ピレリカレンダー2020年版、発表。世界で最も有名なカレンダーと言われる理由とは

2020年ピレリカレンダー製作風景イメージ

ピレリカレンダーというひとつの芸術

 

ピレリは、2019年12月3日にイタリア・ヴェローナのフィラーモニコ劇場で2020年ピレリカレンダーを発表した。

 

「世界で最も有名なカレンダー」として知られるピレリカレンダー“The Cal”。毎年様々なテーマを軸に、著名な写真家や俳優が創りあげるひとつの芸術ともいえるカレンダーは、限られた部数のみが製作されて一般には販売されない。業界関係者はもとより、アートに関心の高い人々の間でもコレクターズアイテムとして人気を集めてきた。

 

2020年ピレリカレンダー制作風景イメージ

2020年ピレリカレンダーの製作風景。完成したピレリカレンダーの発表の場は、イタリア・ヴェローナのフィラーモニコ劇場。今回撮影を担当したパオロ・ロヴェルシは長年のオペラ愛好家でもある

 

エマ・ワトソンら9人が演じ分ける「ジュリエット」

 

2020年ピレリカレンダーのテーマは「ジュリエットを探して」。イタリア人写真家のパオロ・ロヴェルシが、9人の俳優が14世紀の悲恋の主人公を演じる姿をファインダーを通じて切り取った。

 

それぞれに個性的なジュリエットを表現したのは、英国人俳優兼活動家としても知られるエマ・ワトソン、英国人俳優のクレア・フォイ、ミア・ゴス、米国人俳優のインディア・ムーア、ヤラ・シャヒディ、クリステン・スチュワート、中国人シンガーのクリス・リー、スペイン人シンガーのロザリア、フランス系イタリア人アーティストのステラ・ロヴェルシ。

 

2020年ピレリカレンダー制作風景イメージ

2020年ピレリカレンダーの製作現場。クリステン・スチュワートなど個性派の面々が、それぞれの中にいる「ジュリエット」を再解釈して演じ分けた

 

18分のショートフィルムも製作

 

撮影は2018年5月に「ロミオとジュリエット」の舞台であるイタリア・ヴェローナと、パオロ・ロヴェルシが40年間住んでいたパリで行われた。

 

カレンダーは全132ページで構成され、物語の主人公やヴェローナの町を撮影したカラーとモノクロの写真が58枚収められている。カバーに描かれたのは宇宙を表現する天空。表紙と裏表紙には金色の文字でジュリエットの生年月日や、ロミオとの最初の出会い、結婚式、彼らの最期について記されている。

 

また、今回初の試みとしてショートフィルムが付属。18分の映像の中でパオロ・ロヴェルシは映画監督として自分自身を演じ、ジュリエット役の9人の内面に迫るインタビューや、カレンダー撮影のために個々が解釈したジュリエットの衣装を身にまとう俳優たちの姿を映し出している。

 

パオロ・ロヴェルシは語る。「私は純粋な魂を探していました。強さ、美しさ、優しさと勇気を兼ね備えた無邪気な人を。私は、エマとヤラ、インディアとミアのしぐさや言葉に、クリステンとクレアの笑顔と涙の中に、クリスとロザリアの声と聖歌の中にその光を見いだしました。ステラにはイノセンスを見つけた。ジュリエットはすべての女性の中にいるのです。私はこれからもジュリエットを探し続けるでしょう」

 

2020年ピレリカレンダー制作風景イメージ

2020年ピレリカレンダーの製作風景。ときに純粋に、ときに力強く、ときに情熱的。ジュリエットの持つ多面的な魅力が衣装やセット、構図や演技から浮かび上がっていく

 

過去にはリチャード・アベドンやアニー・リーボヴィッツも

 

“The Cal”と呼ばれるピレリカレンダーは、英国のグループ子会社ピレリUK リミテッドの発案により誕生した。1964年、国内競争に打ち勝つための革新的なマーケティング戦略を模索していたピレリUKは、ビートルズの肖像で有名なアートディレクターのデレク・フォーサイス、そして英国人写真家のロバート・フリーマンへプロジェクトを依頼。かくして、単なるファッションやデザイン性を超越した、文化・芸術的な意味合いを色濃くもつカレンダーが登場することとなった。

 

以来50年間にわたり、フランシス・ジャコベッティやリチャード・アベドン、アニー・リーボヴィッツなど、時代ごとにもっとも評価の高い写真家のファインダーを通し、強烈で大胆な作品をカレンダーとして発信してきた。

 

錚々たるメンバーが製作に携わってきたピレリカレンダーは、時代を切り取るという芸術のもつ価値そのものを体現してきたといえる。