アウディ、自社内の駐車スペースの10%に電気自動車用の充電器を設置

2020/01/25 06:30

駐車場に設置された充電ステーションで充電するアウディ e-tron

Audi e-tron

アウディ e-tron

 

 

ドイツ企業の充電インフラ投資として過去最大

 

アウディは、将来的に完全な「CO2ニュートラル・プレミアムプロバイダー」になることを目指している。その過程において、充電対策が今回大きな進展を遂げた。

 

2022年半ばまでにアウディは自社の駐車スペースの10%に充電器を設置し、そこで電気自動車を充電できるようにする。この独自の取り組みは、ドイツ企業が実施する充電インフラプロジェクトとしては過去最大のものとなる。このプロジェクトに対する大規模な投資により、充電システムの設置や専門知識の蓄積ができるだけでなく、新たなモビリティ分野の試験運用を開始することが可能となる。

 

駐車場に設置された充電ステーションで充電するアウディ e-tron

アウディは生産工場などの自社拠点内を中心に充電ポイントを4500カ所も設置予定。また、すでにミュンヘン空港内にも充電施設を相当数設置している。

 

電気自動車の充電ポイントを4500ヵ所設置

 

アウディは、電気自動車の充電用に4500以上の充電ポイントを設置し、個人ユースのエネルギー転換に貢献する。プロジェクトマネージャーを務めるマクシミリアン・フーバーは、「私たちにとって、これほど大規模な充電インフラを構築することは、まったく新しい挑戦となります」と、今回の取り組みについて説明した。

 

彼は充電ポイントの構築だけでなく、アウディの工場などにおける包括的充電システムのエネルギーマネージャー、ソフトウェアプロバイダーとしての役割も兼任している。

 

インゴルシュタットの主要工場だけでも最終的に設置される充電ポイントは3500ヵ所にのぼり、ネッカーズルムには1000ヵ所、ブリュッセルとジェールでも100ヵ所程度設置される予定。充電インフラはメキシコのサンホセ・チアパス工場にも構築される計画がある。また、すでにアウディはミュンヘン空港トレーニングセンターにも相当な容量の充電ステーションを設置済み。プロジェクト全体の総予算は最大で1億ユーロにも達した。

 

駐車場に設置された充電ステーションで充電するアウディ e-tron

アウディの拠点にある駐車場の10%を電気自動車用にするという決定は、1年前に行われた。あまりにも規模の大きなインフラ整備となるため、慎重な管理やスケジューリングが徹底されている。

 

大規模ゆえに時間を掛けた電気インフラの整備

 

これほどの規模の充電インフラ整備は、ドイツにおいては過去にほとんど例がなく、細心の準備と独立したエネルギー管理が必要となった。そのため、新たに立ち上げられたプロジェクトチームが、2017年半ばから実施計画の準備と構築を行ってきた。そして、すべての駐車スペースの10%を電動化するという基本的な決定は、1年前に行われている。

 

「これほどの規模でエネルギー供給を拡大するためには数年という月日がかかります。一定のリードタイムが必要なのです」と、フーバー。また、車両生産が行われている施設において充電インフラを構築することは、アウディにとっても大きなチャレンジになったという。

 

プロジェクトチームは、全体的な戦略、投資、コンセプトの計画に責任を持ち、充電インフラの設営と運用に加え、アウディの拠点で充電した場合の課金処理も管理する。駐車場を使用する従業員やビジターのニーズに合わせて充電ポイントを拡張し、それに合わせて充電インフラを設計。さらに運用ルールを策定し、緊急対応窓口とサポートも提供されることになる。

 

この結果、ブリュッセル、インゴルシュタット、ネッカーズルムでは、総電力21MWで充電インフラを構築することが可能になった。これは人口1万4000人規模の街の電力消費量に相当するものだ。

 

充電インフラには最大22kWの出力を備えた600の充電ポイントと、50〜350kWの出力を備えた60の直流充電ポイントが含まれる。2022年半ばまでに、工場拠点において最大22kWの出力を備えた4500の充電ポイント、最大350kWの出力を備えた50以上の充電ポイントが設置される予定だという。

 

駐車場に設置された充電ステーションで充電するアウディ e-tron

長期的な視野にたって、単なる自動車メーカーからモビリティ・サービスプロバイダーとなることを目指すアウディ。今回の充電プラトッフォームへの積極投資は、その布石となるものだ。

 

2050年までに完全なCO2ニュートラル企業へ

 

ミュンヘン空港にある3つのトレーニングセンターにもアウディは充電設備を保有している。2.1MWの電源入力を備えたアウディ最大の充電パークは、この施設の電力網に組み込まれている。さらに、新しい「ATC IVビル」の建設にともない、太陽光システムで発電した電力を蓄電装置と組み合わせる取り組みもスタート。この電力は、電気自動車の充電にも使用される。

 

「私たちは、エネルギーの供給面だけに目を向けているわけではありません」と、フーバーは説明する。

 

プロジェクトチームは、Googleマップに基づいて、独自のナビゲーションマップも作成。これにより、従業員は充電ターミナルが利用できる場所をリアルタイムで確認することができるようになった。また、オンラインシステムを介した請求書発行と社内決済システムへの統合も重要なサービスと言えるだろう。

 

中期的には充電インフラの拡張を求める企業に対して、アウディが蓄積した専門知識をどのように活用できかが課題となる。これは、純粋な自動車メーカーからモビリティ・サービスプロバイダーへと変革を目指すアウディにとっては、重要な次なるステップとなるだろう。

 

アウディは、遅くとも2050年までにすべての事業が完全なCO2ニュートラルとなることを目標としている。