8気筒ミッドシップの原点「フェラーリ 308 シリーズ」(1975-1982)【名作スーパーカー型録】

公開日 : 2020/02/11 17:55 最終更新日 : 2020/02/11 17:55

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フィオラーノで撮影されたF1と映るフェラーリ308GTB

Ferrari 308 GTB / GTS

フェラーリ 308 GTB / GTS

 

 

フェラーリをポピュラーにした308シリーズ

 

フェラーリというブランドを一気にポピュラーにしたモデルといえば、それは1975年から1985年まで実に1万5000台以上がマラネロの本社工場から出荷された「308」シリーズだろう。

 

現在のフェラーリの生産規模から考えれば、平均して年間に1500台規模の生産というのは、とりたてて驚くほどではないのかもしれないが、この時代のフェラーリは、すでにフィアットの傘下に収まっていたことからも想像できるように、その経済環境はけっして恵まれていたとはいえなかった。8気筒ミッドシップとしては、先行して市場へと送り出されていた2+2の308 GT4も1973年から1980年までに2826台が生産されたのみ。それだけに308のファーストモデルたる「308 GTB」が1975年のパリ・サロンで誕生した時の衝撃は、期待とともに大きなものだった。

 

フェラーリ308GTSのリヤスタイル

フィオラバンティによる流麗なスタイルで好評を博した308シリーズ。如何にもミッドシップらしいデザインは、未だに多くのファンをもつ。

 

初期型のFRPボディは軽量化が目的ではなかった

 

1975年に誕生したニューモデルに与えられた308 GTBというネーミングは、3リッター仕様のV型8気筒エンジンを搭載するGTB(グラン・ツーリズモ・ベルリネッタ)を意味するものだった。ベルリネッタとはイタリアではコンパクトなクーペの意で、その流麗なボディをデザインしたのはピニンファリーナ。参考までに当時のチーフ・スタイリストは、レオナルド・フィオラバンティである。

 

デビュー直後から1976年の終わり頃まで、308 GTBのボディパネルがFRP製であったことはフェラーリのファンの間では広く知られている知識だ。これは軽量化が直接の理由ではなく、当初計画していたスチールによるボディパネルの製作がイタリアの労使交渉の決裂を理由に大きく遅れたことに対する策。結果的に重量面でも製作技術の面でもスチールに対してエクストラをもつFRPが選択されたに過ぎなかった。実際に1977年に登場するスチールボディの308 GTBと比較すると重量は約200kgほどFRP製のほうが軽い。現在では、308 GTBの初期モデルとしてオークション等では非常に高い人気を誇るFRPボディの308 GTB。その誕生の理由はともあれ、今でも人気は圧倒的に高い。

 

フェラーリ308GTS&GTB

初期型にFRPボディが存在することでも分かるように、308シリーズの基本骨格は強靭。走行中にかかる負担はすべてフレームが受け止めるように造られていた。

 

強靭なフレームワークも特徴

 

308 GTBの基本骨格は、クロームンモリブデン鋼による楕円断面チューブで組み上げられている。これは当時の12気筒モデルとも同様だが、308 GTBでは前後のサブフレームをスチールによる角型断面チューブとされているのが特徴。走行中の308 GTBにかかるストレスは、そのほとんどをこの強靭なフレームワークが受け止める仕組みだ。

 

前後のサブフレームに組み合わされるサスペンションは、前後ともに上下不等長Aアームを使用したダブルウイッシュボーン。その構成部品のレイアウトは前後でかなり異なっており、コニ製のダンパーは、ドライブシャフトとの干渉を避けるために、リヤではアッパーAアームの上に配置されるデザインが採用されている。スタビライザーはフロントが18mm、リヤは11.5mmの設定。ブレーキは前後ともATE社製のベンチレーテッドディスクとなる。

 

フェラーリ308GTBiのフロントスタイル

時代に合わせて様々な進化を果たすのも308シリーズの特徴。デビュー当初はドライサンプ式、1976年にはウエットサンプに、1980年にはインジェクション化、そして1982年には4バルブ化された。

 

時代にあわせて様々な進化を果たす

 

ミッドに搭載されるエンジンは、ファーストモデルの308 GTBでは、ドライサンプ方式の3リッターV型8気筒DOHCで最高出力は255ps。翌1976年には欧州向けにウエットサンプ仕様が同スペックで追加されるが、こちらの最高出力は227psに抑えられた。1978年には初の追加車種として着脱式のルーフを備えた「308 GTS」を追加設定している。

 

また、1980年には環境対応のため、V型8気筒エンジンをインジェクション化した「308 GTBi / GTSi」が、そして1982年にはDOHC4バルブ化を行った「308 GTB / GTS クワトロバルボーレ」へとマイナーチェンジが行われている。

 

最終的に308シリーズは1985年まで生産を継続。1982年のIAA=フランクフルト・ショーで後継車の328シリーズが発表されるまで、イタリア市場専売車の2リッターモデル「208 GTB / GTS」とともに生産が継続された。

 

 

【SPECIFICATIONS】

フェラーリ 308 GTB

発表:1975年

エンジン:90度V型8気筒DOHC(2バルブ)

総排気量:2926cc

圧縮比:8.8

最高出力:188kW(255ps)/7700rpm

トランスミッション:5速MT

駆動方式:RWD

乾燥重量:1090kg

最高速度:252km/h

 

フェラーリ 308 GTBi

発表:1980年

エンジン:90度V型8気筒DOHC(2バルブ)

総排気量:2926cc

圧縮比:8.8

最高出力:157kW(214ps)/6600rpm

トランスミッション:5速MT

駆動方式:RWD

乾燥重量:1286kg

最高速度:240km/h

 

フェラーリ 308 GTB クワトロバルボーレ

発表:1982年

エンジン:90度V型8気筒DOHC(4バルブ)

総排気量:2926cc

圧縮比:9.2

最高出力:176kW(240ps)/7000rpm

トランスミッション:5速MT

駆動方式:RWD

乾燥重量:1275kg

最高速度:255km/h

 

 

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)