ジャガー I-PACE 再考。サーキットと峠で試す、デンキ自動車のスポーツ性能

公開日 : 2019/11/13 17:55 最終更新日 : 2019/11/13 17:55

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ジャガーI-PACEのサーキットでの走行シーン

Jaguar I-PACE

ジャガー I ペイス

 

 

電気自動車に対するジャガーの姿勢

 

ジャガーにとって初のBEV=フルバッテリーEVは、“PACE(ペイス)”というネーミングからも分かるように、SUVのスタイルをもつモデルとして誕生した。そもそもSUVは、BEVに必要とされる大量のバッテリーを搭載するには最適なスタイルと考えられ、今回試乗した「I-PACE」もまた、フロア下に90kWhの容量をもつリチウムイオンバッテリーが搭載され、WLTCモードで438kmの最大航続距離を可能にする。432個のパウチセルで構成されるバッテリーの総重量は約600kg。それによる重量増は確かにネガティブな要素ではあるが、一方で重心高の低下と前後重量配分を50:50と最適化することができたことは走りに好影響を与えるはずだ。ちなみに車重は2240kgとかなりの重量級ではあるが・・・。

 

ジャガーI-PACEの街中でのフロントスタイル

電気自動車のメリットを活かしてキャブフォワードのデザインが可能となったジャガーI-PACE。スポーティなエクステリアと同様、高剛性も実現している。無論、ロングホイールベースのおかげで室内空間も広い。

 

キャブフォワードのデザインはEVだから可能に

 

I-PACEのボディデザインは、フロントにエンジンを搭載する必要がなくなったこともあり、あらゆるSUVと比較しても個性的なフィニッシュを見せている。とりわけ印象的なのは短いフロントノーズで、キャブフォワードのデザインが実現したこと、そしてルーフラインとウエストラインがリアに向って美しく流れていくことで、ジャガーらしい個性的でスポーティなエクステリアが完成されている。ちなみにこのボディはフレームとともにアルミニウム製とされ、軽量化とともにジャガー車ではかつてないほどの高剛性化を実現しているという。

 

ジャガーI-PACEのコクピット

自動車メーカーが造る電気自動車ということもあり、従来の内燃機関モデルと比べても違和感のないコクピット。バッテリー残量や走行可能距離など、EVならではのインフォメーションも分かりやすく表示する。

 

ホールド性に優れるドライバーズシートに身を委ねると、視界に入り込んでくるのは上段が10インチ、下段が5インチサイズのデュアルタッチスクリーンの「タッチプロデュオ」だ。その操作には下段のパネルではある程度の慣れは必要で、特にドライバーが走行中に目的の画面を呼び出し、それを操作するのは難しい。一方、上段のメーターパネルの視認性は素晴らしく、バッテリー残量や走行可能距離は、ここで常に確認することができし、ナビ画面を同時に表示することもできるなど使い勝手には優れている。

 

ジャガーI-PACEの走行シーン

こうした大自然の中では有り難さも感じられる、ほぼ無音の走行性。環境保全に貢献している気分になれる。とはいえ、どこか常にスポーティ。それがジャガーI-PACEの特徴だろう。

 

シームレスな加速感はスポーティ!

 

では、実際の走りはどうか。ジャガーのSUVモデル、F-PACEがそうであったように、このI-PACEもまた、その走りはスポーティでまったく不満はない。いや、むしろアクセルペダルを踏み込んだ瞬間から、感覚的にはまったくタイムラグなく696Nmの最大トルクが発生し、それが4000〜5000rpmといった高速域にまでシームレスに続くのだから、体感できる加速感は相当に息が長い。

 

もちろん市街地などで緩やかにアクセル操作を行えば、I-PACEは実にマナー良く静かに加速し、不快な動きを感じさせることもない。ちなみにI-PACEには「ハイ」と「ロー」の回生ブレーキのモードが用意されており、ハイを選択すればアクセルペダルのみでかなりの範囲で加減速の調節を行うことができる。さらにブレーキペダルを踏み込めば、最大で0.4Gに相当する制動エネルギーが回生され、それはバッテリーに充電される仕組みとなっている。

 

ジャガーI-PACEのサーキットでの走行シーン

床下にバッテリーを搭載しているおかげで驚異的な低重心化を実現している。その走行性は、スポーツカーにも匹敵するほどで、コーナリングの安定感は抜群。ワンメイクレースを展開しているだけのことはあると、今回のサーキット試乗では思い知らされた。

 

ホイールベースの長さが効くスポーツ性能

 

I-PACEに搭載されるモーターは、フロントアクスルとリアアクスルに各々1個。トータルの最高出力は400ps、最大トルクは前でも触れたとおり696Nmというスペックだから、これは2240kgの車重には十分な数字だ。

 

今回は市街地から高速道路、そしてワインディング、サーキットとさまざまなシチュエーションでその走りを試すことができたが、パフォーマンスとしてはどのステージでも動力性能に不満を感じることはなかった。その中でも印象的だったのはワインディングでの走りで、バッテリーという重量物を低い位置に搭載することで低重心が図られたこと、加えて2990mmという長いホイールベースが設定されたことによる安定感は、市場に数多くあるプレミアムSUVの中でも高く評価すべきだろう。エアサスペンションを装備した試乗車は、その乗り心地も素晴らしかった。

 

ジャガーI-PACEのリヤラゲッジルーム

通常時で638リットル、後部座席を倒せば最大1435リットルもの容量を誇るリヤのラゲッジルーム。フロントにはエンジンの代わりに27リットルのスペースも設けられている。

 

SUVとしての実用性も十分に満足できるものだ。エンジンがなくなったため、フロントには27リットル分のラゲッジスペースが新たに設けられたほか、リアのラゲッジルームは通常時で638リットル、最大時には1435リットルに拡大が可能。充電は7kWh普通充電と50kWhの急速充電(チャデモ)に対応し、0→80%までの充電時間はチャデモで約85分、普通充電では約12.6時間を必要とする。

 

ジャガーI-PACEの充電シーン

充電時間はCHAdeMOの場合、80%を85分で完了する。通常の使い方であれば、十分現実的な範囲だ。

 

ジャガーは2020年以降、すべてのモデルを電動化する計画をすでに打ち出している。もちろんそれにはBEVのほかに、PHEV、HVとさまざまな選択肢があるのだろう。加えてフォーミュラEへの参戦など、自動車の電動化にはこれまでも積極的な姿勢を見せてきたジャガー。その技術の積み重ねが評価される時代が、このIペイスを幕開けとしてこれからやってくる。

 

 

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

 

 

【SPECIFICATION】

ジャガー Iペイス HSE

ボディサイズ:全長4695 全幅1895 全高1565mm

ホイールベース:2990mm

車両重量:2240kg

駆動用バッテリー:リチウムイオン電池

総電圧:388.8V

総電力量:90kWh

最高出力:294kW(400ps)/4250 – 5000rpm

最大トルク:696Nm/1000 – 4000rpm

駆動伝達方式:AWD(前:モーター1基 / 後:モーター1基)

最終減速比:1.000

サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後インテグラルリンク

タイヤサイズ(リム幅):前後245/50R20

航続距離(WLTC):438km

0→100km/h加速:4.8秒

車両本体価格:977〜1184万円(税込)

 

 

【関連リンク】

ジャガーコール

TEL  0120-050-689
http://www.jaguar.co.jp