ランボルギーニ ミウラ誕生。P400 & P400 S を紐解く(1966-1969)【ランボルギーニ ヒストリー】

ランボルギーニ・ミウラP400のフロントスタイル

Lamborghini P400 / P400 S Miura

ランボルギーニ P400 / P400 S ミウラ

 

 

フェルッチオの予想を超えたオーダー

 

ジャン・パオロ・ダラーラ、そして先日他界したパオロ・スタンツァーニの証言によれば、マルッチェロ・ガンディーニによる芸術的なボディが組み合わされてもなお、フェルッチオはミウラを30台程度の限定車にでもなればよいという考えを崩さなかったという。ちなみにミウラという車名は、スペインで数々の有名な闘牛を生み出した牧場の名。だがフェルッチオの意に反してランボルギーニにはミウラのデビューから続々とオーダーが舞い込み、ランボルギーニも本格的な量産体制を整える必要に迫られることになった。

 

ランボルギーニ・ミウラP400の前後カウルオープン写真

前後のカウルをオープンした状態のランボルギーニ P400 ミウラ。

 

ミウラの生産はフレーム一式とサスペンションアームなどをモデナのマルケージに、ボディパーツをトリノ近郊のシルバー・カーに、そしてボディのアッセンブリーとペイントをベルトーネで行った後に、サンタアガタ・ボロネーゼのランボルギーニ工場へと輸送し、ここで最終的なアッセンブリーが行われる仕組みだった。インテリアはやはりベルトーネのデザインだったが、こちらはランボルギーニでアッセンブリーが行われている。

 

ランボルギーニ・ミウラP400のV型12気筒エンジン

横置きにミッドマウントされるV型12気筒DOHCユニットは、350psを発揮。

 

軽量かつ高剛性を実現した「P400 ミウラ」

 

ミウラのファースト・デリバリーが行われたのは、同社の記録によれば1966年の12月。TP 400の発表からは実に1年以上の時間をかけて、ようやくミウラはオンロードを走り始めたことになる。ミッドに搭載されたエンジンは82×62mmのボア×ストローク値から3929ccの排気量を得たV型12気筒DOHCで、組み合わせられるトランスミッションは5速MT。両者の潤滑システムが共用となるのは、前回すでに解説しているとおりだ。燃料供給はウェーバー製の40IDL3C型キャブレターによるもの、圧縮比は9.8に設定されており、結果350psの最高出力を得るに至っている。ちなみにデビュー当時に発表されたデータによれば、ミウラの車重は980kgとされているから、そのパワー・ウエイト・レシオはスポーツカーとしてはかなり魅力的な数字になる。

 

マルケージの製作したフレームのセンターセクションは、TP 400のそれとはデザインが大きく異なっている。センターセクションには0.8mm厚の鋼板(Fe37)が用いられ、さらに強度を必要とするパートには、1mm、1.5mmと肉厚の異なる鋼板を使用している。またセンターセクションも生産途中で0.9mm厚への変更が行われ、さらなる剛性を確保するための作業は適時行われていった。

 

ランボルギーニ・ミウラP400のリヤスタイル

繊細なデザインをもつ一方、徹底した剛性確保のために行われた策は多岐にわたる

 

2500mmのホイールベース上にあるボディは、全長×全幅×全高で4360×1760×1055mm。メイン素材は1.5mm厚のアルミニウムだが、ルーフやBピラーなど剛性を必要とするパートにはスチール素材が用いられている。最初のミウラ、すなわちP400 ミウラは1969年5月までに474台が生産されたとされるが、1968年からオプションでイタリア語のスピント(超越した)という意味を込めたSパッケージをオプションで設定。それを選択したモデルも存在する。

 

ランボルギーニ・ミウラP400Sのコーナリングシーン

ランボルギーニのレストア部門であるポロストリコによって仕上げられたP400 S ミウラ。

 

高い評価を得ることに成功した「P400 S」

 

それはP400 ミウラに続く、P400 S ミウラの原型ともなった仕様だ。さらに高性能なミウラともいえるSパッケージの評価は高く、その人気を背景にランボルギーニは、その仕様をスタンダードとする決断を下したのだった。一時ランボルギーニの本社工場からは、P400 ミウラと同Sパッケージ、そしてP400 S ミウラが混在してデリバリーされる時期もあったが、前で触れた1969年5月には、デリバリーされるモデルはようやくP400 Sに統一されるようになったようだ。

 

ランボルギーニ・ミウラP400Sの前後カウルオープン写真

わずかに車重は増えてしまったものの、V12エンジンは370psにパワーアップされているP400 S ミウラ。

 

P400 S ミウラ(ミウラS)のミッドに搭載されるエンジンは、圧縮比を10.5に高め、インレットポート径を28mmから30mmに拡大、加えてカムプロフィールなどを見直すことで370psの最高出力を実現。ボディサイズは若干拡大され、車重も1040kgに増加しているが、そのハンデは走りの中ではまったく感じられない。P400 S ミウラの生産台数は1971年までに140台。この間にもエアコンの装着が可能になるなど、さまざまな改良が加えられていったのも大きな話題だった。

 

 

【SPECIFICATIONS】

ランボルギーニ P400 ミウラ

発表:1966年

エンジン:60度V型12気筒DOHC

総排気量:3929cc

最高出力:257kW(350ps)/7000rpm

トランスミッション:5速MT

駆動方式:RWD

車両重量:980kg

最高速度:280km/h

 

ランボルギーニ P400 S ミウラ

発表:1968年

エンジン:60度V型12気筒DOHC

総排気量:3929cc

最高出力:272kW(370ps)/7500rpm

トランスミッション:5速MT

駆動方式:RWD

車両重量:1040kg

最高速度:285km/h

 

 

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)