ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ、その戦闘力をサーキットで試す【動画レポート】

ポルシェ911GT2RSクラブスポーツ_フロント走り田中哲也

Porsche 911 GT2 RS Clubsport

ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ

 

 

最新クラブスポーツのポテンシャルを測る

 

マシンはコースのオーバル部分へと差し掛かった。迷うことなく全開で加速。3速ではトラクションコントロールの警告灯が点灯したままになっている・・・。私が911 GT2 RSクラブスポーツの凄まじいパワーを実感した瞬間だった。

 

2019年7月17〜18日の2日間、ポルシェは世界中のジャーナリストから厳選した20名をラウジッツリンクに招待、「ポルシェ トラックテスト ディ」を開催した。幸運にもこのイベントに招かれた私は、同社最新のクラブスポーツ・モデル3台をサーキットで思う存分走らせる幸運に浴した。

 

 

テストの舞台はドイツ東部のラウジッツリンク

 

舞台となったラウジッツリンクは、シュトゥットガルトから北東に560kmほど離れたドイツ東部に位置する。コースレイアウト図に見るように、大小様々なインフィールドコーナーを囲んで3本の直線が走り、それぞれの直線を高速コーナーが結ぶオーバル状の外周路から成り立つ。私は以前このサーキットで911 RSRや911 GT3 Rを試乗した経験はあるが、その時はショートコースだった。今回は1周4.534kmのフルコースを使う。

 

 

招待されたジャーナリストは経験をかなり積んだドライバーばかりだったので、完熟走行やコース説明の類いは一切なく、いきなり「はい、スタート!」という感じで始まった。レーシングドライバーの私がこのイベントに呼ばれた理由はズバリ、ポルシェがサーキットにフォーカスしたモデルを全開で走らせる能力を買われたからだ。

 

早速、フルスロットルに終始したトラックインプレッションを3回に分けてお届けしよう。第1回の主人公はポルシェ 911 GT2 RSクラブスポーツ(以下、GT2 RSクラブスポーツ)だ。

 

 

911 GT2 RSより80kgの軽量化を施し戦闘力アップ

 

GT2 RSクラブスポーツは、現行ポルシェで最強の市販車911 GT2 RS(以下、GT2 RS)をベースにしたサーキット専用モデル。開発を担当したのはヴァイザッハ研究開発センターだ。見た目の印象がGT2 RSとずいぶん違うのは、エアロダイナミクスの追求からボディサイズが大型化されているから。CFRPを多用して軽量化を図った結果、車両重量は1390kgとGT2 RSより80kgも軽くなっている。

 

3.8リッターのツインターボ・フラット6こそGT2 RSと共用だが、ブレーキはもちろん強化されており、エアジャッキも備わる。そしてコクピットにはロールケージとRECARO製レーシングバケット。GT2 RSクラブスポーツはピットに佇んでいても、レーシングカー特有のオーラを発散している。

 

 

公称スペックの700hp以上に感じるほど刺激的

 

実は、今回の試乗は最初に718ケイマンGT4クラブスポーツに乗り(その印象は後日、詳しくお伝えする)、その次にGT2 RSクラブスポーツに乗った。それだけにGT2 RSクラブスポーツの強烈なエンジンパワーは印象的だった。ポルシェが公称する最高パワーは700hpだが、実際にはそれ以上あるのではないかと感じてしまうくらいパワフルで刺激的である。冒頭に記したのは、それを端的に感じたシーンだ。

 

7000rpmまで回るこのエンジンの美点はほかにもある。強烈なトルクと高回転域の圧倒的なパワー、そして大型のタービンを使っているとは思えないほどターボのレスポンスが鋭いことだ。

 

 

怒涛のごとく湧き上がるパワーと電光石火のシフトスピード

 

走り始めた当初、低速コーナーで2速か3速か迷う場面があった。そこでPDKを駆使して3速で走ったり、コーナーのボトム付近で一瞬2速に入れすぐに3速にチェンジしたりと様々なことを試したが、結局3速をキープして低回転からのトルクを使うとスムーズに走れることがわかった。

 

低速コーナーを2速で回ると、パワーがかかりすぎてリヤのパワースライドを誘発するのだ。もちろんTC(トラクション コントロール)はオンにしていたので制御はするが、怒濤のごとく湧き上がるパワーゆえ、コントロールはやはりシビアになってしまう。3速をキープできるのは、大型タービンのターボエンジンでありながら低速域からのレスポンスを有効に使えるからだ。

 

そして、このマシンの特徴であるPDKも素晴らしいのひと言に尽きる。シフトスピードは電光石火の速さで、GT3カップカーに装着されているレース用トランスミッションと比べてもまったく遜色ない。しかも2ペダルなのでスタートが楽。つまり速く走るのに必須なドライビングテクニックがひとつ減るわけで、ドライバーフレンドリーなモデルと言える。

 

 

GT3マシン並みに挙動を抑制したバランス

 

次にマシンバランスに触れよう。サスペンションはやや硬めでバンプに対して少し跳ねる傾向があったが、ラウジッツリンクのオーバル部分は非常にバンピーなのでこれは仕方ないかもしれない。ただし、ロールやピッチングはGT3マシン並みに抑制が効いている。ハイスピードからのブレーキングや、中速コーナーおよび高速領域でのリヤの安定感が高いことも好印象だ。

 

4速で回る高速コーナーではややアンダーステア気味だったが、おそらく今回の試乗向けにスピンを防ぐ目的から、リヤを安定させてアンダーステア方向にセッティングされていたためと思われる。どちらにせよ、GT2 RSクラブスポーツのような高性能マシンでは、高速領域でのリヤの安定性は非常に大切で、大型化されたボディとエアロの効果は絶対的な効果をもたらす。今回はそのことを踏まえたセッティングだと感じた。

 

 

ダイレクト感とコントロール性重視のブレーキ

 

一方、ブレーキバランスの影響だろうか、低速コーナーの進入でブレーキを残してターンインを開始すると、少しリヤがルーズな時があった。これはブレーキバランスを調整すれば解決すると思う。

 

ESC(エレクトロニックスタビリティコントロール)に関しては、オフのほうがコーナリング中に向きを変えやすく挙動も自然だった。オフでもリヤがナーバスにならず、スライドに移行するプロセスが分かりやすいのは安心だ。

 

ステアリングのレスポンスはウルトラシャープというよりは、意図して少し遊びを持たせているように感じた。ヴァイザッハの技術陣は、ダイレクト感は若干落ちることを承知のうえで反応が鋭すぎてシビアになるのを避けたのかもしれない。

 

ブレーキの踏力はGT3マシン並み。思い切り強く踏んでコントロールするタイプである。レーシングカーとして、ダイレクト感とコントロール性を重視したハードなブレーキシステムだ。

 

 

無類のハイパワーを使い切れる絶妙なセッティング!

 

無類に強力なエンジンパワーをしっかりと受け止められるセッティングに仕上げたのがGT2 RSクラブスポーツだ。タイヤを含めた総合的なグリップが盤石なのでパワーをロスすることなく、思い切りアクセルを踏める。つまり持ち前のパワーを使い切って走れるわけだ。

 

ピットに戻った私は、征服感に一脈通じる快感に浸っていた。乗り手に最高の安心感を与えつつ、強烈なポテンシャルを秘めたマシン。こんなマシンはなかなか体験できない。そう思わせる911 GT2 RSクラブスポーツだった。

 

REPORT/田中哲也(Tetsuya TANAKA)

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)

 

 

 

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ

ボディサイズ:全長4743 全幅1978 全高1359mm

ホイールベース:2457mm

車両重量:1390kg

エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ

総排気量:3800cc

ボア×ストローク:102.0×77.5mm

最高出力:515kW(700hp)

トランスミッション:7速PDK

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前ストラット 後マルチリンク

ブレーキディスク(ディスク径):前後ベンチレーテッドディスク(前390mm 後380mm)

ブレーキキャリパー:前6ピストン 後4ピストン

タイヤサイズ(リム径):前27/65-R18(10.5J)後31/71-R18(12.5J)

車両本体価格:40万5000ユーロ(約4800万円/税抜)

 

 

【問い合わせ】

ポルシェカスタマーケアセンター

TEL 0120-846-911

 

 

【関連リンク】

・ポルシェ公式サイト

https://www.porsche.com/japan

 

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