ピレリ、新型タイヤ開発シミュレーターの操業をスタート。F1の知見を公道用タイヤに継承

シミュレーターに乗り込むマルコ・トロンチェッティ・プロベラ会長

自動車メーカーとの協業体制をより迅速に

 

ピレリは、ミラノの研究開発部門において最新型シミュレーターの操業を開始した。このシミュレーターは、タイヤの開発期間を短縮し、物理的なプロトタイプの数を大幅に削減する。これによって、ピレリと世界各国の自動車メーカー間の緊密な協業関係がさらに強化されることになる。

 

新型シミュレーターは、ピレリと世界の主要なプレステージ&プレミアム自動車メーカーとの開発工程により迅速なプロセスを取り入れることに加え、タイヤテストのスピードアップを目的としている。この結果、開発期間を削減し自動車メーカーとのパートナーシップ強化に貢献することになる。

 

ピレリが導入した新型シミュレーター

シミュレーターの積極的な活用により、開発期間が30%も削減されることに加えて、物理的なプロトタイプタイヤの製作本数も減るため、環境対策としても有効とされている。

 

シミュレーターの導入により開発期間を30%削減

 

様々な車種に向けたバーチャルプロトタイプの評価期間を短縮する最新技術によって、公道用やモータースポーツ用タイヤの開発期間が約30%も短縮。新型シミュレーターは、異なる開発パラメーターによる迅速な再モデリングが可能になり、ピレリと自動車メーカー間の迅速なデジタル情報のやり取りをさらに促進できる。自動車メーカーとのデザインや開発の協業は、自動車メーカーのシミュレーター上でも可能だ。

 

伝統的な開発手法と比較して、新型シミュレーターではあらゆるクルマのバーチャルモデル (自動車メーカーが作成したもの、シミュレーター内で作成されたものを問わず)を迅速にシステムへ取り込むことが可能になった。つまり、タイヤ開発のリードタイムが自動車メーカーの期待に沿ったものになるというわけだ。

 

さらに、バーチャル開発工程を最大限に活用するシミュレーターの使用は、物理的なプロトタイプ開発数の削減に繋がる。これは環境改善に貢献するピレリのサスティナビリティ精神に沿うものとなる。

 

シミュレーターのコントロールルーム

F1へのコントロールタイヤに続き、2021年からは世界ラリー選手権にもタイヤを供給するピレリ。迅速な開発が要求されるモータースポーツで培ったシミュレーター技術が、市販タイヤにも活かされることになる。

 

モータースポーツで得られたノウハウを市販タイヤへ継承

 

F1グランプリを始めとするモータースポーツ用のタイヤ設計・開発においては、10年以上も前から先進的なシミュレーション技術が活用されてきた。現在、ピレリの研究開発部門の豊富なノウハウとともに、このテクノロジーが公道用のタイヤ設計・開発に活かされている。

 

直径7.5m、210度パノラマスクリーンで構成されるVI-grade社製シミュレーターは、広範囲に渡るドライビングコンディション、公道、サーキットをシミュレート。このシミュレーターの心臓部は、ドライバーが実際のクルマで感じる感覚を忠実に再現する様々なテクノロジーを備えた運転席部分となり、シート、ステアリング、シートベルト、振動システムを通じてサスペンションやエンジンの動きを正確にシミュレートする。

 

シミュレーターの全ての工程はコントロールルームで制御。コントロールルームからの制御によって、タイヤやクルマの多様な技術的仕様をシミュレーター上で再現し、タイヤと路面やタイヤ動作に関連するその他の要素との相互作用を測定したシミュレート結果を詳細に記録できる。この記録はテストドライバーが感じた主観的な印象を補完することになる。

 

また、このシミュレーター上で実行される重要な工程は、ミラノ工科大学に設置される予定のダイナミック・シミュレータープロジェクト(横方向及び縦方向の加速と回転を再現可能にすべく設計されたもの)と統合することが可能になった。ピレリはミラノの研究開発センターで補完的なテスト作業を行いつつ、ミラノ工科大学との長年に渡るコラボレーションも行っている。