フェラーリ 488 GT3 Evo 発表。2020年シーズンの新型マシンを全方位で性能強化

公開日 : 2019/10/28 08:06 最終更新日 : 2019/10/28 08:06

フェラーリ488 GT3 Evo 2020の正面走行イメージ

Ferrari 488 GT3 Evo 2020

フェラーリ 488 GT3 Evo 2020

 

 

空力、信頼性、人間工学のすべてを改善

 

フェラーリは、2019年10月26日にイタリアのムジェロ・サーキットで開催中のフェラーリ・フィナーリ・モンディアーリの会場で、2020年シリーズのGT選手権を戦う新型マシン「488 GT3 Evo」を公開した。チームが実際のレースで得た経験やフィードバックを活かし、全方位に進化を注ぎ込む。

 

空力性能、ダイナミクス、エルゴノミクス(人間工学)、安全性、そして信頼性。今回の改良はそのすべてに焦点を当てて実施した。もちろん、パワーや各空力パーツなどあらゆる指針はFIAの定める厳しい規定に準拠している。

 

フェラーリ488 GT3 Evo 2020のフロントイメージ

2020年シーズンに向けて改良を盛り込んだ488 GT3 Evo。空力性能をはじめ、信頼性や耐久性、安全性など様々な面に改善の手を入れた

 

ダウンフォースや重量バランスを最適化

 

2020年シリーズに向けた新しい488 GT3 Evoのフロントエンドは、最大限のスタビリティを確保するべくエンジニアによって再考が重ねられた。風洞実験や1万8000時間を超えるCFD(数値流体力学)シミュレーションの結果、導き出されたのが新しいフロントバンパーの形状を含めたヘッドライト下のエリアだ。

 

ダウンフォースを増加するカナードを両脇に設け、フロントスプリッターに羽根を追加することで空力バランスを保持しながら安定性を向上。フロントウイング上のベントを拡大し、車体側面に効率よく空気を流すためにドアの前方にもより傾斜をつけている。リヤウイングも設計を見直し完全に新規となる。

 

フェラーリ488 GT3 Evo 2020のエアロパーツ

空力性能を向上するために、エアロパーツの配置や形状を徹底的に見直した。シミュレーションと計算に費やしたプロセスは1万8000時間を超えるという

 

数々のレースで成功を収めてきた488 GT3の鍵はなんといっても優れたダイナミクス性能にある。その強みをEvoでは更に強化。488 GTEのようにホイールベースを延長してタイヤの磨耗を低減しながら、GT3からGTEへのコンバージョンも容易にした。BoP(性能調整)の最低車両重量に適合させつつ車両重量を可能な限り軽量化。バラストの配分により重心高を下げることが可能になった。ABSやトラクションコントロールなどの制御系も最適化している。

 

フェラーリ488 GT3 Evo 2020のタイヤイメージ

ボディサイドの空気の流れも最適化。スタビリティを最大限に確保するべく、各部の形状やパーツの配置を見直している

 

24時間を戦うためのパッケージも

 

90度バンクのV8ツインターボのスペックは従来通り。構造自体に変更はないものの、エンジンマネージメントシステムを見直すことで信頼性を高めるとともに、よりスムーズで正確なトルクの発生を実現している。

 

近年、耐久レースはマシンの進化により“長いスプリントレース”の様相を呈してきた。ドライバーの集中力を高め、正確なドライビングを維持するためにはコクピットの設計にも細心の注意を払わなければならない。488 GT3 EvoにはFIAの新たな安全規定に合致する新型シートを採用。GT3およびGTE向けにサベルトと共同開発したもので、シートベルトとバックルの機構が最新になり、堅牢さと強度を増しながらも従来比で2.4kgの軽量化を実現している。

 

また、24時間耐久レース向けのパッケージも用意。ヘッドライトを追加したフロントバンパーや、エンジンオイルやクーラント補充を素早く行うカップリングシステム、カーボンファイバー製クラッチやGTEマシンに採用されているブレーキキャリパー、強度に優れたスチール製ホイールナットなどが含まれる。さらにオプションでクーラント用の補充警告灯付きセンサーやル・マン規定に適合するタイヤ、4500ルーメンのLED製ヘッドライトを追加できる。

 

フェラーリ488 GT3 Evo 2020のリヤビュー

FIAの厳しい規定に準拠しながら、出来うる限りの改良を施した2020年シーズン向けGT3マシン。エンジンスペック自体に変更はないものの、マネージメントを見直すことで信頼性やトルクの出力マナーも改善している

 

488 GT3 Evoに採用される新しいコンポーネンツや改良点は、アップグレード目的で既存モデルにも適用することが可能になっている。