに問題があるわけではなく、少量生産の珍しいモデルにこそ需要が集まってしまうからだと思う。

 

今頃フォードを批判してもしかたないのだけれど、凡百なモデルばかりを輸入していた結果が、日本市場撤退につながったとしか考えられないのである。

 

 

実はキャデラック随一の個性派

 

現在、正規輸入されているすべてのキャデラックに並外れた個性がある、とは断言しにくいのだが、個性に2つの方向性があることは容易に理解できる。デザインやドライブフィールをワールドワイド的に洗練させたセダン系やXT5クロスオーバーに対し、北米市場に向けてどっしりと根を張っている感の強いエスカレードという図式である。他の輸入車にない個性という意味ではエスカレード優勢に思えるのだが・・・。

 

キャデラック エスカレード スポーツエディションの走り

 

エスカレードの全長5195mm、全幅2065mm、全幅1910mmという体格を、寸法以上に大きく見せているのは、まるでドナルド・トランプの顔のようなフロントマスクだろう。とはいえ、彼の愛車であるキャデラック“ビースト”は車重8トンの巨漢らしいので完全な別物だが、従来のエスカレードだって日本の道ではとてつもなくデカく感じる。ロールスロイス カリナン、レンジローバー、ベントレーベンテイガ、BMW X7あたりのライバルと寸法比べをしてみると、エスカレードに勝るのはカリナンの全長だけ、という具合である。

 

だが、エスカレードの開発陣は寸法について熟考などしていないだろう。ゆったりとした7人乗りの室内と、3列シートの後ろに実用的な荷室を設定してからボディの外寸を測ってみたら上記の数値になった、という顛末に違いない。ちなみに2.7トン近くになるエスカレードの動力源はGM伝統のLT1ユニット、つまりコルベット等とも共通の自然吸気6.2リッターのOHV V8と8速ATの組み合わせだ。

 

キャデラック エスカレード スポーツエディションの走り

 

見た目はコワモテだが操作感にクセはない

 

今回試乗できた黒づくめのモデルは、今年5月に発表されたキャデラック エスカレードのスポーツエディションである。グリル周りやモール類などメッキの部分をことごとく黒くペイントしており、22インチホイールは完全に黒ではないミッドナイトシルバーというカラーでほどよくマッチングさせている。

 

インテリアも黒一色。シートレイアウトは3列シートの7人乗り。2列目がゆったりと独立したいわゆるキャプテンシートになっており、3列目だけが3人掛けとなっている。

 

 

普通のエスカレードでも十分にコワいが、ブラックアウト仕様はさらに“コワモテ”な感じで、高速道路では前走車が次々と左車線にどいてくれる。漆黒のボディに縦2本のデイタイムライトが光る巨大なクルマが迫ってきたら、そりゃあ、誰でも避けたくなるはず。

 

アイポイントは見た目通りに高く視界も広いのだが、それでもボディサイズは大きく感じられるので、キープレフトが容易な左ハンドルはありがたい。

 

乗り心地はまったく悪くない。ダンパーは電磁可変式で、シャシーはラダーフレームの上にボディが乗っかる構成なので、路面からの入力を直接的に感じることは皆無といえる。けれど路面からのインフォメーションもそれなりにスポイルされているので、ドライバビリティ云々を論じるような感じでもない。

 

キャデラック_エスカレード_スポーツエディションの右後ろ走り

 

サスペンションは4輪独立懸架なので直進安定性は悪くないし、ハンドリングに妙な癖もないのだけれど、なにせこのボディサイズなので、日本の道で「ちょっと飛ばしてみようか!」なんて気はさらさら起きるわけがない。ACC(アダプティブクルーズコントロール)のスイッチを入れて悠々と走るのがアメリカ的であり、正しいのだと思う。

 

コルベットでは野性的に吠えるLT1ユニットだが、車重2.7トンほどのエスカレードが相手となると、存在をアピールするような真似はできていない。AWDシステムに関しても、普通に走っている限りはその仕事ぶりを感知することも不可能。ウインタータイヤを履いて雪道を走るようなシチュエーションではありがたいはずだが、普通のワダチに沿って走れるかどうか心配だ。

 

キャデラック エスカレード スポーツエディションの走り

 

キャデラック最大のSUVは意外な選択肢になる

 

インプレッションに関しては一長一短という感じのエスカレードだが、果たしてこの巨大なアメ車は買いなのか? と問われた場合も少し歯切れが悪い。こういった個性の強いクルマは、欲しい!という人は他人の意見なんか聞かずに買うものだし、興味がない人にとっては選択肢にすら入らないのが常だから。

 

とはいえ、エスカレードをサービスエリアに駐めて室内をあれこれと観察していたら、国産の巨大ミニバンによく似ているな、と思った。つまりアルファードとかエルグランドあたり。キャプテンシートの間が通路になっているので、3列目シートだってちゃんと使いこなせるレイアウトになっている。

 

キャデラック_エスカレード_スポーツエディション右横スタイル1

 

周りにアルファードが多いので差別化できなくて困っている、という人にとってエスカレードは思いもよらぬ、しかし強烈なマウンティング手段、じゃなかった。意外な選択肢ではあるまいか?

 

今の世の中、エスカレードくらいドメスティックな、つまりコテコテのアメリカ車は「ハナっから輸入しない」という選択肢もあったはず。それでも敢えてキャデラック最大のSUVを入れ続けているのはGMジャパンの英断だと思う。少しでも気になる、という人はぜひ実車に触れてみるべきだ。相性が良ければ、満足感は高いはずだから。

 

 

REPORT/吉田拓生(Takuo YOSHIDA)

PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

 

 

【SPECIFICATIONS】

キャデラック エスカレード スポーツエディション

ボディサイズ:全長5195 全幅2065 全高1910mm

ホイールベース:2950mm

トレッド:前後1745mm

車両重量:2670kg

エンジン:V型8気筒OHV

総排気量:6153cc

最高出力:313kW(426ps)/5600rpm

最大トルク:623Nm/4100rpm

トランスミッション:8速AT

駆動方式:セレクタブルAWD

サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後5リンクリジッド

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:前後285/45R22

車両本体価格:1409万4000円(消費税8%込)

 

 

【問い合わせ】

GMジャパン・カスタマー・センター

TEL 0120-711-276

 

 

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【関連リンク】

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