ロータス エヴァイヤ発表! 2000psを誇るフルEVハイパーカーの実情に迫る【動画】

ロータス エヴァイヤ スタイリング

LOTUS EVIJA

ロータス エヴァイヤ

 

 

ロータス初のフルEVハイパーカーの名称は「エヴァイヤ」に

 

今年に入り「ロータスがEVのスポーツカーを開発しているらしい」という噂がまことしやかに囁かれていたが、ついにその全貌が明らかになった。イギリス時間7月16日午後7時、ロータス・カーズはロンドンにおいてTYPE130というコードネームで呼ばれてきた同社初のフルEVモデルを発表したのである。

 

1957年発表のElite(エリート)以降、ロータスは“E”で始まるペットネームをロードカーに与えてきたが、彼らにとって130番目のプロジェクトとなった新型車に与えられた名はEvija(エヴァイヤ)。そこには「最初の存在」もしくは「唯一のもの」という意味が込められているのだそうだ。

 

実はこの正式発表に先駆けて、先日開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの会場において日本人メディアとして唯一そのプレビューに立ち会い実車を見る機会に恵まれたので、その模様をご報告することにしたい。

 

 

エアインテークを多用した独自の「Porosity」エクステリア

 

シルバーのボディに黒いトップを纏ったワイド&ローのボディはスタイリッシュでカッコよく(公開された広報写真で、いまいちその雰囲気が伝わりきらないのが残念だ)、これまでのロータス・デザインとは異なる新しい息吹が感じられる。実感としてはピニンファリーナ・バティスタをよりアグレッシブにしたような印象だ。

 

「エヴァイヤは全く新しいEVスポーツですが、そのシャシーダイナミクスはロジャー・ベッカーがロータスで作り上げたセオリーを踏襲した紛れもないロータスと言えます。最初のスケッチは2017年の9月。その年末にはクレイモデルが制作され、2018年2月にはフルスケールのモデルが作られています」と話すのは、デザイナーのラッセル・カーだ。

 

彼はそのデザインコンセプトに「Porosity(多孔性)」という単語を挙げた。確かにエヴァイヤのボディにはいくつかのインテークが大胆に開けられている。

 

 

まず目に留まるのが、正面から見ると大きく3つの穴が開いたフロントマスクだ。真ん中はEVにとって重要となるバッテリーユニットの冷却を司り、左右の穴はフロントホイール後方へ筒抜けとなることで、全軸のモーターユニットの冷却を行いながら、ボディサイドに沿ってリヤフェンダーに開いた大きなインテークへ流れるようになっている。

 

リヤに回ってみると、そのインテークがタイヤハウスの裏を通る形で大きくリヤに筒抜けになっているのが見えた。なんとも奇抜なデザインだが、これこそがエヴァイヤのスタイリングのキーポイントなのだという。

 

「我々はこれまでのロータスとは次元の異なる高いパフォーマンスを実現するために、ドラッグの低減とダウンフォースの増大を両立する必要がありました。そこで最新のレーシング・テクノロジーや航空工学を研究し、ウイングなどの付加物を設けずダウンフォースを得る方法を考えたのです」

 

 

カーによると、フロントから導かれた空気をリヤフェンダー上を通し後方に排出すること、そしてアンダーフロアに中央から後部にかけて立ち上がる巨大なディフューザーを備えることで、ウイングに頼らずに強大なダウンフォースを発生させることができたのだそうだ。

 

また、ツアーを標準としてシティ/エコ/スポーツ/トラックと5段階に分けて用意されているドライブモードのトラックを選んだ際は、自動的にリヤスポイラーとディフューザーの中央がせり上がる、F1でおなじみのドラッグ・リダクション・システムも内蔵されている。残念ながら具体的な数値はまだ秘密とのことだったが、これらの装備によりLMP2マシンに匹敵するほどのダウンフォースをボディ全体で獲得することに成功しているという。

 

 

サスペンションはプッシュロッド式、ホイールはチタン製を装備

 

またサスペンションは前後共プッシュロッド式のダブルウィッシュボーンを採用。チタン製のホイールはフロント20インチ、リヤ21インチの異径サイズで、ブレーキは回生機能付きのベンチレーテッド・セラミック・ディスクが奢られている。もちろんそれらを支えるモノコックはロータスのロードカーとしては初の採用となるワンピース式のCFRP製だ。

 

LOTUS EVIJA

 

まさに桁違いの最高出力2000ps、最大トルク1700Nm

 

エヴァイヤがこれほどまでに高いシャシー・スペックを持つのには理由がある。

 

このたび公表されたリリースによると、4つのホイールを駆動するモーターユニットは、ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング製で最高出力2000ps以上、最大トルク1700Nmを発生。重量配分を考慮し2000kWのリチウムイオンバッテリーは、シート後方の低い位置に備えられ、0-100km/h加速3.0秒以下、最高速度320km/h以上、7分間のフルパワー維持と400kmの最大航続距離を誇るという、途轍もないパフォーマンスを内包しているのだ。

 

「エヴァイヤには、軽くて革新的というコーリン・チャップマン以来のロータスの伝統が息づいています。各部の軽量化を徹底した結果、車両重量は1680kgしかありません。またシート背後、シャシー中心の低い位置にコンパクトなバッテリーユニットを収めたことで、シャシーバランスも理想的なものになっています。しかも将来的にバッテリーユニットがより高性能化したら、そっくり入れ替えられるような設計にもしてあります」

 

LOTUS EVIJA

 

内装はロータスらしいシンプルさと革新性が同居

 

話をコクピットに移そう。バタフライタイプのドア(開閉はドアハンドルではなくキーのリモコンのみになるそうだ)を開けると十分な空間は確保されているものの、シートバックなどの余分なスペースのない完全2シーターとなっている。

 

LOTUS EVIJA

 

走行モード、DRS、ライト、ウインカーなどの機能が集約された楕円形のカーボン製ステアリングの奥にはLG製のモニターが鎮座しており、速度、パワー残量、ナビ、オーディオなど全ての情報が表示されるようになっている。ギヤボックスはシングル式とのことだが、ステアリング裏には左右にパドルシフトが付いており、モードによってはギヤシフト的な操作ができるようになっている可能性がある。

 

LOTUS EVIJA

 

スターター、前進、後進などのセレクト、エアコン、オーディオなどの操作系はセンターコンソールに集約されているのだが、1つ1つを六角形のタッチパネルとすることで、運転に集中しながら操作できるよう配慮がなされている。

 

LOTUS EVIJA

 

シートはバケットタイプのカーボン製で、表皮やステッチなどは細かなオーダーに対応可能。ただしショーカーを見る限り、ドライビングポジションの調整はシートの前後位置とステアリングのみで行うようだ。

 

LOTUS EVIJA

 

サイドビューとバックビューはカメラを積極的に採用

 

写真をみると一切ミラーの類が付いていないことに気づかれると思うが、後方視界は全てカメラを使用して確保され、コックピット上部と左右に設けられたモニターで確認するようになっている。またサイドミラーの役目を果たすバックビューカメラは、ドラッグを低減するために通常はドアへ収納可能にされるという徹底ぶりである。

 

LOTUS EVIJA

 

このように、細部に至るまで隙のないデザインが施されたエヴァイヤだが、機能主義、合理主義に徹した無機質なスポーツカーではない。

 

「よく見てください。左右のインテークの中に小さなウイングが付いているでしょう。これは偉大なるロータス72F1から得たアイディアです。またフロントウインドウから覗くとダッシュボードを支えるカーボンのフレームワークが見えますが、これはマセラティのバードケージがモチーフ。あとコクピットは超音速偵察機SR-71のキャノピーラインのイメージです」。そういってカーは再びリヤに回り込み、特徴的な2つの大きな開口部を指差した。

 

「穴の周りにLEDのテールランプが埋め込まれているでしょう。これはジェット機のアフターバーナーなんです。よくデザイナーが“航空力学を参考にした”なんてプレゼンしますが、これ以上にエアロデザインを踏襲したクルマはないと思いますよ(笑)」

 

他にも面白いディテールとしては、テールの“LOTUS”バッジの“T”の部分がバックランプの役目を果たし光るようになっていたが、これに関してはプロダクションモデルで認証が通るかどうか定かでないという。

 

 

限定130台、約2億〜2億6000万円で2020年末に発売予定

 

今回我々が見たのは、まだ転がる程度にしか走れないショーカーとのことだったが、この後ランニングプロトのテストがスタートし、2020年末にはデリバリーを開始する計画となっている。生産は全てイギリス・へセルのロータス本社で行われ、生産台数は開発コードのTYPE130にちなんで130台限定。価格は150万〜200万ポンド(約2億〜2億6000万円)を予定している。

 

聞くところによると、2017年に中国の吉利汽車傘下となって以来ロータスには積極的な投資が行われ、へセルの本社は往時のような活気を取り戻しつつあるという。実際、ラッセル・カー以下エヴァイヤのショーカーに携わったスタッフもやる気に溢れ、このプロジェクトにかける意気込みがひしひしと伝わってきた。

 

確かに元来の「シャシー屋」であるロータスにとって、EVはそのノウハウを存分に活かせる新たな主戦場になるかもしれない。いずれにしろ、ロータス・エヴァイヤの参入でハイパフォーマンスEVシーンの覇権争いは、ますます加熱の一途を辿っていきそうな気配である。

 

 

REPORT/藤原よしお(Yoshio FUJIWARA)

 

 

 

【SPECIFICATIONS】

ロータス エヴァイヤ

ボディサイズ:全長4459 全幅2000 全高1122mm

乾燥重量:1680kg

パワートレイン:4モーター

最高出力:1470kW(2000ps)

最大トルク:1700Nm

駆動用バッテリー:リチウムイオン電池

総電力量:70kW/h 2000kW

トランスミッション:1速固定

駆動方式:AWD

サスペンション形式:前後プッシュロッド式ダブルウィッシュボーン

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボン・セラミック)

タイヤサイズ:前265/35ZR20 後325/30ZR21

最高速度:320km/h以上

0-100km/h加速:3.0秒以下

航続距離:400km

充電時間:18分(350kWチャージャー使用時)

車両本体価格(予定):150万〜200万ポンド

※スペックは本国仕様