1963年から2019年、8世代にわたりDNAを引き継ぎ進化してきたポルシェ911

2019/11/02 11:55

ポルシェ911ヒストリー、8世代の911

Porsche 911

ポルシェ 911

 

 

1963年のデビューから変わらないリヤエンジン・リヤ駆動

 

今年発表された新型ポルシェ 911(タイプ992)のDNAは、1963年まで遡ることができる。オリジナルの911で採用されたエンジンレイアウトは、アイコンとなって現在まで引き継がれているのだ。今回の企画では8世代にわたるすべての911を並べ、その歴史を辿り比較を行った。

 

写真左はCシリーズの1970年式911Sタルガ。2.2リッターボクサーシックスを搭載し、最高出力180psを発揮。右の1975年式911カレラはGシリーズと呼ばれる。2.7リッターボクサー6は最高出力210psを計上した

 

ポルシェ 911 Cシリーズ 〜 Gシリーズ

 

1963年のフランクフルト・モーターショーにおいて、911は「901」としてデビュー。その翌年、1964年から販売がスタートした。リヤに搭載された空冷ボクサーエンジンと、その結果として取り払われた古典的なラジエーターグリルにより、この時点で911のレイアウトとDNAが決まったと言えるだろう。

 

1年後のフランクフルト・モーターショーでは、初の派生モデルとなる「タルガ」を発表。ベースモデルとなったOシリーズから、A、B、C、D、E、Fシリーズと進化を続け、Bシリーズではホイールベースが拡大。今回、撮影に用意されたタルガは、美しいジェミニブルーメタリックのCシリーズとなる。

 

911における最初の大幅な設計変更は、1973年に登場した「Gシリーズ」。 1975年に投入されたカレラ2.7は最高出力210psを発揮し、リヤに大型ウイングを装備。撮影車両は当時の人気カラーであるコンチネンタルオレンジを纏っている。

 

タイプ964の中でもエンスージアストから絶大な人気を誇る1991年式911カレラRS(写真右)。3.6リッターボクサー6の最高出力は260psだが、最大の特徴は僅か1240kgの車重にある

 

ポルシェ 911 Gシリーズ 〜 タイプ 964

 

アメリカの連邦自動車安全基準に則った5マイルバンパーが、Gシリーズの最も印象的なデザイン上の特徴となる。この型の911は様々な改良を加えられながら、その後16年間も生産されることになった。

 

そして、1989年にポルシェは「タイプ964」を投入。4WDシステムを初搭載したカレラ4がデビューする。964は滑らかなデザインのフロントバンパーやリヤフェンダーを特徴とする。わずか1240kgの車重に最高出力260psを発揮するボクサー6を搭載したリヤ駆動のカレラRSは1991年に登場。今回の撮影車両はルビースターのボディカラーに、自動的にポップアップするリヤウイングを装備している。

 

タイプ993へと進化した1997年式911カレラ(写真右)。排気量は3.6リッターながら最高出力は285psまでアップし、最高速度は275km/hを計上。最後の空冷モデルとなった

 

ポルシェ 911 タイプ964 〜 タイプ993

 

一見すると、993と964の違いは傾斜した楕円形のヘッドライトのみのようにも思える。しかし、1993年にデビューした「タイプ993」は、フロントフェンダー、ラゲッジコンパートメント、リヤサイドパネル、ボンネット、バンパーを含むボディワークのほとんどが新設計されている。

 

デザイナーのハーム・ラガーイは、911のフォルムを928や968と同様のデザインDNAに統一させることに成功した。撮影車両は1997年式「993 カレラ」、アークティックシルバーメタリックのボディカラーに最高出力285psを発揮する空冷ボクサー6を搭載している。

 

ボクサー6を水冷式に改めたタイプ996。3.6リッターのキャパシティから最高出力345psを発生し、空冷式より騒音やエミッションも大幅に削減

 

ポルシェ 911 タイプ993 〜 タイプ996

 

1997年、ポルシェは911におけるパラダイムシフトを断行する。「タイプ996」はそれまで搭載されてきた空冷ボクサー6に別れを告げ、ついにエンジンの水冷化に踏み切ったのだ。タイプ996と993の間にはエンジンレイアウトを除いて共通点はほぼないと言ってもいい。

 

伝統からの脱却はアグレッシブで有機的要素を備えたデザインに反映されている。撮影車両は2003年に1963台限定で発売された911発売40周年記念モデル「911 40thアニバーサリー」。GTシルバーメタリックのボディカラーが採用され、水冷ボクサー6の最高出力は345psを誇る。

 

真横からではあまりタイプ996との差異を感じられないタイプ997(写真右)。この2005年式911カレラ4Sは3.8リッターボクサー6を搭載。最高出力は355psを誇る

 

ポルシェ 911 タイプ996 〜 タイプ997

 

タイプ996と997への切り替わりを見ると、多くの人は完全なニューモデルと感じるかもしれない。しかし、その外観に騙されてはいけない。

 

2004年に投入された「タイプ997」は、996のスーパーフェイスリフト版と言える存在だ。あまり評判の良くなかった涙滴型ヘッドライトを改め、Gシリーズや964を思わせる丸型ヘッドライトが復活した。撮影車両はGTシルバーメタリックのカレラ4Sで、ボクサー6は最高出力355psを発揮する。

 

先代モデルとなるタイプ991(写真左)。撮影車は2013年式911カレラSの50周年記念モデル。3.8リッターボクサー6は400psの最高出力を発生し、最高速度はついに300km/hを超えた

 

ポルシェ 911 タイプ997 〜 タイプ991

 

2011年に911は「タイプ991」へと進化した。997から991へは、アルミニウムをはじめとする軽量素材の積極採用に加えて、デザイン上も大きな進化を遂げることになった。その美しいフォルムはポルシェのチーフデザイナーに就任したミヒャエル・マウアーによるものだ。

 

コンパクトな997と比較すると、991はかなり大きく見えるはずだ。それもそのはず、ホイールベースは100mmも延長され、フロントトレッドも拡大された。撮影車両は2013年に登場した50周年記念モデル「911 50thアニバーサリーエディション」。ガイザーグレイメタリックのボディに400psを発揮するボクサー6を搭載する。

 

2019年にデビューしたタイプ992(写真右)では先進運転支援システムも充実。写真の2019年式911カレラ4Sは3.0リッターボクサー6ターボを搭載し、最高出力は450psを発生する

 

ポルシェ 911 タイプ991 〜 タイプ992

 

ミヒャエル・マウアーによる2世代目の911となる「タイプ992」がデビューしたのは2019年。彼は最新世代の911に「911らしさ」を求めた。「誰が見ても911と分かる存在である必要があります。そして同時に最新911だと理解してもらうことも重要なのです」とマウアーは説明する。

 

992はエレガントなスタイルを実現しながらも、フェンダーとホイールをよりワイドに配置した。デザインチームは911ターボ(930)からインスピレーションを得たという。

 

1963年にデビューした初代911と現行の992を並べると、それが同じ車種だとは誰も思えないほどの隔たりを感じるかもしれない。しかし、8つのジェネレーションはひとつの線で繋がっており、確かなDNAを継承しているのである。