次世代500は電気で走る! フィアットのアイコン、チンクエチェントはクルマ社会を再び塗り替えるか

公開日 : 2020/03/05 12:45 最終更新日 : 2020/06/12 13:17


フィアット500 ラ・プリマのフロントスタイル

Fiat 500

フィアット チンクェチェント

 

 

イタリアンコンパクトの象徴がついにEVヘ

 

FCAは2020年3月4日に新型「500(チンクェチェント)」をワールドプレミアした。初代から数えて3世代目となる500は、FCAとして初のピュアEVであり、自動運転「レベル2」相当のシティカーとして生まれ変わった。同日よりプレオーダーの受付を開始する。

 

現行500/500Cの世界デビューは2007年で、以来100ヵ国以上で210万台超を販売してきた。1957年から1977年までという20年の長きにわたり愛された先代と合わせれば、500/500Cの累計販売数は600万台を超える。「500」はまさしく歴代フィアットにおけるベストセラーアイコンである。

 

フィアット500 ラ・プリマのフロントスタイル

EVとなって生まれ変わった新型フィアット 500。導入記念車「ラ・プリマ」は邦貨約453万円。

 

航続距離は最長320km

 

そのアイコン、“スモール・フィアット”が2020年にEVとなって生まれ変わった。

 

デザインはまごうことなき愛らしい500だが、心臓部に積むのは容量42kWhのリチウムイオンバッテリー。最長320km(WLTPモード)と、日常づかいには申し分のない航続距離を獲得している。

 

最高出力は87kWで、0-100km/h加速は9秒。最高速度はリミッターで150km/hに制限される。

 

フィアット500 ラ・プリマのコクピット

新型500は最新500はレベル2相当の運転支援機能を搭載。走行モードは最適効率の「シェルパ」、回生重視の「レンジ」、内燃機に近い感覚の「ノーマル」という3パターンを用意する。

 

50km分の充電なら5分で完了

 

普通充電(AC)と急速充電(DC)のいずれにも対応し、バッテリーを80パーセントまで“給油”するのにかかる時間は35分。50km分の距離であればわずか5分で充電が可能という。欧州のEV用充電規格「コンボ(CCS)2」に準拠したソケットは右後輪の上部に設置する。

 

家庭用充電設備として「イージー ウォールボックス」も用意。3kWの普通充電が標準で、7.4kWまでアップグレードすることが可能だ。7.4kWであれば6時間余で満充電することができ、公共設備用のモード3充電ケーブルも付属する。

 

フィアット500 ラ・プリマのリヤスタイル

新型500は蛇腹折りのソフトトップが備わるカブリオ仕様も設定する。

 

目的地までドライバーを導くシェルパが“同乗”

 

走行モードには「ノーマル」「レンジ」「シェルパ」の3パターンから選択できる。

 

「シェルパ」はヒマラヤ登山を支える強力(ごうりき)として世界的に知られる存在。スタミナ溢れる頼もしいサポーターになぞらえた名称が示すとおり、“電費”を最大限まで向上して目的地、ないしは最寄りの充電ステーションへの到着をサポートする。条件に応じて最高速度を80km/hに制限し、エアコンやシートヒーターを制御して航続距離を稼ぎ出す(ドライバーは任意でエアコンもしくはヒーターを作動させることもできる)。

 

「ノーマル」は内燃機と極めて近い感覚で運転できるモード。「レンジ」はエネルギー回生を積極的に行なうモードで、いわゆる“ワンペダル ドライブ”がほぼ可能になる。完全停止させるにはブレーキペダルの操作が必要である。

 

フィアット500 ラ・プリマのヘッドライト

500のデザインキューを最新のLEDで再解釈。ひと目で「チンクエチェント」と分かりながら、先進性そ機能性も兼備している。

 

運転支援機能はレベル2相当

 

最新500はレベル2相当の運転支援機能を搭載。インテリジェント アダプティブ クルーズ コントロール(iACC)は車両のみならず、自転車や歩行者も検知しブレーキを作動。通行帯が明瞭な場所であれば、車線中央を走るようステアリングをアシストする機能も搭載する。

 

道路標識から制限速度を認識・通知するインテリジェント スピード アシストも用意。超音波センサーを使用するアーバン ブラインド スポットは死角領域に車両を検知するとドアミラー上に三角マークを表示してドライバーへ警告する。ドライバーに休憩を促すアテンション アシストや、自車の状況を俯瞰で確認できる360度センサーも搭載した。

 

フィアット500 ラ・プリマのリヤスタイル

全長・全幅ともに60mm拡大しているが、それでも圧倒的にコンパクトな新型500。ハンドルはドアに一体化させて出っ張りを無くしたデザインに。

 

蛇腹式のソフトトップを備えたカブリオも

 

“3代目”となる500のデザインはフィアット スタイル センターが手掛けたもので、まさしく正常進化といえる造形。どこかほのぼのとした表情は伝統的かつ正統的であり、かつモダンでコンテンポラリーな印象も兼ね備えている。また、お馴染みの蛇腹式にフォールドするソフトトップを備えたカブリオ仕様もラインナップする。

 

全長と全幅がそれぞれ60mm、ホイールベースは20mm拡大しているが、それれも4mを切るボディはあくまでコンパクトで相変わらずの機動性を誇る。

 

フィアット500 マイ・トロッポのインパネ

ブルガリとのコラボレーションモデル「マイ・トロッポ」のインストゥルメントパネル。まるで工芸品のようなデザインとクラフトマンシップが与えられた。

 

「小さなボディに最大限の空間」は健在

 

一方で、EVパワートレーンの恩恵によりキャビンはよりルーミーになった。ショルダールーム、およびフロントのレッグルームは広々としており、リチウムイオンバッテリーをフロア下に収納した荷室はフラットで、先代同様の容量を確保している。

 

「500」のロゴがフロントのグリル内に収まるのは初の試み。リヤのロゴは従来と同じく右側に配置されるが、ライトブルーの縁取りや最後の「0」が「e」を象っているなど、EVとしての個性を強く主張している。

 

フィアット500 カルテルのフロントシート

イタリアの家具ブランド、カルテルとのコラボレーション仕様。サステナビリティを重視するカルテルらしい機能的でシンプルなムードが漂う。

 

ニーノ・ロータの音楽が流れるEV

 

真横からの眺めもまごうことなき500だが、出っ張りのないフラッシュ化されたドアハンドルが先進的なムードを与えている。

 

先進的といえば、おって搭載する「アコースティック ビークル アラート システム(AVAS)」は歩行者に警告音で自車の存在を通知するシステムで、音もなく走るEVならではの安全機能。最高20km/hまで作動するが、これに無機質なアラートではなく、ニーノ・ロータがフェリーニの映画のために作曲した『アマルコルド』を使うあたり、じつに風情がある。

 

フィアット500 ジョルジオ・アルマーニのリヤスタイル

それぞれのワンオフモデルはオークションにかけられ、利益は環境保護団体へ寄付される。写真はアルマーニとのコラボレーションモデル。

 

導入記念車は邦貨約453万円

 

新型500の導入記念モデルとして、欧州では500台限定の「ラ・プリマ」が2020年3月4日よりプレオーダーの受付を開始している。車両価格は家庭用充電設備「イージー ウォールボックス」込みで3万7900ユーロ(約453万円)。

 

ボディカラーはミネラルグレー メタリック、オーシャン グリーン パール、セレスティアル ブルーの3色から選択可能で、モノグラム柄のソフトトップやLEDヘッドライトや17インチホイールなどが標準装備となる。

 

フィアット500 ラ・プリマの3色

新型500の導入記念車「ラ・プリマ」に用意するボディカラー3色は、いずれも自然に着想を得た色彩。

 

レオナルド・ディカプリオが新型500の推薦人

 

新型500のデビューにあわせ、YouTube上ではふたつの特別ムービーを公開する。俳優のレオナルド・ディカプリオが登場する『All-In』は環境保護を、『Reincarnation(転生)』では歴史に焦点を当てた。

 

また、3台の特別なワンオフモデルも登場した。それぞれはオークションへかけられ、得られた利益はレオナルド・ディカプリオの環境保護団体へ寄付されるという。

 

フィアット500のイメージスケッチ

初代ヌオーヴァ 500、2代目500、そして最新の500まで、共通のデザインキューが時代を超えて受け継がれている。

 

アルマーニやブルガリとコラボレーションしたワンオフモデルも

 

それぞれのワンオフは、ジョルジオ・アルマーニ、ブルガリ、カルテルというイタリアを代表するブランドとコラボレーション。アルマーニのエレガンス、ブルガリのクラフトマンシップ、カルテルの機能美と、各モデルとも新型500をキャンバスにそれぞれの世界観を表現した。

 

フィアット500 ラ・プリマのサイドビュー

チンクエチェントは新時代へ。次世代の毎日を支える「ザ・ベーシック」となるか。

 

毎日を歓びに変えてくれる小粒で愛くるしモビリティとして500は世界中を元気に走り回ってきた。初代ヌオーヴァ 500は1960年代の社会にクルマで移動するという自由を広く与えた。2代目500も10年を超えるロングセラーとなった。3代目500も、きっと再びモータリゼーションに活気を与えてくれるだろう。