メルセデス・ベンツEクラスの「知能」が進化! マイナーチェンジ版を世界初公開
公開日 : 2020/03/04 12:22 最終更新日 : 2020/03/04 12:22
Mercedes-Benz E-Class
メルセデス・ベンツ Eクラス
現行Eクラス初の大幅改良
メルセデス・ベンツは2020年3月3日に、Eクラスのマイナーチェンジモデルをワールドプレミアした。現行Eクラスにとって初めての大規模改良であり、まずはセダンとステーションワゴンから進化。2020年夏より欧州市場への導入が始まる。
クーペやカブリオレ、ロングホイールベース版(中国のみ)にもすぐに改良新型が登場予定という。
刻々変わる制限速度に自動対応
今回のマイナーチェンジのポイントは、「次世代運転支援システムの採用」「キャビンの快適性向上」「パワートレインの電動化」の3点。
「アクティブ スピード リミット」は、地図データや道路標識と連動して自動的にリミッターで車速を制御する機能。コーナーやランナバウト、料金所、丁字路の手前からスピード調整を開始するうえ、高速道路の出口にも対応する。
「ハンズ オフ」の渋滞支援機能も
最新のACCである「アクティブ ディスタンス アシスト ディストロニック」も導入。道路情報に基づく速度調整機能にくわえ、SIMカードを用いたデータローミングを介して数分ごとに情報をアップデートする「ライブトラフィック」とも連携する。渋滞末尾や交通の流れが悪くなっている場所もドライバーより早く検知し、もしもドライバーが迫る車列に対してなんの反応も示さない場合は、予備的措置として車速が100km/hまでスローダウンされる。
「アクティブ ストップ アンド ゴー」は、車線の明確な自動車専用道路上なら最高60km/hまで車線キープと先行車との距離を支援する機能。1分以内であれば停止から再発進までを自動で行う。BMWでいうところの「ハンズ オフ機能付き渋滞運転支援システム」に相当するもののようだ。
ドア開き事故を音と光で防止
さらに、ステアリング操作を支援する「アクティブ ステアリング アシスト」にも新しい機能が登場。例えば複数車線のある高速道路上で事故などによる渋滞が起きた場合、現場へ駆けつける緊急車両用のルートが必要になるが、その“通り道”を空ける際のアシストまで行うという。
ドライバーの死角になりやすいエリアの障害物を検知する「アクティブ ブラインド スポット アシスト」は、「降車時警告付き」に進化。車両停止時にも接近する自転車やオートバイなどを検知してドライバーへ警告することで、いわゆる「ドア開き事故」を防止する。7km/h以上で移動している物体を検知し、危険が迫っているのにドアを開けようとすると、音とともにドアのアンビエントライトが赤く点滅して警告。この機能はイグニッションをOFFにしてから最大3分まで作動する。
ボディ全体を横から眺める「目線」も追加
駐車から発進までの軌道を自動でサポートする「パークトロニック付きアクティブ パーキング アシスト」には、広めの駐車スペースを検知する機能も。360度カメラを搭載し、ボディ全長をサイドから眺めた視点も追加。縁石やガレージ、狭いパレットなどの神経を使う駐車時に側方の状況をより確認しやすくした。
衝突回避し被害を軽減する自動ブレーキ「アクティブ ブレーキ アシスト」は全車へ搭載した。停車している車両はもちろん、歩行者の飛び出しにも対応する。対向車線を横切って右折する際には長距離レーダーセンサーとステレオマルチパーパスカメラで前方の状況を検知。直進してくるクルマと衝突の可能性がある場合は一定の条件下で自動ブレーキを作動し、“右直事故”を防止する。
よりよい仮眠を促しドライバーを「活性化」
改良新型Eクラスのキャビンで主に注力したのは、ドライバーの「活性化」。エナジャイジングシート機能は、長距離ドライブ中にてシートクッションやバックレストを動かすことでドライバーへよりよい姿勢を促すもの。
また、ウェアラブル端末を介して得た情報に基づき、個々人に最適なフィットネスを推奨する「エナジャイジング コーチ」機能や仮眠をサポートする「パワーナップ(15〜30分程度の短い仮眠)」機能(プラグインハイブリッドのみ)も用意。さらに周辺空気の清浄度を示すインジケーターにも最新のシステムが備わる。
「メルセデス アーバン ガード」と呼ぶ駐車時監視機能もアプリを通じて利用可能になる。衝撃や牽引、侵入などを検知するとともに、盗難の際の追跡機能を完備。また、車両の鍵を無くしたり盗まれた場合の予防措置として、スマートフォンを通じて認証解除することもできるという。
7モデルにプラグイン ハイブリッドを導入
パワートレインの電動化については、プラグイン ハイブリッドを7モデルに展開。ディーゼル、ガソリン、セダン、エステート、後輪駆動、全輪駆動のすべてでプラグイン ハイブリッドが選択可能となる。
ガソリンエンジンは出力156〜367psまで、ディーゼルエンジンは160ps〜330psまでラインナップ。直列4気筒ガソリンエンジン(M254)には第2世代のISG(インテグレーテッド スターター兼ジェネレーター)を装備。最大15kW/180Nmのパワーでエンジンをサポートする。もちろん48V対応である。
M256と呼ばれる直列6気筒ガソリンユニット+ISGも選べるようになった。ディーゼルは直列6気筒(OM 656)と直列4気筒(OM 654)の両方を用意。メルセデス・ベンツの中核を担うEクラスとあって、最新の直列ユニットをずらり取り揃える。
組み合わせるトランスミッションは、第2世代ISGに最適化させた9Gトロニックだ。モーターや冷却システムはトランスミッションの内部、もしくは近接するように配置。ケーブル類も省くことでスペースや重量を抑えて様々な内燃機へ対応できるようにした。
「ハイ、メルセデス」はAR(拡張現実)対応へ
デザイン面では、エントリーグレードがアバンギャルド仕様になスリーポインテッドスターを組み込んだフロントマスクが標準となる。ボディカラーにはハイテク シルバー、グラファイト グレー メタリック、モハベ シルバーとよぶ新色を追加。ホイールデザインもより多彩になり、燃費効率を向上するエアロホイールも選択できるようになった。
コクピットの景色も最新基準へ進化。指でスワイプ操作できるタッチコントロール付きステアリングホイールを改良するとともに、10.25インチの液晶を2枚据え付けるディスプレイを標準にした。12.3インチ液晶を2枚並べた仕様もオプションで選択することが可能だ。
「ハイ、メルセデス」でお馴染みの自然対話型音声認識システムを組み込むインフォテインメント機能MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)は、AR(拡張現実)にも対応。ディスプレイ上に映し出された周辺環境上に家屋番号や番地、信号機などが表示される。
メルセデス-AMG E 53 4マティックにも、サルーン、エステートの両方へさらに力強いデザインを与えるともに幅広いオプションを用意した。
さらに半歩先の未来へ踏み出したEクラス
現行Eクラス(W213)が日本市場で発売されたのは2016年7月。ウィンカーレバーの操作のみでクルマが安全確認をしながら自律的に車線変更を行うといった先進の運転支援機能をいちはやく採用してセンセーションを呼んだ。
ステアリングホイールにタッチ式のセンサーを与え、横長のタブレットが嵌め込まれたようなインストゥルメントパネルを導入するなど、「未来型Eクラス」のキャッチコピーもさもありなんという意欲的なモデルとして登場した。これまでにセダン、エステート含めて世界で120万台以上が販売されている。
依然としてメルセデス・ベンツの「ブランドの心臓」であり続けるEクラスは、2020年夏より欧州から導入をスタートする。
未来型を謳い登場したEクラスが先進の知能を獲得し、さらに半歩、未来へ足を踏み出した。自動車のこれからを提示するひとつの好例となることは間違いなさそうだ。
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