ゼネラルモーターズ、画期的バッテリーを搭載した次世代グローバルEVプラットフォームを発表

公開日 : 2020/03/11 06:30 最終更新日 : 2020/03/11 06:30


プレスカンファレンスに登壇したGMのメアリー・バーラ会長兼CEO

新型バッテリーを搭載した第三世代EVプラットフォーム

 

2020年3月4日、ゼネラルモーターズ(GM)は電気自動車(EV)の売上拡大を盛り込んだ、新たな事業戦略を発表した。

 

この戦略の核となるのが、モジュラー駆動システムと独自開発のバッテリー「アルティウム(Ultium)」を搭載し、高い柔軟性を備えた第3世代グローバルEVプラットフォームだ。この新プラットフォームにより、手頃な交通手段、ラグジュアリーカー、作業用トラック、高性能スポーツカーなど、カスタマーが求める自動車レンジほぼすべてに対応することが可能になる。

 

GMの会長兼CEOを務めるメアリー・バーラはプレスカンファレンスにおいて今回の事業戦略について以下のように説明した。

 

「我々は製品開発の変革と、全車電動化の未来に向けて会社を位置付けるという戦略に挑戦することを受け入れました。私たちは複雑さを排除し、柔軟性のあるフルサイズピックアップトラックの事業に匹敵する、スケールメリットを備えたマルチブランド、マルチセグメントのEV戦略を構築しました」

 

また、GMのマーク・ロイス社長も「GMでは多くの科学者やエンジニア、デザイナー達がこの歴史的な改革を実現すべく、日々邁進しています。彼らは何百万人ものお客様を満足させる収益性に優れたEV事業の最前線にいるのです」と、付け加えている。

 

GMの第3世代のグローバルEVプラットフォーム

今回発表された「アルティウム(Ultium)」バッテリーの大きな特徴となるのが、バッテリーパック内で垂直&水平に積み重ねることが可能なこと。これにより、車両の用途やセグメントに合わせて、バッテリー容量やレイアウトを最適化することができる。

 

バッテリーパック内で垂直&水平に積み重ねることが可能

 

GMの新型バッテリー「アルティウム」は、大容量のパウチ型セルをバッテリーパック内で垂直にも水平にも積み重ねることができる、画期的な方式を採用。これによりエンジニアは各車両のデザインに応じてバッテリーの蓄電容量やレイアウトを最適化することができる。

 

アルティウムのバッテリー容量は50〜200kWhで、航続距離はフル充電で最大400マイル以上、0-60mph加速は3秒以内と推定されている。自社開発によるこの電気モーターは、前輪駆動(FWD)、後輪駆動(RWD)、全輪駆動(AWD)、パフォーマンスAWDのすべてに対応している。

 

アルティウム・バッテリー駆動のEVは、レベル2の直流(DC)急速充電に対応して設計。ほとんどの車両が400ボルトのバッテリーパックで最大出力200kWの急速充電機能を備え、ピックアップトラック向けプラットフォームは800ボルトのバッテリーパックで350kWの急速充電機能を備えている。

 

GMの第3世代のグローバルEVプラットフォーム

GMが発表した第3世代EVプラットフォームは、ピックアップトラック、SUV、クロスオーバー、乗用車、商用車など、あらゆる車種に対応可能な柔軟性を備えている。この結果、大量生産によるスケールメリットも生まれ、さらに収益を増加させる。

 

ピックアップからスポーツカーまで柔軟に対応

 

EV開発においてGMが採用する柔軟性の高いモジュール式手法は大きなスケールメリットが見込まれ、高い収益機会を生み出すことになる。

 

GMとLG化学との合弁事業により、バッテリーセルのコストを1kWhあたり100ドル以下に抑えることが見込まれている。セルには独自に開発した低コバルト含有化学素材を使用し、引き続き技術面や製造面での改良を重ねることで、さらなるコスト削減も可能となる。

 

GMの新型グローバルプラットフォームは、デザイン、パフォーマンス、パッケージング、航続距離、価格など、あらゆる面で優れた特性を備えている。ピックアップトラック、SUV、クロスオーバー、乗用車、商用車、スポーツカーなど幅広い車種を開発するのに十分な柔軟性も特徴だ。

 

第三者機関によると、米国におけるEVの普及台数は2025年から2030年にかけて2倍以上となり、平均で年間およそ300万台に達すると予測。GMでは人気の高い車両セグメントにおいてEVの発売が増えることで充電ネットワークが拡大し、さらにユーザーの総所有コストが低下するにつれて販売台数が大幅に増加する可能性があると考えられている。

 

GMの未来へ向けたEVプログラムは、収益性が大いに見込まれている。GMのテクノロジーは、今後5年間に予想されている100万台を超えるGMブランドでの世界販売量よりも、はるかに高い顧客需要に応えた拡張が可能になるとしている。

 

3月4日に行われた、ゼネラルモーターズのEVに関するプレスカンファレンス

世界的な電気自動車の需要増に対応し、GMは傘下に抱える各ブランドから新プラットフォームを採用したEVを次々に投入する予定。この新型EVモデルには、今回発表されたアルティウム・バッテリーが搭載される。

 

2020年からGMの全ブランドで新型EVを発表予定

 

GMは2020年からシボレー、キャデラック、GMC、ビュイックの全ブランドで新型EVの発表を予定している。シボレー・ブランドの次の新型EVは「ボルトEV」の新バージョンとなり、2020年後半の発表を予定。2021年夏には2022年モデルの「ボルトEUV」がそれに続く。

 

「ボルトEUV」は、キャデラック・ブランド以外では初めて、業界初の高速道路用ハンズフリー運転支援システム、スーパークルーズを搭載するモデルとなる。GMは来年中にもこのスーパークルーズを10種類のモデルに導入し、2023年までには22モデルに増やす計画を持っている。

 

2020年1月、サンフランシスコで一般公開したシェアリングサービス向けの電動式自動運転車「クルーズ・オリジン(Cruise Origin)」は、GMの第3世代EVプラットフォームとアルティウム・バッテリーを採用した初の量産車となる。次に発表が予定されているのは、4月に公開されるラグジュアリーSUVの「キャデラック リリック(Lyriq)」で、詳細は追って発表される予定だ。

 

また2020年5月20日には、アルティウム・バッテリーを搭載する「ハマーEV(GMC HUMMER EV)」を公開。ハマーEVは、GMで最初の電気自動車専用組立工場であるデトロイト・ハムトラミック工場で、2021年秋に生産が開始される。