高性能コンパクトSUV「アウディ RS Q3」初試乗! 氷上で魅せたグッドバランスとは?

公開日 : 2020/02/24 17:55 最終更新日 : 2020/02/26 22:35

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アウディ RS Q3/RS Q3 スポーツバック試乗、RS Q3の走行シーン

Audi RS Q3 / RS Q3 Sportback

アウディ RS Q3/RS Q3 スポーツバック

 

 

プレミアムコンパクトクラスの大本命

 

ジャーマンプレミアムブランドのハイパフォーマンスモデルが活況を呈している。メルセデスAMGの2019年のグローバル新車販売台数は新記録となる13万2136台と前年比11.8%増を達成。一方のBMW M社はなんと前年比32.2%の増加で、メルセデスAMGを上回る13万5829台に到達した。

 

メルセデスのAMG、BMWのMに対抗するブランド育成のために、2016年にアウディはR8及びRSモデルの開発を担ってきたクワトロ社を、Audi Sport GmbH(アウディ スポーツ社)へと社名変更。“アウディ スポーツ”をモータースポーツのみならず、ロードカーなどにも冠し前面に打ち出す戦略をスタートさせた。今後は積極的にRSモデルを拡充し、年内にはBEVスポーツカーのe-tron GTを発表するなどして、2023年の販売台数を2018年比で倍増することを目標として掲げている。

 

アウディ RS Q3/RS Q3 スポーツバック試乗、RS Q3のリヤスタイル

アウディのハイパフォーマンスモデルに冠される“RS”を戴く唯一のSUVモデルがRS Q3。昨今人気を博しているコンパクトSUVカテゴリーにおいて主役になるのは間違いない。

 

アウディのRSモデル、唯一のコンパクトSUV

 

RS Q3は、RSモデルとしては今のところもっともコンパクトなクラスかつ唯一のSUVだ(本国では年内にRS Q8の発売が予定されている)。仮想敵としては、メルセデスAMGのGLA 45 4MATICということになる。

 

2代目へとフルモデルチェンジしたRS Q3は、フォルクスワーゲングループのモジュラープラットフォームMQBをベースとする。基準車のQ3に、クーペスタイルのQ3スポーツバック(以下SB)という派生車が設定されたことをうけ、RSモデルにも2つのボディタイプが用意された。これまでアウディのSUVクーペといえば、Q2やQ8など偶数が用いられてきたが、その法則から外れたことになる。

 

開発者に「Q4という車名にしなかったのは、A4などが使うMLB系のプラットフォームを用いたSUVクーペが予定されているためか?」と尋ねてみたら、将来的な計画は答えられないとはぐらかされてしまった。勝手な想像だけれど、Q5ベースのクーペタイプが登場するとして、どんな車名になるのか今から楽しみだ。

 

アウディ RS Q3/RS Q3 スポーツバック試乗、RS Q3の走行シーン

スポーツモデル顔負けの最高出力400ps&最大トルク480Nmを発生するRS Q3。スリッパリーな路面においてハイパワーはネガになるケースもあるが、RS Q3の海外試乗会は敢えて雪面・氷上で行われた。

 

北極圏に近い雪上・凍結路面で試乗スタート

 

RS Q3&SBの国際試乗会は、スウェーデンのアルヴィッツヤウルという街で行われた。

 

ストックホルムから北へ約900km、冬はあたり一面が雪と氷で覆われて欧州メーカーやサプライヤーの寒冷地テストの場として有名だ。またメルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、ジャガー・ランドローバー、そしてアウディもドライビングエクスペリエンスという一般向けのドライビング講習会を行う場所としても知られている。日本からもまれにオーロラ見学をセットにしたツアーなどが組まれている。

 

限りなく北極圏に近いこの街では市街地でもスパイクタイヤの着用が許可されているという。今回の試乗車にはミシュランのX-ICE NORTH 4と地元スウェーデンのDackproffsenという初めてみる銘柄の2種類のタイヤが装着されていた。市街地ではスパイクが短く路面への攻撃性が低いミシュランを、凍結した湖上のドライビングエクスペリエンス用特設コースではスパイクの少し長いDackproffsenという使い分けがなされていた。

 

アウディ RS Q3/RS Q3 スポーツバック試乗、RS Q3の走行シーン

ブラックスタイリングパッケージを標準装備し、引き締まった印象を与えるRS Q3のエクステリア。RS Q3 スポーツバックとの違いは、ルーフレールの有無(装備するのがRS Q3)によって判別可能だ。

 

ブラック基調のスパルタンなエクステリアを採用

 

駐車場に並んだベース車とSBを真正面から見比べると最初は違いがよくわからなかった。ボディサイズは前者が全長4506mm、全幅1851mm、全高1602mmなのに対して、SBは全長4507mm、全幅1851mm、全高1557mm。全長と全幅はほぼ同じで、全高はSBが45mm低い。

 

両者を簡単に見分けるポイントは、ルーフレールの有無だ。そしてサイドから見れば、SBのルーフはCピラーにかけてなだらかに傾斜し、サイドウインドウの後端がキックアップしたデザインになっていることがわかる。また後方はSBにのみリヤバンパーに黒の加飾パネルがインサートされている。

 

エクステリアデザインは、両者ともに黒基調のブラックスタイリングパッケージを標準装備する。グロスブラックのグリルが備わり、その上部にはスポーツクワトロをモチーフにしたスリットが入る。サイドミラー、ウインドウフレーム、アルミホイール、そしてアウディの4リングスまでブラックアウトする念の入れようだ。試乗車に1台だけ見慣れたシルバー基調の仕様が用意されていたのだが、そちらがオプションという。

 

アウディ RS Q3/RS Q3 スポーツバック試乗、RS Q3のインテリア

RS Q3とRS Q3 スポーツバックのインテリアデザインは基本的に同一。ドライバーオリエンテッドで操作のしやすさは定評のあるところ。両モデルともに今回から“RSモード”を追加した。

 

走りの質を変える「RSモード」を採用

 

インテリアデザインは基本的に同一だ。フラットボトムのRS専用ステアリングには、新たにRSモードボタンが備わった。これはコンフォートやオート、ダイナミックなど通常のドライブモードに加えてRS1、RS2という2つのモードが追加されたことによるもの。ドライブシステム、サスペンション、ステアリング、エンジンサウンドなどが調整可能で、あらかじめ任意のモードに設定しておけば、そのボタンで瞬時に呼び出すことができる。

 

機能的な面で両者の違いをもっとも顕著に感じるのは後席空間だろう。身長178cmの大人が着座して、頭上スペースのゆとりは前者がこぶしひとつ分、後者は手のひら1枚分といったところ。窓面積の違いもあってやはりベース車のほうが開放感がある。後席シートの前後スライド量はそれぞれ150mmと130mm。意外にも通常時のラゲッジ容量は530リットルと共通で後席をフラットにすると、それぞれ1525リットル/1400リットルとなる。

 

アウディ RS Q3/RS Q3 スポーツバック試乗、RS Q3 スポーツバックの走行シーン

Cピラーを寝かせてスタイリッシュなイメージを演出するSUVクーペの文法を採用したRS Q3 スポーツバック。搭載するパワートレインは、RS Q3と共通の2.5リッター直5ターボと7速Sトロニックの組み合わせ。

 

ブランドアイコンでもある直列5気筒エンジンを搭載

 

このモデル最大の特徴が、2.5リッター5気筒直噴ターボエンジンだ。これまでRS3やTTRSなどにも採用され、9度にわたって“International Engine of the Year Awards”を受賞している、アウディのブランドアイコンのひとつといえる。おそらく新型RS3への採用なども見越し大幅に改良の手が加えられていた。

 

クランクケースのアルミ化をはじめオイルパン上部をマグネシウム製に、その他クランクシャフトやフライホイールも改善して従来モデルより26kgもの軽量化を達成。またシリンダーライナーをプラズマコーティングして内部摩擦を軽減するなど、出力の向上とエミッションへの対策を両立している。最高出力は、先代比で60ps向上して400psに到達、最大トルクは30Nmアップの480Nmとなった。

 

トランスミッションは7速Sトロニックで、低速時もギクシャクするようなことはなくリズムよくシフトアップしていく。7速のギヤ比は燃費向上のため高めに設定されている。駆動方式はもちろんクワトロフルタイム4WDだ。システムは電子制御油圧式マルチプレートクラッチを用いたもので、重量配分を最適化するためリヤアクスルに配置。必要に応じて駆動力の50〜100%をリヤに配分する。

 

アウディ RS Q3/RS Q3 スポーツバック試乗、RS Q3 スポーツバックの走行シーン

伝統のクワトロシステムを搭載し、走る場所を選ばないオールマイティさが魅力となるRS Q3 スポーツバック。ハイパワーながらも扱いやすく安定感は雪面試乗でも際立っていた。

 

雪面でも制御しやすいRS Q3 スポーツバック

 

まずはSBで一般道に向かう。肌触りのよいファインナッパレザーを用いたオプションのRSスポーツシートに腰かけ、スターターボタンでエンジンを始動する。何気なく走っていると1-2-4-5-3の順でシリンダーが点火し、独特の鼓動を放つ5気筒エンジンの存在はあまり感じられない。年々厳しくなる騒音規制に対処すべく通常時は抑えられているという。

 

ドライブモードをオートにしておけば、電子制御ダンパーもしなやかに動き、コーナーではほとんどロールすることなく曲がっていく。すぐに目線の高いSUVを運転している感覚はなくなった。スパイクタイヤの恩恵もあってかブレーキのフィードバックもよく、少々ラフな運転を試みても一気に滑り出すようなことはなかった。

 

試乗会の後半は6つものコースを内包する広大な湖へと向かった。最初はタクシードライブと称したプログラムで、アウディのエキスパートドライバーの助手席に座る。出だしからいきなりのドリフト状態で、もっともスピードがのる直線路での車速は200km/hを超えていた。それでも怖くないのだから、クルマもドライバーも大したものだ。

 

アウディ RS Q3/RS Q3 スポーツバック試乗、RS Q3の走行シーン

専用のチューニングが施されたステアリング、駆動力を必要に応じて50〜100%リヤに伝達するクワトロシステムなどの恩恵により、ドライバーは自らのスキルが上がったかのような錯覚さえ覚える。

 

運転が上手くなったかと錯覚するほど良好なバランス

 

前半のSBからベースモデルへと乗り換えて、指定された1周約2.5kmのトラックへと向かう。走りだした瞬間はSBに比べ少し重心が高いのかなという気もしたが、すぐに身体が慣れた。ちなみに乾燥重量はベースが1715kg、SBは1700kgと15kg差となっている。

 

RSモードはすべてダイナミックに、エンジンサウンドは“Pronounced(目立った、顕著なの意)”に設定済みだ。ESC(エレクトロニック スタビリゼーション コントロール)のスイッチを3秒間長押してキャンセルしてからコースインする。100km/hを超えるような高速コーナーと、氷が露出したすべりやすい低速のタイトコーナーなどが組み合わされた周回路だ。アクセルペダルに力を込めるとオプションのRSスポーツエキゾーストシステムが本領を発揮し、これぞ5気筒という切れ味のいい音を奏でる。

 

コースに慣れてくるとブレーキやアクセルオフでの荷重移動をきっかけにすべてのコーナーを4輪ドリフトの状態でクリアできるようになる。RS専用にチューニングされたステアリングの効きもよく、ときに大きくスライドするような場面でもすぐに修正舵をいれればしっかりと持ちこたえる。スパイクタイヤの恩恵もあるが、45分走り続けて一度もスピンすることはなく、ラリードライバーのように運転がうまくなったのかと錯覚するほどバランスのいいクルマだった。

 

アウディ RS Q3/RS Q3 スポーツバック試乗、RS Q3とRS Q3 スポーツバックのツーショット

RS Q3/RS Q3 スポーツバックともにエクステリアデザインやユーティリティは若干異なるものの、パフォーマンスは基本的に同じ。あとはライフスタイルや見た目の好みで選びたい。国内には2020年中に導入される予定だ。

 

アウディスポーツの牽引役、RS Q3は年内中に日本へ導入予定

 

実は今年、クワトロは40周年を迎える。RS Q3は、“アウディ スポーツ”の牽引役であり、4WDと5気筒エンジンの組み合わせで当時のWRCを席巻したアウディクワトロの系譜を今に受け継ぐSUVというわけだ。日本にも年内の導入が予定されている。

 

 

REPORT/藤野太一(Taichi FUJINO)

 

 

【SPECIFICATIONS】

アウディ RS Q3(RS Q3スポーツバック)

ボディサイズ:全長4506(4507) 全幅1851 全高1602(1557)mm
ホイールベース:2681mm
車両重量:1715(1700)kg
エンジン:直列5気筒DOHCインタークーラー付ターボ
総排気量:2480cc
圧縮比:10.0
最高出力:294kW/400ps/5850–7000rpm
最大トルク:480Nm/1950–5850rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:4WD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後4リンク
タイヤサイズ:前後255/40R20
0-100km/h加速:4.5秒
最高速度:250km/h(リミッター介入)

 

 

【問い合わせ】

アウディ コミュニケーション センター

TEL 0120-598-106

 

 

【関連リンク】

・アウディ ジャパン公式サイト

https://www.audi.co.jp/