ロールス・ロイスに薔薇を咲かせる百万の刺繍【ビスポーク特集 ファントム編その4】

ロールス・ロイス ローズ ファントムのリヤシートイメージ

Rolls-Royce Phantom

ロールス・ロイス ファントム

 

 

薔薇が咲き誇る幻想的なファントムのキャビン

 

コーチドアを開けると、キャビン一面に咲き乱れる大輪の薔薇。夢に見るような幻想的な世界を職人技術で具現したのが「ローズ ファントム」だ。

 

この特別なファントムをオーダーしたのは、愛娘に花にちなんだ名前を与えるほど、花をこよなく愛するスウェーデンの起業家。「満開の薔薇園を前にして人が抱く畏敬の気持ちを、ファントムの車内に再現してほしい」それがリクエストだった。

 

ロールス・ロイス ローズ ファントムのインストゥルメントパネルイメージ

百万ものステッチがキャビン全体に薔薇を咲かせる。それだけ縫い目を重ねても、天井にもドアにもシワひとつ見つからない。世界最高峰の職人技術なくして実現しない、贅を極めたしつらえと言える。

 

本社に咲く世界で唯一の品種「ファントム ローズ」

 

ロールス・ロイス本社にある薔薇園では、世界で唯一の「ファントム ローズ」を見ることができる。英国で100年以上バラの生産・育種の歴史を誇るハークネス・ローゼス社のブリーダー、フィリップ・ハークネスがロールス・ロイスに捧げたもので、グッドウッドにある本社の中庭でのみ育てられている。

 

そのファントム ローズに着想を得た繊細な様々な薔薇の様子は、キャビン内のルーフやドアトリムに100万ものサテンステッチ(間隔を詰めて糸を渡し、面を塗り絵のように埋めていく技法)で表現された。二分咲き、五分咲き、七分咲きの花々は、スターライトヘッドライナーの光ファイバーと組み合わされることで、まるで夜空の星の間に点在しているようにも見える。

 

ロールス・ロイス ローズ ファントムの室内イメージ

濃紺のピーコックブルーで塗装されたボディには、チャールズブルーのコーチラインが2本引かれている。ボディカラーを決めたのはオーナーの愛娘であるマグノリア。

 

ロールス・ロイスのビスポークが愛される理由

 

ローズ ファントムの特等席はなんといってもリヤシート。この場所からは天井やドア、ダッシュボードで咲き乱れる薔薇の花弁と、その間を飛び回る蝶々の躍動を一望にできる。

 

この特別なファントムの製作には彼の家族もクリエイターとして参加。付属のアンブレラを夫人がデザインし、彼の愛娘であるマグノリアがボディカラーを決めたという。家族や大切な人とともに自分だけのクルマを作り上げる。ロールス・ロイスのビスポークが愛されるのは、そういう幸せな時間が提供されることもひとつの理由なのだろう。