ポルシェ タイカン完全解説! 島下泰久が見た「電動ポルシェ」の実情

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Porsche Taycan Turbo S / Turbo 

ポルシェ タイカン ターボ S / ターボ

 

 

ラインナップは「ターボ S」と「ターボ」の2モデルを用意

 

2015年IAAでのミッションEの衝撃から早4年。いよいよポルシェの電動スポーツカーの市販版「タイカン」が世界に向けて発表された。実はそれに先立ってポルシェは、上海サーキットに隣接するポルシェ エクスペリエンスセンター チャイナにアジア地域のジャーナリストやメディアを招いて「ポルシェ E-パフォーマンス ワークショップ」を開催。これまで断片的な情報が逐次出されていたタイカンのすべてを、ようやく明らかにした。

 

早速、その詳細を見ていこう。タイカンには当初、ふたつのモデルが用意される。「タイカン ターボ」、そして「タイカン ターボS」である。スペックはターボで最高出力がピーク10秒間625ps、2.5秒間のオーバーブースト時には680ps。システムトルクは850Nmで、0-100km/h加速を3.2秒でこなす。更にタイカン ターボSではオーバーブースト時の最高出力は実に761psに達し、システムトルクは1050Nmに。0-100km/h加速は2.8秒まで削り取られる。しかも、その加速が単発ではなく何度繰り返しても衰えないと強調されている。最高速度は、いずれも260km/hとなる。

 

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前後にモーターを備えるパワフルなAWD

 

前後輪を駆動するのは、ポルシェがPMSMと呼ぶ小型でパワフルな永久磁石同期モーター。フロント用はターボが最高出力175kW、最大トルク300Nm、ターボSが同190kW、400Nm。ターボSでローンチコントロールを使用した時には440Nmを発生する。共通のリアモーターは最高出力335kW、最大トルク550Nmで、ターボSのローンチコントロール使用時には610Nmを発生する。しかも、このリアに2段ギアボックスが組み合わされる。これは鋭い加速と高速域の効率を両立させるためで、100km/hで上のギアに入る。

 

PHEVモデルで使っている角型よりも軽量で、電力密度も高いパウチ式のリチウムイオンバッテリーは前後アクスル間の床下に積まれる。後席の足元に当たる部分にフットガレージ、つまり足の置き場が用意されていて、これによって後席に十分な居住空間を確保しながら低い全高とポルシェらしいルーフラインを実現している。安全性のためバッテリーはフレームに囲まれ、しかもボディに実に28ヵ所のスクリューで強固に接続されているため、ボディ剛性はそれだけで30%の向上を見ているという。

 

肝心な容量は93.4kWh。満充電航続距離はWLTPでターボが381〜450km、ターボSが388〜412kmとされている。

 

ポルシェ_タイカン_完全解説_93.4kW時でのパフォーマンス_バッテリープラス

 

わずか22.5分で5%から80%まで充電

 

リチウムイオンバッテリーは使用温度が劣化、寿命含む性能に大きく影響するため、温度管理が徹底される。充電速度にもバッテリーの温度管理は大きく影響する。「ポルシェ ターボ チャージング プランナー」を使えば、目的地設定の際に充電ポイントも定め、その地点に着くまでにバッテリー温度を最適な状態に近づけることで、充電時間を短縮できる。例えば外気温0度の時には、これを使うと使わないでは充電時間が1.5倍にもなるのだそうだ。

 

ポルシェ自慢の800V高電圧システムは現時点で最大270kWの高出力により、93.4kWhのバッテリーを5%から80%まで、わずか22.5分で充電を可能にする。また、電流値を下げられる分、電線を細くできるというメリットももつ。この技術は、元々は919ハイブリッドで使われたものである。

 

ポルシェ_タイカン_完全解説_ローリングシャシー

 

シャシーはバッテリーや電気モーターなどに浸食されてスペースの余裕が乏しいため、見る限り相当タイトなパッケージとなっている。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクで、3チャンバーエアサスペンション、PASM、リアアクスルステア、48V電装系を活用した可変アンチロールバーのPDCCなどを採用する。ブレーキはターボがPSCB(ポルシェ・シリコン・カーバイト・ブレーキ)で、ターボSがPCCB(ポルシェ・カーボン・セラミック・ブレーキ)を標準装備とする。

 

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ターボSの車重は2295kgと軽量! 空力性能も抜かりなし

 

ミッションEのイメージを忠実に受け継ぐデザインをまとうタイカンのサイズは、全長4963mm×全幅1966mm×全高1378mm。ボディは例によってマルチマテリアル化が図られているが、アルミ比率は37%と案外多くはない。それでも車重はターボSで2295kgと軽量だ。Cd値は0.22〜0.25。フロント開口部内の可動式エアフラップと格納式リアスポイラーを制御するアクティブエアロダイナミクスが標準装備とされる。ヘッドライトから連なる特徴的なスリットはブレーキの冷却に使われている。

 

フロントフェンダーには電動チャージポートドアが設けられ、運転席側に普通充電、助手席側に急速充電のコネクターが内蔵されている。パノラミックグラスルーフも全車に標準装備。高いUV/IRカット機能により室内サンシェード無しを実現したと胸を張る。

 

ポルシェ_タイカン_完全解説_ワークショップ_コクピット_01

 

空冷時代の911にも似たコクピットは最新機能を満載

 

先進性とポルシェの伝統を巧みに融合させたインテリアの、新型911にも似た横基調のレイアウトは言うまでもなく空冷時代の911へのオマージュだが、ドライバーの眼前には16.8インチの湾曲タッチスクリーンディスプレイが置かれ、遂に遂にアナログ計は廃されている。地図などを表示するダッシュボード中央のディスプレイは10.9インチ。その手前には空調などの操作に用いる8.4インチの、更にオプションとして助手席側にも10.9インチのディスプレイが搭載される。

 

きめ細やかな空調制御を自動で行なうアドバンスドクライメートコントロールは中央の吹出し口を電動化して、手動調整スリットを廃している。運転への集中度を高める装備としては音声入力機能も挙げないわけにはいかない。「ヘイ、ポルシェ」の掛け声で起動し、自然発話で様々な機能を呼び出すことが可能だ。

 

ポルシェ_タイカン_完全解説_フロントとリヤのコンパートメント

 

ラゲッジスペースはフロントに81リットル、リアに366リットルを確保。パナメーラと違ってリアは独立したトランクだから、一層の容量や使い勝手を求める人は、続いて登場する予定の「クロスツーリズモ」を待つべきだろう。

 

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強大なトルクによって始まる凄まじい加速!

 

実はこの日は丸1日ほとんどがこうした座学でのプレゼンテーションに費やされたのだが、最後の最後にようやくご褒美にありつくことができた。特設コースでのパッセンジャーライドの時間が設けられていたのだ。

 

助手席に乗り込みドライバーの所作に注目する。始動はステアリングポスト左側にあるボタンで。実際にはボタン無しで起動させることも可能だが、ポルシェにとっての大切な“儀式”を残したのだという。セレクターレバーはダッシュボードから生えている。形状は新型911と同様のものだ。完全オフにもできるPSMなどの設定は、湾曲タッチスクリーン端にスイッチがある。

 

その走りは、さすがの完成度だった。アクセルオンとともに強大なトルクによって凄まじい加速が始まり、一気に速度が高まる。油断していると首が持っていかれ、脳が後ろに偏りそうだ。

 

試乗した2台のうちターボSにはオプションの「ポルシェ エレクトリック スポーツサウンド」が装着されており、加速時には独特のノイズが室内を満たした。これはエンジン音を模したものでも人工的な電子音でもなく、電気モーターそのものの音をベースにしたのだという。聞いていると案外悪くないと感じたが、必要性、好き嫌いには様々な意見があるだろうから、オプションというのは正解だろう。

 

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911GT3RS以上の低重心と、驚異的な速さで制御するPSM

 

ブレーキはポルシェらしく強力。回生の強さはステアリングホイール上のスイッチで切り替えることができる。モードはアクセルオフでコースティングするか、減速Gを発生させるか、それとも状況に応じてそれらを自動で切り替えるかのいずれか。パドルの類は備わらず、いわゆるワンペダルドライビングを可能とするものではない。あくまで自然な運転感覚が重視されている。

 

テストドライバー達は何度も楽しそうにドリフトも披露してくれたから、フットワークも相当煮詰められていると言っていいだろう。高いシャシー剛性に、911GT3RS以上という低重心、前後駆動力配分を瞬時に変更できる電動4WDシステム、内燃エンジン車の10倍の速度で制御できるというPSM等々のおかげだ。

 

但し、車重をまったく意識しないとはいかないのも事実である。また、助手席に居る限りは、速いのはいいけれど走りは若干、情緒に欠けるという印象も得た。テスラ モデルSを駆逐する役回りからすると仕方ない面もあるが、ポルシェは速さだけが美点ではないはずで、その辺りが実際どんな風に表現されているのかには、大いに興味がそそられた。

 

他にも触れておきたいポイント、まだまだあるのだが、続きは実際に自分でステアリングを握ったあとにしたい。試乗記も、そう遠くないうちにお届けできるはずである。

 

 

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)

 

 

【SPECIFICATION】

ポルシェ タイカン ターボS

ボディサイズ:全長4963 全幅1966 全高1378mm

ホイールベース:2900mm

トレッド:前1690 後1655mm

車両重量:2295kg

 

バッテリー容量:93.4kWh 

電気モーター(前後):永久磁石同期モーター

トランスミッション:前1スピード 後2スピード

駆動方式:AWD

最高出力:460kW(625ps)

オーバーブースト時:560kW(761ps)

最大トルク:1050Nm

 

サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク

ブレーキシステム:前後ベンチレーテッドディスク

ブレーキ キャリパー:前10 後4ピストン

ブレーキディスク:前後セラミック コンポジット ブレーキ

ローター径:前420×40 後410×32mm

タイヤサイズ(リム幅):前265/35ZR21(9.5J) 後305/30ZR21(11.5J)

 

最高速度:260km/h

0 – 100km/h加速:2.8秒

0 – 200km/h加速:9.8秒

0 – 400m加速:10.8秒

 

航続距離(WLTP):388 – 412km

電力消費量(WLTP):25.7 – 24.5kWh/100km

CO2排出量:0 g/km

 

ポルシェ タイカン ターボ

ボディサイズ:全長4963 全幅1966 全高1381mm

ホイールベース:2900mm

トレッド:前1702 後1667mm

車両重量:2305kg

 

バッテリー容量:93.4kWh 

電気モーター(前後):永久磁石同期モーター

トランスミッション:前1スピード 後2スピード

駆動方式:AWD

最高出力:460kW(625ps)

オーバーブースト時:500kW(680ps)

最大トルク:850Nm

 

サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク

ブレーキシステム:前後ベンチレーテッドディスク

ブレーキ キャリパー:前10 後4ピストン

ブレーキディスク:前後セラミック コンポジット ブレーキ

ローター径:前415×40 後365×28mm

タイヤサイズ(リム幅):前245/45R20(9J) 後285/40R20(11J)

 

最高速度:260km/h

0 – 100km/h加速:3.0秒

0 – 200km/h加速:10.6秒

0 – 400m加速:11.1秒

 

航続距離(WLTP):381 – 450km

電力消費量(WLTP):26.7 – 23.0kWh/100km

CO2排出量:0 g/km

 

 

【問い合わせ】

ポルシェ カスタマーケアセンター

TEL 0120-846-911

 

【関連リンク】

・ポルシェ 公式サイト

https://www.porsche.com/japan