生粋のレン・シュポルト「ポルシェ911 カレラRS 2.7」(1973)【名作スーパーカー型録】

2019/09/01 17:55

ポルシェ911カレラRS_2.7_フロント_スタイル_01

Porsche 911 Carrera RS 2.7

ポルシェ 911 カレラ RS 2.7

 

 

高性能版「911」への道のり

 

現在にまで続くポルシェ伝統の作「911」がIAA(フランクフルト・ショー)で世界初公開されたのは、1963年のことだ。この時のネーミングは911ではなく901だったが、それが実際に発売された1965年の時点でなぜ911に改称されたのかは、ポルシェのファンならずとも良く知られたところである。ともあれ、その個性的なエクステリアデザインと、高性能な2.0リッター水平対向6気筒自然吸気で始まったエンジン、あるいはポルシェ初となったモノコック構造など、911は斬新さに持ち溢れたニューモデルだった。

 

 

1967年、コンペティションモデル「911R」誕生

 

当然のことながらそのセールスも好調で、911Sなどの高性能バージョンがポルシェによって追加されると、モータースポーツの世界でも911の姿がしばしば見られるようになってきた。911Sをベースに、フロントフェンダー以外をFRPで成型。ウインドウをアクリル製とするとともに、水平対向6気筒エンジンをアルミニウム製のシリンダーブロックやデュアルイグニッション、バルブの大型化などで210psにまで強化した20台の(ほかに3台の試作車がある)「911R」などは、1967年というから最も早い時期に誕生したポルシェ製のコンペティションモデルのひとつ。さらに1969年には搭載エンジンが2.2リッターに、1971年には2.4リッターにと、ポルシェも911の性能向上には積極的だった。

 

 

ポルシェは9111Rが誕生した1967年夏から1968年夏までのモデルをAシリーズと呼び、以下1年ごとにBシリーズ、Cシリーズと呼称した。つまりエンジンが2.2リッターとなったのはCシリーズのことであり、2.4リッターとなったのはEシリーズでのこと。そしてそれに続くFシリーズで、ポルシェはスーパーカーの歴史にその名を残す名作を生み出した。1973年のみに生産された「911カレラ RS 2.7」がそれだ。

 

ポルシェ911カレラRS_2.7_フロント_走行シーン_01

 

ポルシェ渾身の作「911 カレラ RS 2.7」

 

現在では、カレラの称号はごく一般的にポルシェの車名に用いられているが、当時はレースを意味するこのスペイン語は、特別な響きとともにポルシェのファンに迎えられた。それに続くRSは“レン・シュポルト”。あえて英語に直すのならば“レーシング・スポーツ”ということになるだろう。このネーミングからも、ポルシェがこのモデルに込めた意気込み、そして誕生の背景そのものが明確に分かる。

 

911カレラ RS 2.7は、レース・イベントのエントリーを前提としたスペシャルモデルとして生を受けたモデルだった。リヤに搭載される水平対向6気筒エンジンは、ほかのFシリーズが2.4リッターの最後のモデルイヤーであったのに対して、カレラ RS 2.7はそのネーミングのとおり2.7リッターに排気量を拡大した210ps仕様の水平対向6気筒を搭載していた。ちなみにトランスミッションは5速MTのみの設定。ポルシェはこのモデルにもグレードを用意しており、カスタマーはレーシング/スポーツ/ツーリングから選択ができた。ここで思い出されるのは、2018年のIAAで初公開された911GT3のツーリングパッケージ。それはこのカレラ RS 2.7の復刻版だったのだ。

 

ポルシェ911カレラRS_2.7_リヤ_スタイル_03

 

圧倒的な人気を誇った硬派なモデル

 

ポルシェが911カレラ RS 2.7で狙ったのは、グループ4のホモロゲーションを得ることだった。そのためにボンネットやルーフ、フェンダーなどのパートは、より薄いスチールパネルとするなど徹底的な軽量化を行い、さらにリヤにはダックテールと呼ばれるウイングを装着。快適装備や遮音材も廃止するなど、きわめて硬派なモデルを作り上げた。ボディサイドやダックテール上には“カレラ”、“カレラRS”のエンブレムを装着。これらのチューニングによって、ストックの状態でも911カレラ RS 2.7は、245km/hの最高速度を実現した。

 

当初は500台の限定車として生産をスタートした911カレラ RS 2.7だが、その人気は圧倒的で、ポルシェは最終的に1580台もの生産を行った。もちろん現在でもこのモデルは、ポルシェのファンには絶対的な人気を誇る1台だ。それはまさに、ポルシェの誇り、そして人気を感じさせる名作といえる。

 

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ 911 カレラ RS 2.7

発表:1973年

エンジン:空冷式水平対向6気筒SOHC

排気量:2687cc

最高出力:154kW(210ps)/6300rpm

最大トルク:255Nm/5100rpm

トランスミッション:5速MT

駆動方式:RWD

最高速度:245km/h

 

 

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)