ポルシェ 718 ボクスター&ケイマン「GTS 4.0」、その走りは対話に溢れていた【初試乗 後編】

ポルシェ 718 ケイマン GTS 4.0海外試乗、走行シーン

Porsche 718 Boxster / 718 Cayman GTS 4.0

ポルシェ 718 ボクスター GTS 4.0/718 ケイマン GTS 4.0

 

 

GTS 4.0のポテンシャルを公道とサーキットで測る

 

エンジンを掛けると背後から聞こえてくる、粒の揃ったフラット6らしいサウンドに思わず口元が緩む。と、そこでふと気づくのは排気音がやや小さくなったか?ということだ。試乗車はスポーツエキゾーストが装着されていたが、標準モードでは音量も控えめでキャビン内は望外に静かだ。

 

これは騒音規制に配慮したエキゾーストシステムの変更に加えてGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)装着によるところが大きいという。ちなみに日本仕様は規制対象外ということで、GPFは装着されない見通し。サウンドはもう少しハクをつけることになるだろうか。

 

ポルシェ 718 ケイマン GTS 4.0海外試乗、走行シーン

低速でのセンシティブな速度調整は直近のポルシェ製エンジンの中では最もやりやすく、日常使用を強く意識したセッティングだ。

 

微妙な速度調整は直近のエンジンでは随一

 

クラッチのエンゲージはまったく癖がなく、ポルシェ乗りにはお馴染みだろう、アイドリング付近でスッと繋いでトルクで押し出す的な扱い方にも向いている。直噴世代ではそこから1000rpm前後のフレキシビリティがポート噴射の世代よりも低く、ストンとエンジンがストールすることもしばしばだった。それが4気筒ターボになると、更に振動要素が加わり1300rpm以下のゾーンを頻繁に使うのはちょっと躊躇する。

 

新しい4.0リッターユニットはこの領域が実によく躾けられている。1000rom付近の充実したトルクと粘りの良さは、6速ギヤであってもそのゾーンを使用範疇とするほどだ。交差点や駐車場等では極低速域での微妙な速度調整が求められる場面も多いが、そういう場面での扱いやすさは直近のエンジン群の中でも一頭地抜けたものといえそうだ。

 

そして中高回転域のパワー、レスポンスそしてサウンドはポルシェに対する我々の期待に完璧に応えている。ボア・ストロークを同じくする9A1のGT3系はバイクさながらの超絶な吹け上がりの鋭さを誇るが、さすがにそれ同然とはいかずとも中間域のピックアップはゾクゾクするほど鮮烈だ。高回転域は7000rpmオーバーまでまったく淀みなく吹け上がり、パワーの乗りもトップエンドの7800rpm手前までしっかりとついてくる辺りは自然吸気ならではの味わいだろう。

 

ポルシェ 718 ケイマン GTS 4.0海外試乗、走行シーン

GTSが搭載する4.0リッター水平対向NAエンジンはユーティリティからフィーリングまで絶品であることを確認した。

 

澄んだエキゾーストノートが生む官能性はトップクラス

 

そして新しいデザインのエキゾーストはその取り回しから察するにボクスタースパイダー&ケイマンGT4と同様の構造となっているのだろうが、高回転に向かうに連れフラット6ならではの澄んだサウンドを存分に聴かせてくれる。現在のあらゆるスポーツモデルと比してもその官能性はトップクラスだと太鼓判が捺せる仕上がりだ。

 

一方で、このエンジンにはハイパフォーマンスの市場適合の一案としてアダプティブシリンダーコントロールが組み込まれている。これは速度にして100km/h以下、回転域で1600〜2500rpm内での低負荷走行時にシリンダーの片側3気筒を休止させてCO2排出量を抑制するものだ。カットするバンクはエンジンの均等なコンディションを長期に渡って保つべく、温度状態や過去の稼働状況に応じてフレキシブルに変化する。そのオンオフは排気音の変化で明確に伝わるも、ショックの類はほぼ無に等しい。

 

新しいエンジンのユーティリティもフィーリングも絶品であることが充分に確認できたところで車両をボクスターからケイマンへとスイッチ、トラックでその走りを堪能した。

 

ポルシェ 718 ケイマン GTS 4.0海外試乗、走行シーン

マニュアルトランスミッションのシフトフィールは、縦方向は標準的だが横方向は遊びが少なく剛性感に溢れている。

 

MTドライビングへの嗜好を満足させるシフトフィール

 

コースインからゆっくりと速度を上げていく。スロットルワークに対する反応のラグの小ささやリニアな駆動応答もまた、人々がポルシェに求める期待値に十分応えた精緻さだ。

 

もちろん、フルスロットルでのパワーの伸びを楽しむべく高回転域をキープしながらのドライビングこそケイマン GTSの真骨頂だ。とはいえ、4.0リッターと車格に対すれば充分なキャパシティを持つこともあり、エンジンは回転数の保持に気遣わずとも低回転域から充分な蹴り出しの強さを感じさせてくれる。

 

シフトのフィールや縦方向のストロークは標準的ながら横方向の遊びが少なく、リンケージも剛性感は充分で、敢えて今、MTドライビングを究めたいという嗜好にもしっかり応えてくれるだろう。今日的なスーパースポーツに慣らされた身で乗ってもボディ剛性は充分、ブレーキはコントロール性も含めて文句はなし・・・と、多くのスポーツカーにとってマスターピース的な位置づけとされてきたシャシーポテンシャルには今だ陰りはない。

 

ポルシェ 718 ケイマン GTS 4.0海外試乗、走行シーン

ケイマン GT4と同型式のエンジンを搭載するがドライブフィールは明確に異なり、ケイマン GTS 4.0はストリート志向の味付けがなされている。

 

ストリートを主眼に置くならGTSがマッチする

 

が、いよいよレーシングスピード領域に差し掛かってくるとひとつ気になったのは、リヤ側の動きに時折り落ち着きがなくなることだ。姿勢変化の状態や路面のアンジュレーションによってはスライドモーションが早く現れるのは、やはり従来のタイヤサイズで400ps級のパワーを支えるがゆえの余幅の小ささ、2.5リッター・フラット4に対すれば11kgの重量増というエンジンをミッドシップに載せてのバランス取りの難しさが挙げられるだろう。

 

言い換えればサーキットを主眼に置くならGT4、ストリートを主眼に置くならGTSと、同じエンジンを用いる両グレードはしっかりとセグメンテーションがなされているということもできる。

 

ボクスター&ケイマン GTSは、珠玉のフラット6をMTで操るという、もはや絶滅寸前かと思っていた歓びを、我慢や苦労もなく日常に取り込めるという点において大きな価値がある。絶対的な速さもさておき、五感を駆使してクルマとの対話を愉しみたいという向きには代わりのない選択肢になるだろう。

 

 

REPORT/渡辺敏史(Toshifumi WATANABE)

 

 

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ 718 ボクスター GTS 4.0

ボディサイズ:全長4391 全幅1801 全高1262mm
ホイールベース:2475mm
車両重量:1405kg
エンジン:水平対向6気筒DOHC
総排気量:3995cc
最高出力:294kW(400ps)/7000rpm
最大トルク:420Nm/5000–6500rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ストラット
タイヤサイズ:前235/35ZR20 後265/35ZR20

ブレーキキャリパー:前6ピストンアルミモノブロック 後4ピストンアルミモノブロック

ブレーキディスク(ディスク径):前後ベンチレーテッドディスク(前350×34mm 後330×28mm)
0-100km/h加速:4.5秒
最高速度:293km/h

車両本体価格(税込):1111万円

 

ポルシェ 718 ケイマン GTS 4.0

ボディサイズ:全長4405 全幅1801 全高1276mm
ホイールベース:2475mm
車両重量:1405kg
エンジン:水平対向6気筒DOHC
総排気量:3995cc
最高出力:294kW(400ps)/7000rpm
最大トルク:420Nm/5000–6500rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ストラット
タイヤサイズ:前235/35ZR20 後265/35ZR20

ブレーキキャリパー:前6ピストンアルミモノブロック 後4ピストンアルミモノブロック

ブレーキディスク(ディスク径):前後ベンチレーテッドディスク(前350×34mm 後330×28mm)
0-100km/h加速:4.5秒
最高速度:293km/h

車両本体価格(税込):1072万円

 

 

【問い合わせ】

ポルシェ カスタマーケアセンター

TEL 0120-846-911

 

 

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【関連リンク】

・ポルシェ ジャパン 公式サイト

https://www.porsche.com/japan/